Solid Consumer Spending With Lower Income Growth Pushes Down Saving Rate.
米7月個人消費支出は前月比0.3%増と、市場予想の0.4%増を下回った。前月の0.2%増(0.1%増から上方修正)を超え、16ヵ月連続で増加している。インフレを除く実質ベースでの個人消費は0.2%増と前月と変わらず(±0%から上方修正)、市場予想の0.3%増を下回った。ただし、5ヵ月連続でプラスとなった。実質ベースでの個人消費は前年比で2.7%増となり、前月の2.6%増を上回りつつ年初来平均の2.8%増に近い水準だった。
個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。新車販売台数が7月も1,700万台を割り込んだため耐久財が弱かった上、非耐久財はガソリン価格の下落が重石となっている。サービスも堅調な流れを保った。
・モノは0.565%増、前月の0.012%増を含め過去5ヵ月間で3回目の増加
>耐久財 0.620%増、前月の0.617%増を含め少なくとも5ヵ月連続で増加
>非耐久財 0.535%増、前月の0.305%減から転じ過去5ヵ月間で3回目の減少
・サービス 0.228%増、前月の0.340%増を含め少なくとも10ヵ月連続で増加
米7月個人所得は前月比0.4%増と、市場予想の0.3%増を上回った。前月の±0%から増加に転じただけでなく、5ヵ月ぶりの強い伸びを示す。ただし前年比は実質ベースで前年同月比1.3%増と、前月の1.2%増を上回り7ヵ月連続で増加したとはいえ、2015年からの平均値2.5%増を大きく下回る。実質の可処分所得は0.2%増と、前月の±0%を上回り増加に転じた。前年同月比では1.3%増と前月の1.2%増を上回り、7ヵ月連続で増加した。
貯蓄率は3.5%と、前月の3.6%から低下し年初来で最低だった。なお、2016年12月には3.2%と2007年12月以来の水準まで低下していた。
個人所得、前年比の実質ベースで伸び鈍化は明白。
所得の内訳は、以下の通り。
・賃金/所得 0.5%増、前月と変わらず(民間が0.6%増と前月の0.5%増から伸びを広げ、サービス部門が0.5%増と前月通り、財部門(製造業、鉱業、建設)は0.7%増と前月の0.5%増から加速)
・不動産収入 0.2%増、前月の0.2%減から改善(農場が9.0%増と4ヵ月ぶりに増加、非農場は±0%増と前月の0.3%増から鈍化)
・家賃収入 0.4%増、前月を含め15ヵ月連続で増加
・資産収入 0.6%増と前月の1.7%減から改善(配当が0.5%増と前月の3.0%減を上回り、金利収入も0.6%増と4ヵ月ぶりに増加)
・社会補助 0.3%増、前月の0.3%増を含め3ヵ月連続で増加
・社会福祉 02%増、前月の0.2%増を含め3ヵ月連続で増加(メディケイド=低所得者層向け医療保険が0.4%増と前月の0.1%増を含め増加トレンドを維持、メディケア=高所得者向け医療保険は0.2%増と増加基調を維持、失業保険は0.7%増と2ヵ月連続で増加)
個人消費支出(PCE)デフレーターは原油価格が50ドル割れで推移するなか、前月比0.1%上昇し5~6月の同±0%から改善した。前年比は1.4%上昇し、市場予想並びに前月と一致した。2012年4月以来の2%乗せを達成した2月の2.1%から減速を続け、2016年9月以来の低水準に並んだ。コアPCEデフレーターは前月比0.1%上昇し、市場予想及び前月と一致し4ヵ月連続で上昇。コアPCEデフレーターの前年比は1.4%上昇し、市場予想の1と並び、2015年12月以来の低水準だった。PCEとコアは米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」を2012年5月以来下回り続けている。
PCE、コアPCEそろって減速続きに。
――米4~6月期GDP改定値で個人消費が上方修正されたものの、7月は勢いに翳りが見えています。結果、バークレイズは米7~9月期GDP見通しを従来の2.6%増から2.5%増へ下方修正してきました。所得の伸びが伴なわいため貯蓄率が低下している点が気掛かりなだけに、米8月雇用統計での平均時給の伸びに注目です。
(カバー写真:Joe Wolf/Flickr)
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