Job Openings Rise, But Hires, And Quits Decline In February.
米2月雇用動態調査、米3月労働市場情勢指数(LMCI)をおさらいしていきます。
米労働省が発表した米2月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比2.1%増の574.3万人と、市場予想の565.0万人を上回った。雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が1~2月に20万人台を超える力強さを示した通り2ヵ月連続で増加し、2000年の統計開始以来で最高だった2016年7月以来の高水準(597.3万人)に接近した。
新規採用人数は前月比2.0%減の531.4万人と、5ヵ月連続ぶりに減少した。2015年12月の550.4万人でピークアウトした可能性を残す。
離職者数は前月比3.4%減の507.1万人と5ヵ月ぶりに減少し、2006年11月以来のレベルに達した前月の524.7万人を下回った。定年や自己都合による自発的離職者数は3.2%減の308.4万人と8ヵ月ぶりに減少し、2001年2月以来の高い伸びを示した前月の318.6万人に届かず。解雇者数は4.5%減の158.4万人と、前月から減少に転じた。
求人数のみ増加、採用数や離職者数は直近久々に減少。
求人率は3.8%で、前月まで4ヵ月連続で続いた3.7%から上昇し2016年9月の水準に並んだ。過去最高の3.9%に接近している。民間が4.1%と5ヵ月続けての4.0%から転じ統計開始以来の最高だった2016年7月の4.2%が視野に入った。政府は前月と同じく2.2%だった。
採用率は3.6%と、前月の3.7%から低下した。今回は民間が4.0%と前月の4.1%から低下。過去最高の4.4%からやや遠ざかった。政府も1.5%と、前月の1.6%から低下した。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.5%と、前月の3.6%から低下し過去最高の3.8%が遠のいた。民間が3.8%と2016年2月以来の高水準だった前月の4.0%から低下。政府は3ヵ月連続で1.5%だった。自発的離職率は2.1%と前月の2.2%を下回り、2015年12月以来の水準及び過去最高の2.4%以下を保つ。解雇率は5ヵ月連続で1.1%と、過去最低を維持した。
離職者数は、自発的離職者数が押し下げ。
――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、1月に続き5項目でした。 なお2016年2月は6項目を達成し、最多でした。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.8%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%
3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.1%
4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.6%
5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 17.8万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.5%
7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 8.9%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 23.3%
9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 63.0%
――米2月雇用統計・NFPは1月に続き20万人増を達成したものの暖冬要因が大きく、3月は逆に大雪要因で10ヵ月ぶりの水準へ急減速するなどボラティリティが上昇しました。4月の数字で、労働市場の真価が問われる見通しです。足元では米大統領選挙後に上振れした製造業、特にサービス業の景況感指数が鈍化の兆しを見せ、雇用項目も頭打ち感が漂う。税制改革やインフラ投資の期待も後退し、力強さを維持するかは疑問が残ります。
▽米3月LMCI、雇用統計に比例しプラス圏を維持も鈍化
米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した米3月労働市場情勢指数(LMCI)は0.4ポイント上昇した。前月の1.5ポイント(0.6ポイントから上方修正)と合わせ10ヵ月連続で上昇している。米3月雇用統計・NFPが前月まで2ヵ月連続で20万人台に乗せた後で10課ヵ月ぶりの水準へ減速したように、LMCIもプラス圏を維持しつつ減速した。
LMCI、2ヵ月連続でプラス圏を維持。
景気後退に陥った2007年12月から2009年6月まで416.6ポイント低下した後、回復サイクルに入ってから357.4ポイント取り戻した。景気が改善していく過程での平均上昇幅は約4ポイントであることを踏まえれば、15ヵ月以内に低下幅を相殺する見通しだ。ただし、足元で低下が続くだけに景気後退に陥った後の穴埋めに時間が掛かる可能性がくすぶる。
(カバー写真:Justin Lynham/Flickr)
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