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米5月消費者信頼感は予想以下、株高局面でも購入見通しは直近で最低

by • May 31, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1714

Consumer Confidence And Spending Outlook Decline In May.

米5月消費者信頼感指数、米3月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米5月ダラス連銀製造業景況指数を含め各連銀の製造業景況指数をおさらいしていきます。

米5月消費者信頼感指数は117.9となり、市場予想の119.5を下回った。前月の119.4(120.3から下方修正)に届かず、2000年12月以来の高水準を達成した3月の124.9から低下を続けている。内訳をみると、現況指数が140.7と前月の140.3(140.6から下方修正)を超え2001年8月以来のレベルまで上昇。もっとも、見通し指数は102.5と前月の105.4(106.7から下方修正)に及ばず4ヵ月ぶりの低水準だった。

足元の米株高を反映し税制改革や医療保険制度改革(オバマケア)の成立が遅れながら現況指数が上昇した一方、見通し指数は低下しロシアゲートの影響はここでも不透明です。見通し指数の低下と歩調を合わせ労働市場の見通しも楽観度が後退した影響で、購入見通しは住宅や自動車、主要機器とそろって直近で最低を更新しました。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果に対し「やや低下したが、現況指数は安定的で全体的な経済環境がさほど変化していない可能性を示す」と指摘した。その上で「6ヵ月見通しも楽観度が後退したとはいえ、全体的には夏にかけ経済が拡大する方向性を現わしている」と結んだ。

消費者信頼感指数、直近は伸び悩み。

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(作成:カンファレンス・ボードよりMy Big Apple NY)

今回は現状の労働市場に対し、「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは11.7 と前月の10.9(修正値)を上回った。11ヵ月連続で続きプラス圏を維持し、2001年8月以来の高水準となった3月の12.8にあと1ポイントに迫る。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」が低下し「悪い」が上昇
「良い」29.4%→前月の30.8%から低下、前年同月は26.1%
「悪い」13.7%→前月の13.7%と変わらず、前年同月は21.4%
「普通」56.9%→前月の55.5%から上昇、前年同月は52.5%

労働市場については「豊富」と「困難」が低下、DIは11ヵ月連続でプラス
「職が豊富」29.9%→前月の30.3%から低下、前年同月は24.5%
「あまり職が豊富ではない」51.9%→前月の50.3%から上昇、前年同月は51.0%
「職探しが困難」18.2%→前月の19.4%から低下、前年同月は24.5%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は、「良くなる」と「悪化する」が低下
「良くなる」21.3%→前月の25.1%から低下、前年同月は15.0%
「悪化する」10.1%→前月の10.4%から低下、前年同月は11.7%
「変わらない」68.6%→前月の64.5%から上昇、前年同月は73.3%

6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」と「減少」が低下、7ヵ月連続で「増加」が「減少」を上回る
「雇用が増加する」18.6%→前月の21.6%から低下、前年同月は12.5%
「雇用が減少する」12.0%→前月の13.8%から低下、前年同月は18.2%
「変わらない」69.4%→前月の64.3%から上昇、前年同月は69.3%

6ヵ月先の所得への見方は「増加」と「減少」が上昇
「増加する」19.2%→前月の18.7%から上昇、前年同月は16.5%
「減少する」8.7%→前月の7.6%から上昇、前年同月は12.6%
「変わらない」72.1%→前月の73.7%から低下、前年同月は70.9%

購入見通しは、全て低下した。(自動車は前月の14.0%→12.0%と直近で最低、住宅は前月の6.4%→5.8%と3ヵ月ぶりの低水準、主要機器は前月の52.9%→48.7%と直近で最低)。

――消費者信頼感指数は楽観の後退を確認し、特に見通しで顕著となりました。購入見通しは全て低下し、4月こそ改善したとはいえ個人消費の伸び悩みと整合的です。

ロシアゲートの行方が気掛かりなところですが、朗報が聞こえてきました。ホワイトハウス関係者の間で結束力が固まってきたというではありませんか。足元の騒動を受け、クシュナー上級顧問VSバノン首席補佐官をはじめとした主導権争いが休戦状態に入ったといいます。共和党との協力関係も改善されれば、医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃・代替案移行や税制改革に光が差してくるだけに、雨降って地固まるとなる可能性は否定できません。

▽米3月S&P/ケースシラー住宅価格指数、20都市の前年比は約3年ぶりの高水準

米3月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は186.95なり、前月の185.45(185.56から下方修正)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では前年同月比5.89%上昇の195.39と市場予想の5.70%を上回り、指数ベースでは2007年9月以来の高水準。伸び率では前月の5.85%も超え2014年7月以来の高さとなり、4年10ヵ月連続でのプラス圏を保った。季節調整済み・20都市別の前月比は0.87%の上昇と、市場予想とほぼ一致した。2013年9月以来の高い伸びを遂げている。

20都市別での季節調整済みベース・前月比でトップはミネソタ州ミネアポリスで1.87%の上昇、2位はミシガン州デトロイトで1.21%の上昇、3位はワシントン州シアトルで1.13%の上昇だった。ワースト1位はオハイオ州クリーブランドで0.48%低下、2位はフロリダ州タンパで0.41%の低下、3位はフロリダ州マイアミだった。足元にてワースト3で常連の都市が並んだ。

▽製造業景況指数、3月の一覧

米5月ダラス連銀製造業景況指数は17.2と、市場予想の15を上回った。前月の16.8を超えたものの、直近で最高を果たした2月の24.5以下を続けている。6ヵ月先の見通し指数は20.2と、4ヵ月ぶりの高水準だった。

5地区連銀の製造業景況指数では前月との比較で3勝2敗(フィラデルフィア連銀、リッチモンド連銀、ダラス連銀が前月超え)でした。

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(作成:My Big Apple NY)

翻って米5月ISM製造業景況指数のエコノミスト予想平均(ブルームバーグ調べ)は現時点で54.6と、4ヵ月ぶりの低水準だった4月の54.8から小幅低下する見通しです。ただし、ISM製造業景況指数はフィラデルフィア連銀製造業景況指数と比較的相関性が高く、改善への期待が残ります。

(カバー写真:June Marie/Flickr)

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