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米8月雇用統計、平均時給は低迷続き働き盛りの労働参加率が低下

by • September 3, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off608

Jobs Report Disappoints With Sluggish Wage Growth.

米8月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比15.6万人増と、市場予想の18.0万人増を下回った。前月の18.9万人増(20.9万人増から下方修正)に届かず、年初来で4回目の20万人割れ。3ヵ月ぶりの低水準だった。米8月ADP全国雇用者数、並びに人材派遣会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社が発表した8月の採用予定数より雇用の伸びの鈍化を示す内容だった。過去2ヵ月分は7月分に続き6月分も下方修正(23.1万人増→21.0万人増)、2ヵ月分で4.1万人の下方修正となる。6~8月期平均は18.5万人増で、2016年の平均18.7万人増をわずかながら下回った。年初来でも17.6万人増となり、2016年のペース以下にとどまる。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が前月比16.5万人増と、市場予想の17.2万人増を下回った。前月の20.2万人増(20.5万人増から下方修正)に届かず。民間サービス業は9.5万人増と、前月の17.9万人増(18.3万人増から上方修正)を大きく下回り、5ヵ月ぶりの低水準。セクター別動向では、トップに専門サービスが入り、前月の3位から浮上した。2位は前月と変わらず教育/健康、3位はこれまで上位の常連だった娯楽/宿泊がランクダウンし、その他サービスに入れ替わっている。娯楽/宿泊は、前月に5.3万人増だった食品サービスが大幅減速し、3位以下に転落した。詳細は、以下の通り。

(サービスの主な内訳)
・専門サービス 4.0万人増<前月は5.0万人増、6ヵ月平均は4.7万人増
(そのうち、派遣は±0万人<前月1.0万人増、6ヵ月平均は1.0万人増)
・教育/健康 2.5万人増<前月は5.4万人増、6ヵ月平均は4.3万人増
(そのうち、ヘルスケア/社会福祉は1.7万人増<前月は4.4万人増、6ヵ月平均は3.8万人増)
・その他サービス 1.6万人増>前月は0.6万人増、6ヵ月平均は0.9万人増

・金融 1.0万人増=前月は1.0万人増、6ヵ月平均は1.0万人増
・卸売 0.6万人増=前月は0.6万人増、6ヵ月平均は0.5万人増
・娯楽/宿泊 0.4万人増<前月は5.8万人増、6ヵ月平均は3.9万人増
(そのうち食品サービスは0.9万人増、過去12ヵ月平均は2.4万人増)

・輸送/倉庫 0.2万人増=前月は0.2万人増、6ヵ月平均は0.7万人増
・小売 0.1万人増>前月は0.2万人減、6ヵ月平均は1.5万人減
・公益 0.1万人減=前月は0.1万人減、6ヵ月平均は±0人

・情報 0.8万人減<前月は0.4万人減、6ヵ月平均は0.6万人減
・政府 0.9万人減>前月は1.3万人減、6ヵ月平均は0.1万人減

財生産業は前月比7.0万人増と、前月の2.3万人増(2.2万人増から上修正)を超え6ヵ月ぶりの高水準だった。12ヵ月連続の増加を示す。製造業が3ヵ月連続で増加し、2013年8月以来の高水準。建設は2016年8月以来の減少に転じた前月から改善。原油価格が上げ渋るなか、鉱業は小幅増加に転じた。

(財生産業の内訳)
・製造業 3.6万人増>前月は2.6万人増、6ヵ月平均は1.5万人増
・建設 2.8万人増>前月は0.3万人減、6ヵ月平均は1.2万人増
・鉱業/伐採 0.6万増(石油・ガス採掘は0.1万人の増加)>前月は±0万人、6ヵ月平均は0.7万人増

NFP、年初来で4回目の20万人割れ。

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(作成:My Big Apple NY)

平均時給は前月比0.1%上昇の26.39ドル(約2,900円)と、市場予想の0.2%に届かず。7月の0.3%を下回り、5ヵ月ぶりの低い伸びにとどまった。前年比では5ヵ月連続で2.5%上昇、市場予想の2.6%に及ばず。2009年4月以来の力強さを遂げた2016年12月の2.9%を下回るトレンドを保つ。

週当たりの平均労働時間は34.4時間と、市場予想並びに6~7月の34.5時間を下回った。財部門(製造業、鉱業、建設)の平均労働時間は40.3時間と、7月の40.5時間から短縮し5ヵ月ぶりの低水準。約7年ぶりの高水準を遂げた2014年11月の41.1時間から距離を開けた。

失業率は4.4%と、市場予想並びに2001年5月以来の水準まで改善が進んだ前月の4.3%を上回った。6月に公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる2017年見通しからも上昇した。マーケットが注目する労働参加率は62.9%と、前月と変わらず。原油安が開始する前である2014年3月以来の水準だった2~3月の63.0%を視野に入れている。なお労働参加率のボトムは2015年9〜10月の62.4%で、1977年9月以来の低水準だった。

