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米5月ADP雇用者数は25万人増の快進撃、採用予定数も好調

by • June 1, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1434

Private Payrolls And Job Hiring Plans Increase In May.

米5月ADP全国雇用者数は前月比25.3万人増となり、市場予想の17.0万人増を上回った。前月の17.4万人増(17.7万人増から下方修正)を超え、2014年4月以来の高水準を達成した1月の26.8万人増に接近。今年の4月を除き米大統領選後の同年11月から続く20万人乗せを維持し、2010年2月以来の増加トレンドも保った。

セクター別では、サービスが20.5万人増とけん引した。雇用統計の就業者数の伸びランキングで上位常連での専門サービスが8.8万人増と力強さを示す。貿易・輸送・公益も5.8万人増、教育・健康も5.4万人増と好調。その他サービスは1.5万人増、金融は0.7万人増となる。一方で、娯楽・宿泊は1.1万人減だったほか、足元弱い流れを続ける情報は0.8万人減だった。

財(製造業、建設、鉱業)は4.8万人増だった。とりわけ建設が3.7万人増と、全体を支えている。製造業は0.8万人増、鉱業は0.3万人増だった。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「採用は非常に活発で、労働人口の伸びを吸収するために必要な増加幅の3倍に及ぶ」と評価した。その上で「人材不足に直面する企業が増加している」と付け加え、賃金上昇ペースが加速する可能性を示唆した。

▽米5月チャレンジャー人員削減予定数、5ヵ月ぶりに前年比で増加

米5月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比41.2%増の51,692人となった。5ヵ月ぶり、年初来で初の増加となる。前月比では71.4%も急増した。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「人員削減の40%近くをフォードが占めた」と説明する。フォードが5月にマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)の解任を決定するとともに、全世界で2万人に及ぶ人員削減計画を発表する見通し(注:報道では1,400人)だとして、チャレンジャーCEOは「競争力を維持すべく大企業が行う典型的な戦略」と指摘。電気自動車や自動運転など顧客の容貌に添うべく「自動車メーカーは変化を受け入れなければならない」と結んだ。

小売のリストラ継続については「遂に食品小売にまでオンラインの波が押し寄せてきた」とコメントし、アマゾンの”アマゾン・ゴー”などの食事配達サービスが既存のレストラン形態を破壊しつつあるとの見方を寄せた。

小売のリストラ予定、発表ベース。
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(出所:Challenger Grey & Christmas)

人員削減予定数、5月は年初来で初の増加も全体的には低水準。

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(作成:My Big Apple NY)

2017年の年初来5ヵ月間での人員削減予定数は、前年同期比で28.3%減の214,495人だった。

2017年の年初来5ヵ月での州別動向は、ミシガン州が圏外から突如トップを飾った。これもフォード効果と言えるだろう。代わりにニュージャージー州が圏外に転落した。4月は1位がIT企業のメッカであるカリフォルニア州、2位がラストベルトと呼ばれる製造業が盛んだったオハイオ州、3位が石油生産1位のテキサス州、4位が日本車メーカーが多く進出しラストベルトの一角を成すインディアナ州だった。

1位 ミシガン州 28,985人(前月は圏外)
2位 カリフォルニア州 24,531人(前月は1位)
3位 テキサス州 18,116人(前月は2位)
4位 オハイオ州 18,838人(前月は3位)
5位 インディアナ州 10,299人(前月は4位)

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。1〜4月と変わらず1位は小売で、前月に5位だったエネルギーが圏外に転落した。なお4月は1位が小売、2位がヘルスケア、3位がコンピューター、4位が自動車、5位がエネルギーだった。

1位 小売 55,910人(全体の26.1%)
2位 自動車 28,966人(全体の13.5%)
3位 ヘルスケア 10,269人(全体の4.8%)
4位 サービス 8,724人(全体の4.1%)
5位 通信 8,339人(全体の3.9%)

5月の人員削減数ワースト5は、以下の通り。4月は1位が小売、2位が自動車、3位がヘルスケア、4位が政府財、5位が航空・防衛だった。

1位 自動車 20,271人(全体の39.2%)
2位 小売 5,777人(全体の11.2%)
3位 保険 4,212人(全体の8.1%)
4位 サービス 4,082人(全体の7.9%)
5位 ヘルスケア 3,054人(全体の5.9%)

リストラ実施の理由、5月のランキングは以下の通り。前月は1位がコスト削減、2位が閉鎖、3位がM&A、4位が再編、5位が自主退職だった。

1位 コスト削減 33,133人(全体64.9%)
2位 閉鎖 8,853人(全体の17.1%)
3位 M&A 2,882人(全体の5.6%)
4位 再編 2,879人(全体の5.6%)
5位 自主退職 1,396人(全体の2.7%)

採用予定数は前年同月比で3倍超の77,477人となり、1〜5月期では前年同期比で7倍近くの428,256人となる。今回は、娯楽/宿泊が53,555人と他の追随を許さない伸びを遂げた。前月に続き小売も7,965人と好調。4月は1位が小売、2位が娯楽、3位がコンピューター、4位が自動車、5位が航空・防衛だった。

1位 娯楽/宿泊 53,555人
2位 小売 7,965人
3位 コンピューター 4,330人
4位 産業財 3,817人
5位 自動車 1,402人

――米5月チャレンジャー人員削減予定数が前月比、前年比ともに増加したとはいえフォードの押し上げ効果が大きく、むしろ採用予定数は好調な流れを維持しました。米5月ADP全国雇用者数も力強さを踏まえれば、米5月雇用統計・非農業部門就労者数は2ヵ月連続で20万人乗せを維持する期待が高まります。あとは、平均時給の伸びが改善すれば御の字といったところ。気掛かりはブレイナードFRB理事の発言で、経済動向次第で正常化の流れを一服させる可能性を示唆していました。米5月雇用統計が文句なしの好結果となる見通しであれば、こんな発言を避けたのではないかと勘繰ってしまいますが、果たしてどうなるでしょうか?

(カバー写真:Michael Tapp/Flickr)

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