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米4月新築住宅販売件数、約10年ぶりの高水準から減速

by • May 24, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2410

New Home Sales Tumbles From 10-Year High.

米4月新築住宅販売件数、5月のマークイット製造業PMI並びに非製造業PMI・速報値、米5月リッチモンド連銀製造業景況指数をおさらいしていきます。

米4月新築住宅販売件数は年率56.9万件と、市場予想の61.0万件に届かなかった。2007年10月以来の水準へ上振れした前月の64.2万件(62.1万件から下方修正)を11.4%下回り、4ヵ月ぶりに減少。過去3ヵ月分の増加をほぼ打ち消した。住宅市場の書き入れ時が幕開けしたものの、米株の膠着により資産効果が期待しづらかった上、4月は平年を上回る降雨量に見舞われたため販売を押し下げた可能性がある。

4大地域別では、2~3月こそ3地域だったが今回はゼロだった。今回は西部が26.3%減(3ヵ月ぶりに減少、過去2ヵ月分の増加を完全に相殺)の12.6万件、中西部は13.1%減の7.3万件(2ヵ月連続で減少)となっている。北東部は7.5%減(前月から減少に反転)の3.7万件だったほか、南部も1.5%減(前月から減少に反転)の33.3万件だった。

新築住宅販売件数、4ヵ月ぶりの低水準。

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(作成:My Big Apple NY)

在庫総数は26.8万件と、前月の26.5万件1.5%上回り9ヵ月連続で増加した。在庫相当は販売件数が減少し在庫が増加したため前月の4.9ヵ月から5.7ヵ月へ延びている。中央価格は30.92万ドルと前月の31.87万ドルから下落しつつ、30万ドルの大台は保った。前年比では3.8%下落、過去最高を遂げた2016年9月の水準から遠ざかりつつある。住宅買入れシーズンの開幕が近づくなか前月比でも3.0%下落し、過去4ヵ月間で3回目の下落を迎えた。

――米5月NAHB住宅市場指数米4月住宅着工件数に続き弱い数字が並びました。住宅着工件数から弾き出すと、新築販売の在庫は一段と増加する見通し。新築住宅販売は住宅市場の12%と過去平均の半分程であり、漸く価格が下がり始めるなかで価格調整が進めばシェア回復につながりそうです。在庫調整を促せば需要が喚起され新築販売が伸びる期待が募る一方、足元で銀行の住宅ローン融資はプライム層に偏り利上げ局面で需要を喚起できるかは定かではありません。頼みの税制改革や規制緩和、インフラ投資も実現までの道のりは遠く、これまで好調だった反動もあって鈍化が続く可能性に留意したいところです。

▽米5月マークイット製造業PMI・速報値、8ヵ月ぶり低水準

米5月マークイット製造業PMI速報値は52.5と、市場予想の53.0並びに前月の53.1を下回った。米大統領選前の2016年9月以来の水準へ低下している。特に生産が8ヵ月ぶりの水準へ低下したほか新規受注や雇用も鈍化した。

マークイット製造業PMIは下振れ傾向、非農業部門就労者数(NFP)のうち製造業の雇用も足元鈍化気味。
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(作成:My Big Apple NY)

▽米5月マークイット非製造業PMI・速報値、上昇も大統領選後のピークに届かず

米5月マークイット非製造業PMI・速報値は54.0と、市場予想の53.3並びに前月の53.1を上回り4ヵ月ぶりの水準を回復した。内訳ではトランプ政権がロシアゲートに揺れるものの生産がヘッドラインと同じく4ヵ月ぶりのレベルへ戻したほか、雇用も4月に約7年ぶりの低水準を経て改善した。製造業と合わせた総合指数は53.9と、前月の53.2を上回り3ヵ月ぶりの水準へ切り返した。

マークイットの非製造業は上昇も、約1年ぶりの高水準だった2016年12月の55.8以下が続く。

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(作成:My Big Apple NY)

クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、製造業と非製造業のPMIを背景に「4~6月期の国内総生産(GDP)伸び率は前期比年率1.5%増と試算される」と振り返った。4~6月期には力強く回復する」と楽観的な見方を寄せた。サービス業の上向きもゆるやかで、「米5月雇用統計・非農業部門就労者数は前月比16.0万人増」と、4月の21.1万人増に届かないと予想する。

▽米5月リッチモンド連銀製造業景況指数、大統領選後の上昇を完全に打消し

米5月リッチモンド連銀製造業景況指数は1となり、市場予想の15を下回った。前月の20を下回り、米大統領選後の上昇を完全に相殺している。内訳をみると、新規受注が2016年9月以来、受注残も2016年10月以来の分岐点割れを示したほか、出荷も前月の26からゼロへ急低下。雇用は前月を小幅に上回ったものの米大統領選後での最低近くを維持し、平均労働時間は2016年10月以来の分岐点割れを迎えた。

――原油価格が50ドル超えで伸び悩むなか、製造業は足元で鈍化方向をたどります。税制改革やインフラ投資拡大など、製造業の頼みの綱が待てど暮らせど進まないことが背景と言えるでしょう。シェール生産が多い都市が集まるリッチモンド連銀の製造業景況指数でも、明らかにその兆候が読み取れます。サービス業は株高で資産効果が確認すれば、まだ期待値を残すというもの。両者の景況感の違いは、そこにありそうです。

(カバー写真:Lee Haywood/Flickr)

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