失業者数は前月比15.1万人増と、3ヵ月連続で増加した。雇用者数は7.4万人減と、2ヵ月連続での2桁増から減少に転じた。労働参加率は変わらなかったものの、失業者が増加するとともに雇用者が減少し。失業率の上昇を促した。就業率は60.1%と前月の60.2%を下回った。なお7月は、4月に続き2009年2月以来の高水準を果たした。

フルタイムとパートタイム動向を季節調整済みでみると、フルタイムは前月比0.1%減の1億2,576万人と、2ヵ月連続で減少した。パートタイムは0.1%増の2,757万人と、2ヵ月連続で増加。増減数では前月に続きフルタイムが17万人減、パートタイムは3.4万人増とパートタイムのみ増加していた。

総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は民間雇用者数の伸びが鈍化した上に週当たり平均労働時間も小幅ながら短縮したため、0.2%低下し上昇基調にブレーキを掛けた。平均時給は前月比で伸びが小幅にとどまり、労働所得(総労働投入時間×時間当たり賃金)は前月比で微減し、7月の0.8%を下回った。

かつてイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のダッシュボードに含まれ、「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々、縁辺労働者、職探しを諦めた者など)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。

1)不完全失業率 採点-△
経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている者などを含む不完全失業率は8.6%と6~7月と変わらず、2007年11月以来の最低を更新した前月の8.4%から上昇したままだ。不完全失業者は525.5万人と、前月の528.2万人から減少。ムニューシン米財務長官候補が指名公聴会後に書簡で重視すると明らかにしたU-5すなわち縁辺労働者を含む失業率は5.4%と6~7月月の5.3%から上昇、直近で最低だった5月の5.2%を上回ったままだ。

2)長期失業者 採点-△
失業期間の中央値は10.5週と、前月の10.4週から延びた。2008年11月以来の10週割れを達成した6月の9.6週を上回る水準を保つ。平均失業期間は24.4週と、前月の24.9週から短縮。ただし、2009年6月以来で最短だった4月の24.1週から延びたままだ。27週以上にわたる失業者の割合は24.7%と、約1年ぶりの高水準だった前月の25.9%から低下。もっとも、2009年1月以来の水準に並んだ4月の22.6%には距離を残す。

3)賃金 採点-△
今回は前月比0.1%上昇し7月の0.3%を下回り、前年比は5ヵ月連続で2.5%の上昇にとどまった。2009年4月以来の高水準だった2016年12月の2.9%以下のトレンドを維持している。生産労働者・非管理職の平均時給は前月比0.2%上昇の22.12ドルと伸び率はヘッドラインを上回った。ただし、前年比は2.3%の上昇とヘッドラインを下回る。非管理職・生産労働者の賃金は、2016年10月からの流れを引き継ぎ管理職を合わせた全体に追いつかない状況だ。

平均時給、前年比では引き続き生産・非管理職の労働者が管理職を含めた全体に及ばず。

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(作成:My Big Apple NY)

4)労働参加率 採点-△
労働参加率は62.9%と前月と一致、2~3月に示した原油安が開始する前の2014年3月以来の水準である63.0%に接近している。ただ、金融危機以前の水準である66%台は未だ遠い。 軍人を除く労働人口は微増の1億6,057万人と、労働参加率が改善したように2ヵ月連続で増加。非労働人口は0.1%増の9,479万人と3ヵ月ぶりに増加した。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、Fed番のニック・ティミラオス記者の署名記事で「雇用統計はFedの政策道筋に変更を促さず、ただ低インフレの問題を残す(Jobs Report Won’t Alter Immediate Fed Plans, but Doesn’t Solve Inflation Puzzle)」と題した記事を配信。9月19~20日開催のFOMCで、予定通り資産圧縮を決定する見通しながら、平均時給の伸びが5ヵ月連続で2.5%の上昇にとどまり、経済に過熱感は見られず、利上げに慎重となる可能性を伝えた。

——米8月雇用統計・NFPは①NFPの伸び鈍化、②NFPの過去分は下方修正、③平均時給の伸びは低迷、④週当たり平均労働時間が短縮、⑤失業率が上昇――など、全体的にさえません。特に平均時給の伸びは、貯蓄率の低下を含め4~6月期に改善した個人消費の勢いに翳りが出てくる可能性を示唆します。

また、労働参加率は全体でこそ7月と変わらなかったものの、25~34歳、35~44歳の働き盛りで低下していました。

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(作成:My Big Apple NY)

気になる米7~9月期GDP、アトランタ地区連銀は従来の3.3%増から3.2%増へ下方修正しました。NY地区連銀は逆に従来の1.9%増から2.2%増へ上方修正。エコノミスト予想は2.5%増近くが目立ち、少なくとも大幅減速を見込んでいません。果たして、予想通り個人消費が堅調なペースを維持できるのか、次回の米9月雇用統計の結果が待たれます。

(カバー写真:Franck Vervial/Flickr)

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