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4月のADP全国雇用者数、人員削減予定数は雇用の堅調ぶり示す

by • May 5, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1626

Private Payrolls And Job Cuts Shows Solid Labor Market.

米4月ADP全国雇用者数は前月比17.7万人増となり、市場予想の17.5万人増を上回った。ただし2014年4月以来の高水準を達成した前月の25.5万人増(26.3万人増から下方修正)には届かず、米大統領選直前の2016年10月以来の20万人割れを示す。3ヵ月平均でみると22.7万人増と、2014年6月以来で最高だった3月までの25.7万人増に及ばなかったものの、年初来から続く20万の大台を維持した。2010年2月以来の増加トレンドも保つ。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、2016年10月以来の20万人割れ。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳は、以下の通り。

▽企業規模別
・中小企業(従業員1~499人) 13.9万人増<前月は21.3万人増
・大企業(500人以上) 3.8万人増<前月は4.2万人増

▽業種別
サービス業 16.5万人増<前月は17.6万人増、6ヵ月平均は16.4万人増
(米4月ISM非製造業景況指数の雇用は51.4、前月の51.6から低下し8ヵ月ぶり低水準)
・専門/ビジネス・サービス(派遣を含む) 7.2万人増>前月は6.6万人増、6ヵ月平均は5.7万人増
・教育/ヘルスケア 4.1万人増>前月は1.4万人増、6ヵ月平均は3.8万人増
・娯楽/宿泊 3.5万人増<前月は5.0万人増、6ヵ月平均は3.5万人増
・貿易/輸送/公益 0.5万人増<前月は2.5万人像、6ヵ月平均は2.9万人増
・金融 0.2万人増<前月は2.5万人増、6ヵ月平均は1.4万人増
・情報 0.1万人像<前月は0.7万人減、6ヵ月平均は0.1万人減

財生産業 1.2万人増<前月は7.9万人増、6ヵ月平均は5.2万人増
米4月ISM非製造業景況指数の雇用は52.0、2011年6月以来の高水準だった前月の58.9以下)
・製造業 1.1万人増<前月は3.1万人増、6ヵ月平均は1.7万人増
・天然資源 0.3万人増<前月は0.5万人増、6ヵ月平均は0.4万人増
・建設 0.2万人減<前月は4.4万人増、6ヵ月平均は3.1万人増

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「建設と小売りが減少したため、雇用の伸びが鈍化した」と振り返る。特に小売をめぐっては「暖冬とオンライン小売の競争激化に対する結果」と結んだ。

▽米4月チャレンジャー人員削減予定数、減少基調を継続

米4月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比42.9%減の36,602人となった。4ヵ月連続の減少となる。前月からは15.5%減少した。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「小売が最も弱く人員削減数は11,669人、1~4月では前年比36%増の50,133人だった」とのコメントを寄せた。小売が弱かったものの、「エネルギーやテクノロジーなど広範囲に渡っているわけではない」とも指摘。両セクターは年初来で前年比95%減、83%減とむしろ大幅に減少したと振り返る。もっとも、トランプ政権誕生を受け連邦通信委員会(FCC)は通信業界の大規模合併への規制緩和に動く見通しで「通信の人員削減予定数は前年比70%増の1万269人となった」とも付け加えた。

小売業界の店舗閉鎖数と人員削減発表数は、以下の通り。

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(出所:Challenger, Grey And Christmas)

人員削減予定数、4月は3月に続き小売と通信が牽引して増加も全体的には低水準。

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(作成:My Big Apple NY)

2017年の年初来4ヵ月間での人員削減予定数は、前期比38%増の162,083人だった。前年比では、35%減となる。

2017年の年初来4ヵ月での州別動向は、カリフォルニア州がワースト1位に躍り出た。ラストベルトと呼ばれる製造業が盛んだったオハイオ州は前月の1位から2位に転落。3位は前月まで2位のテキサス州で、ニュージャージー州は前月の4位から5位に落ちた。代わりに日本車メーカーが多く進出しラストベルトの一角を成すインディアナ州が4位にランクインした。

1位 カリフォルニア州 21,057人(前月まで2ヵ月連続で3位)
2位 オハイオ州 18,838人(前月は1位)
3位 テキサス州 18,116人(前月は2位)
4位 インディアナ州 10,299人(前月は圏外)
5位 ニュージャージー州 9,861人(前月は4位)

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。1〜3月と変わらず1位は小売で、前月に4位だったエネルギーは5位に転落した。なお前月は1位が小売、2位がエネルギー、3位がヘルスケア、4位がコンピューター、5位が自動車となる。

1位 小売 50,133人(全体の30.9%)
2位 ヘルスケアエネルギー 11,269人(全体の7.0%)
3位 コンピューター 10,269人(全体の6.3%)
4位 自動車 8,724人(全体の5.4%)
5位 エネルギー 8,339人(全体の5.1%)

4月の人員削減数ワースト5は、以下の通り。前月は1月が通信、2位が教育、3位が小売、4位が産業財、5位が電化製品だった。

1位 小売 11,699人(全体の31.9%)
2位 自動車 3,424人(全体の9.4%)
3位 ヘルスケア 3,153人(全体の8.6%)
4位 政府 2,314人(全体の6.3%)
5位 航空・防衛 2,102人(全体の5.7%)

リストラ実施の理由、4月のランキングは以下の通り。前月は1位がコスト削減、2位が閉鎖、3位が再編、4位が契約打ち切り、5位がM&Aだった。

1位 コスト削減 14,358人(全体39.2%)
2位 閉鎖 7,927人(全体の35.5%)
3位 M&A 3,947人(全体の10.8%)
4位 再編 3,489人(全体の9.5%)
5位 自主退職 1,600人(全体の4.4%)

採用予定数は前年同月比で5倍超の61,537人となり、1〜4月期では前年同期比で10倍超の350,809人となる。前月に続き小売が33,852人と牽引している。前月は1位が小売、2位が航空、3位がコンピューター、4位が食品、5位が通信だった。

1位 小売 33,852人
2位 娯楽 11,200人
4位 自動車 2,964人
5位 航空・防衛 1,300人

――米4月チャレンジャー人員削減予定数が前月比、前年比ともに減少した上に採用予定数も好調な流れを維持しました。逆に米4月ADP全国雇用者数は鈍化し、米4月雇用統計・非農業部門就労者数が20万人割れとなる可能性を示唆します。とはいえ、完全雇用に近い状況で20万人割れでも15万人オーバーなら労働市場は過熱気味といっても過言ではなく。ただ問題は平均時給の伸び率で、少なくとも2.5%オーバーを堅持できるかが消費を占うカギとなりそうです。

(カバー写真:Tech Jobs Tour/Flickr)

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