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米2月チャレンジャー人員削減予定数、雇用統計の期待を煽る

by • March 10, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1805

Job Cuts Decrease Market Prepares For Strong Jobs Report.

米2月月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比40.0%減の36,957人となった。前年比での減少は、2ヵ月連続となる。2014年4月以来の高水準だった前月比からは19.5%減少している。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのアンドリュー・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「小売と金融は、デジタル化の局面を迎えている」と説明する。2月は、特に小売で大規模なリストラ計画が相次いだ。JCペニーは140店舗の閉鎖に伴い5,500人のリストラ計画を、ファミリー・クリスチャンも240店舗の閉鎖に伴い1,300人のリストラ計画を発表。L.L.ビーンも総従業員数の10%にあたる900人の人員削減方針を打ち出していた。

ただ将来の売上拡大を狙った「戦略転換の一環」であり、悲観的に捉えていない。また小売、金融と同時に「採用の増加も確認」しており、健全な労働市場を裏打ちした。エネルギーは、1月に続き「人員削減の流れは止まったようだ」として好感した。ただ、環境保護局のプルイット局長は既に規制緩和に乗り出し石油・ガス産業に追い風が吹くものの、セクター別の人員削減予定数は2位の状況で「今後政策がどのように進展するか見極めが必要」とも付け加えることも忘れない。

人員削減予定数、2月は前月の増加をほぼ相殺。

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(作成:My Big Apple NY)

2017年の年初来2ヵ月間での人員削減予定数は前年比40%減の82,891人だった

2017年の年初来2ヵ月での州別動向は、ラストベルトと呼ばれる製造業が盛んだったオハイオ州が2ヵ月連続で1位だった。トランプ米大統領の就任演説でも登場したラストベルトのひとつミシガン州も5位で変わらず。同じくラストベルトの一角を成すペンシルベニア州は、圏外から4位へ食い込んだ。テキサス州は原油価格が回復するなかで、前月の4位から2位へ順位を上げた

1位 オハイオ州 17,710人(前月と変わらず)
2位 テキサス州 13,124人(前月の4位から浮上)
3位 カリフォルニア州 10,395人(前月の2位から転落)
4位 ペンシルベニア 4,632人(圏外から浮上)
5位 ミシガン州 4,151人(前月と変わらず)

年間で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。1月と変わらず1位は小売で、エネルギーが圏外からランクインした。なお前月は1位が小売、2位が自動車、3位がヘルスケア、4位がコンピューター、5位が政府となる。

1位 小売 34,380人(全体の41.5%)
2位 エネルギー 5,930人(全体の7.2%)
3位 ヘルスケア 4,181人(全体の5.0%)
4位 コンピューター 4,177人(全体の5.0%)
5位 自動車 4,008人(全体の4.8%)

2月の人員削減数ワースト5は、以下の通り。1月は小売、2位は自動車、3位はヘルスケア、4位はコンピューター、5位は政府だった。

1位 小売 11,889人(全体の32.2%)
2位 エネルギー 4,077人(全体の11.0%)
3位 金融 3,292人(全体の8.9%)
4位 食品 3,247人(全体の8.8%)
5位 サービス 2,310人(全体の6.3%)

リストラ実施の理由、今回の単月ランキングは以下の通り。前月は1位が閉鎖、2位が再編、3位が需要低下、4位がコスト削減、5位が契約終了だった。

1位 コスト削減 13,374人(全体36.2%)
2位 リストラ 12,632人(全体の34.2%)
3位 閉鎖 7,230人(全体の19.6%)
4位 自主退職 3,000人(全体の8..1%)
5位 M&A 604人(全体の1.6%)

採用予定数は前年同月比で3倍超の25,765人となり、2月単月では4年ぶりの高水準。ただし、ホリデー商戦前に大幅増加を達成した2016年10月以来で最大を記録した前月の136,501人からは、大幅減となる。前月の1位はコンピューター、2位は小売、3位は通信、4位は製薬、5位は自動車となる。

1位 小売 13,070人
2位 航空 3,500人
3位 コンピューター 2,361人
4位 食品 3,000人
5位 通信 675人

――米2月チャレンジャー人員削減予定数は前年比、前月比ともに減少し文句なしに良好な結果でした。トランプ政権が発足してから、JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が言及したようにアニマル・スピリットが目覚めたかのようです。採用予定数も高水準を維持し、米2月雇用統計はADP全国雇用者数が遂げた大幅増に遂げたように、勢いづく雇用を表す期待が高まります。Fedが3月利上げへ向け急旋回したのも、こんな事情があったのでしょうか。

(カバー写真:Roman Catholic Archdiocese of Boston/Flickr)

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