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米4月耐久財受注、コア資本財が鈍化しGDP見通しにマイナス

by • May 30, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1230

Economists Trim Q2 Growth Outlook After Durable Goods Orders Release.

米4月耐久財受注、米5月カンザスシティ連銀製造業景況指数、米4月貿易収支・速報値をおさらいしていきます。

米4月耐久財受注は前月比0.7%減となり、市場予想の1.5%減ほど下げ幅は広がらなかった。前月の2.3%増(0.9%増から上方修正)から転じ、4ヵ月ぶりに減少。輸送用機器が1.2%減と、前月の4.6%増から転じ3ヵ月ぶりに減少。民間航空機が落ち込んだためで、自動車は3ヵ月ぶりに増加していた。防衛財は4.2%増と、前月の30.1%増から大幅鈍化しつつ2ヵ月連続で増加した。

・民間航空機 9.2%減<前月は15.4%増、6ヵ月平均は6.9%増
・自動車 0.3%増>前月は1.1%減、6ヵ月平均は0.2%増

輸送用機器を除く場合は0.4%減となり、市場予想の0.4%増に届かなかった。前月の±0%増(0.5%増から下方修正)を下回り、8ヵ月ぶりに減少している。

コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)は±0%増と、市場予想の0.5%増を下回った。前月の±0%増(0.5%増から下方修正)と合わせ、2ヵ月連続で横ばいにとどまる。

(増加項目)
・コンピューター/電子機器 1.4%増>前月は2.3%減、6ヵ月平均は0.2%増

(減少項目)
・一次金属 0.2%減<前月は0.4%増、6ヵ月平均は1.2%増
・機械 0.8%減<前月は0.7%増、6ヵ月平均は0.7%増
・組み立て金属 0.9%減<前月は5.2%増、6ヵ月平均は0.9%増
・電気機器 1.7%減<前月は1.2%増、6ヵ月平均は±0%

耐久財出荷は前月比0.3%減となり、前月の0.1%減(0.2%増から下方修正)を下回り2ヵ月連続で減少した。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は0.1%減となり、市場予想の0.5%増を下回った。前月の0.2%増(0.5%増から下方修正)に届かず、3ヵ月ぶりに減少した。

前年比では、輸送を除いた耐久財受注をはじめコア資本財の受注と出荷ともに回復。

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(作成:My Big Apple NY)

耐久財在庫は0.1%増となり、前月の0.2%増を含め3ヵ月連続で増加した。在庫が増加したものの出荷が減少したため、在庫相当は前月まで4ヵ月連続での1.68ヵ月を経て1.69ヵ月へ延びた。

▽米4月貿易収支・速報値、輸出の下げ幅拡大で赤字増加

米4月貿易収支・速報値は675.53億ドルの赤字となり、市場予想の645億ドルを超えた。前月の650.54億ドル(648.05億ドルから修正)も上回り、3ヵ月ぶりの水準へ膨らんだ。輸出が前月比0.9%減の1,258.91億ドルと3ヵ月連続で減少、直近で最も小幅となる。内訳をみると、消費財と自動車が7.5%減と2ヵ月連続で落ち込んだ。消費財も4.1%減と2k月連続で弱く、その他も3ヵ月ぶりに減少の2.3%減だった。一方で食品・飲料が4.2%増だったほか、産業財、資本財が増加した。輸入は0.7%増の1,934.4億ドルと3ヵ月ぶりに増加。内訳をみるとその他が13.3%増と前月の落ち込みを完全に相殺し、消費財も3.7%増と2ヵ月連続で増加した。食品・飲料は3.2%増、資本財も1.6%増と増加に反転。一方で産業財が4.2%減と2ヵ月連続で減少、自動車も2.4%減少した。

▽米5月カンザスシティ連銀製造業景況指数は前月上回るも、予想以下

米5月カンザスシティ連銀製造業景況指数は8となり、市場予想の9を下回った。前月の7から上昇しつつ、2011年3月以来の高水準だった3月の20以下となり米大統領選後の上昇をほぼ打ち消した水準を保つ。発表済みの5地区連銀の製造業景況指数では、フィラデルフィア連銀とカンザスシティを除き足元で全て前月以下に。米5月ISM製造業景況指数が前月から鈍化する可能性を示唆した。

各連銀の製造業景況指数、そろって見事に前月以下。

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(作成:My Big Apple NY)

――米1~3月期GDP改定値が発表した時点でお伝えしたようにアトランタ地区連銀の米4~6月期GDPの予測値は従来の4.1%増から3.7%増へ、NY連銀も従来の2.3%増から2.2%増へそれぞれ下方修正しました。ブルームバーグが集計したエコノミスト予想平均は3.0%増となっています。こうしてみると、アトランタ地区連銀の予測値の突出した高さが目につきますが、推計値で使う指標に違いが横たわります。アトランタ地区連銀はGDPで扱う経済指標を忠実に拾っていく半面、NY連銀はGDPに盛り込まない経済指標を一切合財含みます。従って、両者に乖離が生じるのは当然というもの。ただアトランタ地区連銀の数字は下方修正バイアスが強く、現状ではNY連銀の分が強いと言えるかもしれません。

(カバー写真:shrapnel1/Flickr)

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