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米4月中古住宅販売件数、約10年ぶりの水準から鈍化

by • May 30, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1199

Existing Home Sales Decline From 10-Year High.

米4月中古住宅販売件数や米3月住宅価格指数をおさらいしていきます。

全米リアルター協会(NAR)が発表した米4月中古住宅販売件数は年率557万件と、市場予想の565万件を下回った。2007年2月以来の高水準を達成した前月の570万件(571万件から下方修正)から2.3%減少。過去5ヵ月間で、3回目の減少となる。前年比では1.6%増と、前月の5.8%増から鈍化しつつ8ヵ月連続でプラスだった。在庫逼迫に加え、前月が高水準だった反動もあって鈍化したとみられる。

内訳をみると一戸建てが495.0万件と、前月の507.0万件を2.4%下回った。年初来で2月に続き2回目の500万件割れとなる。なお、500万件乗せは1月に2007年2月以来で初めて達成していた。複合住宅は62.0万件と、前月の63.0万件から1.6%減少した

4大地域別では、3月と反対に1地域を除き全て減少した。今回は住宅市場の規模が最大で、石油生産地で知られる南部が前月比5.0%減の230.0万件と4ヵ月ぶりに減少した。IT企業が集まる西部は3.3%減の118万件と、3ヵ月連続で減少。北東部は2.7%減の73万件と前月から減少に反転した。中西部のみ3.8%増の136万件と、2ヵ月連続で増加した。

在庫件数は前月比7.2%増の193万件と、4ヵ月連続で増加した。2016年12月は165万件と1999年以来での最低を更新していたが、中古住宅での需給ひっ迫の厳しさが緩和してきた可能性を示す。販売が減少したものの在庫が増加した結果、在庫相当は前月まで2ヵ月連続で3.8ヵ月を経て、4.2ヵ月へ延びた。中央価格は前年比で6.0%上昇の24.48万ドル米4月雇用統計で示された平均時給の上昇率を大幅に超えた水準を保つ。中央価格の前月比では3.5%上昇し、3ヵ月連続で上昇した。販売日数は29日と、前月の34日並びに前年同月の39日から短縮した。

買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 3%<前月は5%、前年同月は5%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 2%>前月は1%、前年同月は2%
・新規購入者 34%、2016年9月以来の高水準>前月は32%、前年同月は32%
・現金購入者 21%<前月は23%、前年同月は24%
・住居用ではなく投資向け 15%=前月は15%、前年同期は13%
(このうち現金払いが57%、3月の63%並びに2015年4月以来の高水準だった2月の71%から低下)

中古住宅販売件数、一戸建てと複合ともにリバウンド。

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(作成:My Big Apple NY)

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、今回の結果を受け「住宅金利は低水準を維持し、潜在的購入者には追い風」と振り返る。ただし「住宅価格の値上がりペースが鈍化の兆しを見せておらず、金利上昇は潜在購入者の向い風となりうる」と慎重な見解を示した。

――足元、米4月住宅着工件数米5月NAHB住宅市場指数米4月新築販売件数と住宅市場がさえません。在庫逼迫で販売件数自体にブレーキが掛かるところ、在庫逼迫に伴う値上がりや、年内あと2回の利上げを予想する米連邦公開市場委員会(FOMC)による金融政策への警戒感が販売件数を抑えたと考えられます。住宅価格の値上がり率と平均時給の前年比伸び率の違いをみると、引き続き住宅購入へのハードルは高いですしね。とはいえ、米株高で資産効果が期待できる割に、住宅市場の書き入れ時を迎えながらの今回の鈍化は意外ですらある。税制改革やインフラ投資拡大など、トランプ政権の経済政策の柱が立ち遅れているため、住宅購入の意欲をさらに下げてしまっている可能性も否めません。

▽米3月住宅価格指数は上昇基調を維持、前年比でも6%台を回復

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米3月宅価格指数は前月比0.6%上昇し、市場予想の0.5%を上回った。伸び率は2016年3月以来の高水準となった前月の0.8%と合わせ、2013年12月以来の上昇を維持している。前年比は6.2%上昇し、2016年以来の高い水準を示した前月の6.4%を小幅に下回った。国勢調査ベースの9地域別では、前月の8地域から6地域へ減少した。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

(カバー写真:vandys/Flickr)

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