Wall Street Expects Fed To Reduce Balance Sheet In September And Lower Yields.
米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が、まもなく公表されます。そこで、FOMC直前恒例、CNBCが市場関係者を対象に実施するFedサーベイの結果をお伝えします。
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長による議会証言で低インフレを警戒し利上げにも慎重な見方が寄せられるなどハト派的でしたが、ウォール・ストリートの予想では引き続き年内あと1回が優勢です。気になるバランスシート縮小の予想は、前回とは裏腹に年末ではなく9月19~20日開催のFOMCの見方が台頭していました。バランスシート縮小規模の目途は、引き続き足元の4.5兆ドルから大雑把に申し上げて約半分を予想しています。
FRB議長人事をめぐっては、やっぱりアノ人が就任するとの予想が急浮上していました。ロシアゲートに揺れる政権ですが、トランプ米大統領への打撃は前回に続きさほど現れていません。注目の調査結果は、以下の通り。44名のエコノミストをはじめストラテジスト、マネー・マネージャーなどを対象に7月20~22日に実施し、前回は6月分を表します。
1)今回のFOMCでの政策決定はどうなるか
・利上げ 100%
・利下げ 0%
・据え置き 0%
2)次回の利上げ時期
・9月 12%>前回は54%
・12月 72%>前回は21%
・2018年3月 5%=前回は5%
3)2017年の利上げ回数、予想平均
・2017年 2.85回<前回は3.03回(6月利上げに利上げを行えば、年内あと1回)
4)2016~2018年、それぞれの年末FF金利予想平均値
・2017年末 1.39%>前回は1.37%
・2018年末 2.02%、2016年11月以来で最低<2.06%<前回は2.19
・2019年末 2.42%、調査開始以来で2番目の低水準<前回は2.56%
FF金利予想は、2017年を除き前回から下方修正。
5)Fedの利上げ終了着地点、予想平均値
・2.66%、2016年11月以来で最低<前回は2.80%
6)今回の利上げサイクル終了時期、予想平均値
・2019年4~6月期、6回連続
7)バランスシートを縮小する時期
1位 2017年9月 39%>前回は5%、前回の1位は2017年12月で46%
2位 2017年10月 27%>前回は5% 前回の2位は2018年1月で 21%
3位 2017年12月 20%<前回は46%、前回の3位は2017年7、9、10月、2018年3月が全て5%
8)バランスシートの縮小を決定する要因(5→最もあり得る、-5は最もあり得ない)
・経済成長 -0.25
・株式 -0.80
・米債 -1.15
9)バランスシートの縮小規模、平均の目安(現状:4.5兆ドル)
・2.5兆ドル>前回は2.4兆ドル
10)上記のバランスシート縮小規模の目安に到達するのに必要な期間平均
・4.6年=前回は4.6年
11)トランプ米大統領はイエレンFRB議長を再任するか
・イエス 10%<前回は11%%
・ノー 75%>前回は68%
・分からない 15%>前回は21%
12)トランプ米大統領がイエレンFRB議長を再任しない場合、誰を指名するか
1位 ゲイリー・コーン 50%、調査開始以来で最高>前回は20%
2位 ケビン・ウォーシュ元FRB理事 24%=前回は24%、前回1位
3位 ジョン・テイラー元米財務次官 3%、調査開始以来で最低<前回は20%
13)次期FRB議長はエコノミストであるべきか
・イエス 38%
・ノー 35%
・分からない、どちらでもない 28%
14)イエレンFRB議長と比較し、新議長はどんな政策運営を行うか
・ほぼ変わらず 48%
・引き締め寄り 35%・緩和寄り 10%
・分からない 8%
15)トランプ米大統領の政策評価
・支持 29%>前回は27%
・不支持 51%>前回は49%
・分からない 20%<前回は24%
16)トランプ米大統領の経済政策への評価
・支持 43%<前回は50%
・不支持 36%>前回は26%
・分からない 21%<前回は24%
