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1月FOMC議事録、「かなり早期」の利上げ示唆も重要キーワード挟まず

by • February 23, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off971

January FOMC Minutes Point To Rate Hike ‘Fairly Soon’, But…

1月31~2月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は、声明文よりタカ派寄りへ軸足を移してきました。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長による議会証言内容通り、「かなり早期の」利上げサインを送っています。しかしながら、3月利上げ織り込み度は低下する不思議。その背景を探ってみましょう。以下は、FOMC議事録の詳細。

▽利上げ、バランスシート政策をめぐる協議

・金融政策の見通しを協議する過程で、多くの(many)FOMC参加者は労働市場やインフレ動向が予想と一致あるいは上振れする場合かなり早期の利上げが適切と判断。
・何人(A few)かのFOMC参加者は(筆者注:リッチモンド連銀総裁、カンザスシティ連銀総裁、クリーブランド連銀総裁か)は潜在的に次回会合での利上げが適切な可能性があり、   不測の事態が発生した時の利下げ余地を築けると認識。
複数(several)のFOMC参加者は失業率が下振れする公算は大きいと判断、その場合にはFOMC参加者の予想より速いペースでの利上げが必要になる可能性があると指摘。
・2人のFOMC参加者(筆者注:カンザスシティ連銀総裁とリッチモンド連銀総裁か?)は、「ゆるやかな利上げ」は年1~2回の利上げと勘違いされている可能性があると懸念。
・FOMC参加者は、今後の会合でバランスシート政策について協議し、そのコミュニケーション方法や実施について議論していくことで合意

▽経済動向

・経済見通しに反した展開を迎えた場合あるいは見通しを変更した場合に備え、コミュニケーション手段を変更する必要性を強調。財政刺激やインフレ圧力の高まりに対応へ。
・ほとんどのFOMC参加者は、財政出動の規模やタイミングを引き続き注視
・財政政策への不透明感の高まりを指摘。
・参加者は財政出動による景気上振れリスクを予想、ただトランプ政権の政策は景気下押しリスクも存在すると指摘。
・複数の参加者は、海外経済から派生する下振れリスクは後退したと予想。
下振れリスクにはドル高や一部海外経済の金融脆弱性、下限に近いFF金利の水準(引き下げの余地が狭いため)を挙げた。

イエレンFRB議長率いるFOMC、財政出動への警戒緩めず。

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(出所:Gage Skidmore, Fedealreserve/Flickr)

・スタッフは、海外要因を下振れリスクに挙げたがかつてほどではないと示唆。
・スタッフは原油価格が50ドル台で安定的に推移するものの見通しをほぼ変更せず、2019年に至っても目標値2%にわずかながら届かないとの予想を維持。ドル高による物価見通し下振れリスクは、経済が潜在成長を上回るペースで拡大し物価が上振れするリスクで相殺。

▽海外動向、金融市場
・株式市場の低いボラティリティ、金融セクターでの低いレバレッジを指摘。株式市場の低ボラについては、新政権の政策イニシアチブの不透明性を反映していないと指摘。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、デビッド・ハリソン記者による「FOMC議事録、“かなり早期”の利上げを視野に(Fed Minutes: Officials See Rate Increases ‘Fairly Soon’)」と題した記事を配信した。記事は冒頭から「早ければ3月に利上げに踏み切るとのシグナルをこれまで以上に強く点灯させた」と切り出し、3月利上げ派のエコノミストを登場させている。

――利上げに対し「かなり早期」に行う可能性を強調したとはいえ、1月FOMCで利上げの必要性を唱えた参加者はゼロでした。また、次回利上げを提唱する声も聞かれていません。JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、FOMC議事録を受けて「次回(next)」のキーワードを確認できなかったと指摘。過去2回の利上げ前のFOMC議事録では、例えば2015年10月FOMC声明文2016年11月FOMC議事録では2015年必ず「next」という言葉、あるいは次回会合での利上げ意欲が挟み込まれていたといいます。常に公式通りに進むとは言い切れないものの、今回のFOMC議事録が3月利上げの狼煙を上げたと判断するのは時期尚早の感が漂います。FF先物市場の利上げ織り込み度がFOMC議事録公表後にほぼ変わらず、35%付近にとどまるのも頷けます。

トランプ政権に合わせバランスシート政策を持ち出してきたイエレン議長率いるFOMCですから、財政出動の規模次第で利上げペースを加速させると「牽制」を放ったのでしょう。2015年12月の最初の利上げに踏み切った時点でのFOMC声明文で、わざわざ金利正常化が進んだ段階で協議すると宣言していただけに、FOMCの変心ぶりはトランプ政権不信を物語ります。ちなみに今回、FOMC参加者の議論で「財政」の言葉が登場したのは前回に続き7回でした。

(カバー写真:Federalreserve/Flickr)

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