March Trade Deficit Narrows To Smallest Since October.
米3月貿易収支は437.06億ドルの赤字となり、市場予想の445億ドルを下回った。前月の437.60億ドル（435.57億ドルから修正）を0.1％下回り、5ヵ月ぶりの低水準となる。原油関連を除く貿易赤字は358.22億ドルと6ヵ月ぶりの水準へ改善した。
内訳をみると、輸出が前月比0.9％減（4ヵ月ぶりに減少）の1,909.86億ドルだった上に、輸入が0.7％減（2ヵ月連続で減少）の2,346.92億ドルと赤字縮小を促した。
エネルギーを含め輸入が減少、2月に続き赤字は縮小。
（作成：My Big Apple NY）
国内総生産（GDP）の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、599.91億ドル。5ヵ月ぶりに縮小した前月の599.44億ドル（597.10億ドルから修正）を小幅に上回った。
なお2016年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせて国際収支ベースで前年比0.4％増の5025.52億ドルで、2012年以来で最大を示した。商品市況の下落を背景に輸入が1.9％減の2兆7,116億ドルだったものの、ドル高を背景に輸出が2.3％減の2兆2,094億ドルだったため赤字が膨らんだ。2015年の貿易赤字は前年比4.6％増の5,315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。モノの貿易赤字は米国勢調査局ベースで1.5％減の7,343.32億ドルとなる。
3月の輸出内訳をみると、モノは前月比1.6％減と4ヵ月ぶりに減少した。食品/飲料が前月の大幅減の反動で増加したほか、資本財やサービスもプラスに反転。一方、自動車、産業財、資本財は減少した。
（増加項目）
・食品／飲料 2.8％増、過去5ヵ月間で3回目の増加＞前月は6.3％減
・資本財 1.6％増、過去5ヵ月間で2回目の増加＞前月は1.5％減
・サービス 0.6％増、過去5ヵ月間で4回目の増加＞前月は0.1％減
（減少項目）
・消費財 3.4％減、過去5ヵ月間で2回目の減少＜前月は4.0％増
・自動車 6.2％減、過去5ヵ月間で2回目の減少＜前月は1.4％増
・産業財 4.6％減、過去5ヵ月間で1回目の減少＜前月は1.0％増
輸入の内訳をみると、モノは0.9％減と2ヵ月ぶりに減少した。原油価格が安定的に推移するなか、量ベースでのエネルギー関連輸入は9.5％増と前月の10.9％減から転じている。金額ベースでも、上昇に転じた。エネルギー製品を除いたモノの輸入は0.5％減と、前月の2.6％減と合わせ2ヵ月連続で減少した。項目別では自動車以外、全て減少した。
（増加項目）
・自動車 3.9％像、過去5ヵ月間で4回目の増加＞前月は8.3％減
（減少項目）
・食品／飲料 4.4％減、過去5ヵ月間で2回目の減少＜前月は2.1％増
・資本財 1.8％減、過去5ヵ月間で3回目の減少＜前月は0.3％減
・産業財 1.6％減、過去5ヵ月間で1回目の減少＜前月は3.5％増
・消費財 1.1％減、過去5ヵ月間で3回目の減少＜前月は5.9％減
国別でのモノの貿易収支動向をみると、4月の米中首脳会談を控え中国への赤字は前月比7.2％増の245.79億ドルと増加に転じた。中国以外でも主要国では赤字拡大が目立ち、日本への赤字は55.0％増の72.40億ドルと大幅に3ヵ月ぶり増加。欧州全体への赤字額は15.3％増の122.81億ドルと、こちらも増加へ転じた。欧州のうち英国との貿易収支は3.09億ドルの黒字と、2ヵ月連続で黒字だったが前月比30.9％縮小した。
主な原油輸出国への貿易収支は、輸入量が増加したものの赤字縮小が優勢。カナダへの貿易赤字は35.5％減の13.72億ドルと、赤字幅こそ縮小したものの6ヵ月連続で赤字となっている。石油輸出国機構（OPEC）への貿易収支も7.6％減の14.03億ドルの赤字と、3ヵ月連続で赤字を計上しつつ2ヵ月連続で赤字を縮小させた。一方で、メキシコに対する赤字額のみ22.2％増の70.33億ドルと2ヵ月連続で拡大した。
以下は、今回の貿易収支における輸出と輸入の内訳のほか各国ごとのモノの貿易収支動向。貿易収支動向のランキングはメキシコがドイツに代わり3位に浮上、アイルランドやカナダなどが順位を上げた。輸出動向は前月ランクインしたブラジルが圏外に落ち込み、フランスが取って代わっている。輸入動向のランキングはアイルランド、英国が健闘した。
（作成：My Big Apple NY）
――貿易赤字は全体として縮小したものの、中国をはじめ対日、対欧州などそろって赤字が拡大しました。トランプ政権は貿易不均衡の見直しを図る大統領令に署名済みで、カナダにも材木の関税引き上げで行動するなど通商政策では保護主義寄りのスタンスへ舵を切り始めました。とはいえ、北米自由貿易協定（NAFTA）離脱へ振り上げた拳はカナダとメキシコの首脳との電話会談後に下ろした感があり、交渉を有利に進める上のポーズである可能性は拭えず。北朝鮮問題の緊迫化を背景に中国への姿勢を緩和させた事情もあり、トランプ政権の通商政策は他の駆け引き材料と合わせてフォローすべきでしょう。
（カバー写真：Louis Vest/Flickr）
Comments
4月のADP全国雇用者数、人員削減予定数は雇用の堅調ぶり示す Next Post:
4月のサービス業、ISMとマークイットは改善し雇用統計との比例関係を維持
about the author: Sawako
