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米4月雇用動態調査、求人数は過去最高に隠された労働市場の影

by • June 7, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1006

Job Openings Hit Record But Hires Decrease In April.

米労働省が発表した米4月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比4.5%増の604.4万人と、市場予想の575.0万人を上回った。4ヵ月連続で増加しており、ベージュブックで明らかになった通り雇用の逼迫を感じさせる。雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が4月に20万人を割り込んだものの失業率を低下させるに十分なペースだったように、求人数は過去最高を更新した。

新規採用人数は前月比4.8%減の505.1万人と、前月の増加から減少に転じ年初来で2回目の減少を示す。2015年12月の550.4万人でピークアウトした可能性を示唆した。

離職者数は前月比4.3%減の497.3万人と、前月から減少に転じた。2006年11月以来のレベルに達した1月の524.7万人以下を続け、7ヵ月ぶりの500万人割れとなる。定年や自己都合による自発的離職者数は3.5%減の302.7万人と、前月から減少しこちらも年初から2回目の減少に。2001年2月以来の高い伸びを示した1月の318.6万人から遠ざかり、10ヵ月ぶりの300万人割れに近づいた。解雇者数は4.3%減の159.0万人とこちらも年初来で2回目の減少、2013年11月以来の低水準となり現状の労働力で完全雇用に接近している様子を示した。

米4月雇用統計・NFPに反し、求人数は増加も採用数は減少。

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(作成:My Big Apple NY)

求人率は2ヵ月連続で3.8%を経て、4.0%と2015年7月、2016年7月に続き過去最高に並んだ。民間が前月の4.1%から4.2%へ上昇、2016年7月、2001年1月に続き統計開始以来の最高を示す。政府は前月の2.3%から2.5%へ上昇し、2016年11月以来の高水準と一致した。

採用率は前月まで2ヵ月連続で3.6%を経て、3.5%へ低下し1年ぶりの低水準となる。今回は民間が前月まで2ヵ月連続で4.0%だったが、今回は3.8%へ低下。過去最高の4.4%から遠ざかった。政府は3ヵ月連続で1.5%だった。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.4%と、前月の3.6%から低下し過去最高の3.8%が遠のいた。民間が3.8%と2016年2月以来の高水準だった前月の4.0%から低下している。政府は前月の1.4%を上回り、1.5%だった。自発的離職率は前月に続き2.1%と、2015年12月以来の水準及び過去最高の2.4%以下を保つ。解雇率は6ヵ月連続で1.1%と、過去最低を維持した。

労働市場が逼迫するにも関わらず、離職者数のうち自発的離職者数が減少。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、今となっては死語と化したイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、雇用統計の非農業部門就労者数(NFP)が弱く4項目となり1~3月までの5項目から減少しました。ただし、足元で完全雇用に接近するなかでNFPは今後下振れする見通しです。なお2016年2月は6項目を達成し、最多でした。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.0%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.1%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.5%

5)非農業部門就労者数—×
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 12.1万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.3%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 8.4%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 24.0%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.7%

――求人数は過去最高を更新した一方、米4月雇用統計・NFPは修正値で増加幅が20万人に届かなかったように採用者数は減少しました。完全雇用の要因もさることながら、ベージュブックを振り返ると求職者と採用側のミスマッチが予想されます。労働参加率が5月に年初来で最低だったように、25~54歳の働き盛りの男性でも5月に88.4%と2016年8月のレベルへ後退していました。

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(作成:My Big Apple NY)

IT化が進みIoTやモビリティ、ビッグデータなどテクノロジーの進化を受け労働市場にも変化が訪れる状況では、いくら経済がゆるやかに拡大中でもミスマッチの解消には時間が掛かる見通しです。原油価格が2016年2月の底値から回復し製造業や鉱業が成長に寄与しつつあるとはいえ、税制改革やインフラ投資拡大など梃入れなしでは力不足の感も否めず。労働市場のさらなる改善に、色濃く影を投げかけます。さらに足元で2009年6月から長期にわたる景気拡大を経て循環的要因から鈍化に直面し利上げサイクルにもあり、労働市場が活況を維持できるかは微妙と言わざるを得ません。

(カバー写真:Michael Tapp/Flickr)

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