17)ロシアゲートをめぐる捜査、税制改革に影響があるか
・影響なしの可能性 42%・影響なし 54%
・影響ありの可能性 4%
・分からない 2%
18)それぞれの政策を議会が可決し、大統領が署名する時期
19)米株が反映するトランプ政権の政策見通し
・楽観的 50%>前回は47%
・現実的 36%<前回は39%
・分からない 10%<前回は11%
・悲観的 5%>前回は3%
20)米株が反映するトランプ政権の政策見通しは
・楽観的過ぎる 47%<前回は62%
・現実的 39%>前回は31%
・分からない 11%>前回は5%
・悲観的 3%<前回は5%、調査開始以来で最高
21)トランプ政権への期待値に対する評価
・過度に楽観的 64%>前回と2016年12月は56%
・現実的 32%<前回は39%、2016年12月は42%
・分からない 21%>前回は7%
・過度に悲観的 2%<前回は3%、2016年12月は2%
・分からない 2%<前回は3%、2016年12月は0%
22)欧州中央銀行の資産買入縮小時期・平均 2017年12月
・2017年9月 23%
・2017年12月、2018年3月 12%
・2017年10月、2018年1月 9%%
23)GDP見通し
・2017年 2.25%=前回は2.25%
・2018年 2.45%、調査開始以来で最低を維持=前回は2.45%
成長見通しは、米大統領選直後から下方修正続く
24)CPI見通し
・2017年 1.88%、調査開始以来で最低<前回は2.12%
・2018年 2.15%、調査開始以来で最低<前回は2.28%
25)S&P500見通し
・2017年12月末 2,493、調査開始以来で最高>前回は2,442
・2018年12月末 2,588、調査開始以来で最高>前回は2,562
26)米10年債利回り
・2017年12月末 2.59%、2016年11月以来で最低<前回は2.61%
・2018年12月末 3.03%、調査開始以来で最低<前回は3.05%
27)米国にとって最大の脅威は?
1位 保護主義・通商政策 20%>前回は16%、トランプ政権発足後の最低
2位 Fedの金融政策の失敗 18%>前回は8%
3位 税制、規制変更 15%>前回は5%
前回は以下の通り。
1位 地政学的リスク 21%<前回は24%、調査開始以来で最高
2位 保護主義・通商政策 16%、トランプ政権発足後の最低<前回は26%
3位 その他 13%=前回は13%
28)米国、1年以内の景気後退入りリスク
・19.3%、年初来で最高>前回は18.9%
29)最大の関心事は?
・経済 54%>前回は49%
・その他 24%<前回は28%
・株式 15%>前回は13%
・債券 7%<前回は10%
・為替 0%=前回は0%
――いかがでしたか?バランスシートの縮小は、次回9月FOMCが有力視されています。9月から開始し4.6年かけて2.5兆ドル、現時点から約2兆ドルの縮小を予想するなか、2018年末の米10年債利回り予想が低下し、2018年に至っては調査開始以来で最低を更新しましたね。市場関係者が金利への影響を限定的と判断している証左です。
ウォール・ストリートはイエレンFRB議長の再任を予想しておらず、イエレン氏の議会証言前にぶつけてきた報道もあって国家経済会議(NEC)のゲイリー・コーン議長の指名を予想しています。筆者が出張した折には、NYの市場関係者から「コーン氏は専門家とトランプ政権の重要なパイプ役であり、政策立案者ではない」との指摘が聞かれていたものの、金融規制の緩和という重要な政策を管轄に置くだけに、同氏の指名を見込んでいるのでしょう。
トランプ政権の経済政策に対する支持は、医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案移行が進まないなか、税制改革が棚上げされているだけに低下、不支持も上昇しました。ところが、トランプ米大統領自身への支持と不支持がそろって上昇。就任6ヵ月を経て同大統領への支持率低下が頻繁に報じられるものの、ウォール・ストリートでは引き続き信任されている実態が浮かび上がりました。
(カバー写真:Björn Hermans/Flickr)
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