Inflation Pushes Retail Sales Up In January, May Rate-Hike In Sight.
米1月消費者物価指数、米1月小売売上高をおさらいしていきます。
米1月消費者物価指数(CPI)は前月比0.6%上昇し、市場予想の0.3%を上回った。前月の0.3%を超え、2013年2月以来の強い伸びを示す。原油先物が53ドル台をつけ2014年後半に開始した下落分の3分の2を取り戻したためエネルギーが4.0%上昇し全体を牽引、ガソリン価格も7.8%と力強い。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は2月に一時2.388ドルと、前年同月に1.724ドルと2009年3月以来の2ドル割れを示した水準から大幅に回復していた。食品・飲料は前月まで2ヵ月連続で±0%を経て、0.1%の上昇を示した。
CPIコアは9月に続き前月比0.3%上昇し、市場予想と前月の0.2%から加速した。5ヵ月ぶりの高い伸びとなり、2011年8月以来の高水準に並ぶ。項目別動向は、以下の通り。
・帰属家賃 0.2%の上昇<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・家賃 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、3ヵ月平均は0.3%の上昇
・サービス 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・医療サービス 0.2%の上昇=前月は0.2%、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・服飾 1.4%の上昇>前月は0.4%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・教育 ±0%<前月は0.1%の上昇、6ヵ月平均は±0%
・中古車 0.4%の低下<前月は0.2%の上昇、3ヵ月平均は±0%
・新車 0.9%の上昇>前月は0.1%の上昇、3ヵ月平均は0.3%の上昇
・航空運賃 2.0%の上昇>前月は1.0%の上昇、3ヵ月平均は0.6%の上昇
CPIの前年比では2.5%上昇し市場予想の2.4%並びに前月の2.1%を超え、2012年3月の水準を回復した。CPIコアの前年比は2.3%の上昇、こちらも市場予想の2.1%並びに前月の2.2%を上回り、5ヵ月ぶりに2012年5月以来の高水準に並んだ。
コアCPIは2%超えを維持も、レンジ内をキープ。
――1月はガソリン価格をはじめエネルギーが全体を押し上げ、原油価格が下落を開始した2014年半ばはおろか2012年以来の水準まで回復しています。その影響で航空運賃をはじめ海外での部品を調達する傾向が高い新車、さらには中国などエマージング国で縫製される服飾など輸送コストを反映して上振れしていました。米連邦準備制度理事会のイエレン議長が、議会証言で3月利上げの選択肢を残した理由が理解できます。
▽米1月小売売上高は予想外の増加、ガソリンをはじめ価格上昇が背景か
米1月小売売上高は前月比0.4%増と、市場予想の0.1%増を上回った。前月の1.0%増(0.6%増から上方修正)を合わせ、5ヵ月連続で増加している。米1月新車販売台数が前月から減速したように、自動車は減少。一方、自動車を除いた場合が0.8%増と市場予想の0.4%増並びに前月の0.4%増(0.2%増から上方修正)を上回った。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は0.4%増と前月の0.2%増を超え8ヵ月連続で増加した。
内訳をみると、主要13カテゴリー中で9項目がプラスとなり前月の6項目から増加した。今回は価格上昇を背景にガソリンスタンドが牽引したほか、スポーツ用品や電気製品、外食、服飾などが1%台の伸びを遂げた。半面、雑貨や自動車/部品が減少した。項目別の詳細は、以下の通り。
(プラス項目)
・ガソリンスタンド→2.3%増>前月ハ3.2%増、6ヵ月平均は1.7%増
・スポーツ衣料/書籍/趣味→1.8%増>前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.4%減
・電気製品→1.6%増>前月は1.1%減、6ヵ月平均は0.4%減
・外食→1.4%増>前月は1.1%減、6ヵ月平均は0.4%増
・服飾→1.0%増=前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.3%増
・一般小売→0.9%増>前月は0.4%減、6ヵ月平均は0.1%増
(*百貨店は1.2%増>前月は0.6%減、6ヵ月平均は0.4%増)
・ヘルスケア→0.7%増>前月は0.6%増、6ヵ月平均は0.4%増
・食品/飲料→0.4%増>前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.3%増
・建築材/園芸→0.3%増<前月は1.2%増、6ヵ月平均は0.6%増
・非店舗(オンライン含む)→±0%増>前月は0.3%増、6ヵ月平均は0.9%増
・家具→0.5%増>前月は±0%、6ヵ月平均は0.4%増
(マイナス項目)
・自動車/部品→1.4%減<前月は3.2%増、6ヵ月平均は0.7%増
・雑貨類→0.2%減<前月は0.4%減、6ヵ月平均は0.4%増
前年比は、コントロール売上高は再び勢いづくも・・。
(作成:米国勢調査局よりMy Big Apple NY)
バークレイズは、今回の結果を受け米1〜3月期の個人消費見通しを従来の2.5%増から2.1%増へ、同GDP予想も2.0%増から1.8%増へ下方修正した。ガソリン価格をはじめ、物価上振れが売上高を押し上げている可能性を指摘した。
――米1月小売売上高とインフレ効果を除く実質の個人消費は、乖離が生じ始めています。何より貯蓄率は低下気味で、消費ののりしろが狭まる状況。米1~3月期GDPは前期から改善する見通しながら、米1月消費者信頼感指数や米1月NFIB中小企業楽観度指数などセンチメント指標が示すほど上振れするかは微妙な情勢です。
しかし、JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは一連の結果を受けFedの利上げ予想を6月から5月へ前倒ししました。年内2回の見通しは変更せず、5月の次は12月を見込みます。3月のFOMCではマーケットに利上げを織り込ませるには十分な時間がとれず、5月であればむしろ3月で地均しをした後で利上げできると分析します。イエレンFRB議長自身、経済・金利見通しの公表を予定しない会合でも利上げが可能である“ライブ”と発言済み。仮に5月会合で利上げを行えば、バーナンキ体制を含め近年で初となりますが、どうなるでしょうか。なお同エコノミストは、2018年については3月と9月の年2回利上げ、同年6月のバランスシートの停止を予想しています。
(カバー写真:Graeme Tozer/Flickr)
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