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米10月鉱工業生産はハリケーン需要で好調、製造業景況指数は低下

by • November 17, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2089

Industrial Production Rises Strongly On Hurricane Demand.

米10月鉱工業生産、11月のフィラデルフィア連銀並びにNY連銀製造業景況指数、米11月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米10月鉱工業生産指数は前月比0.9%上昇し、市場予想の0.5%を上回った。前月の0.4%増(0.3%増から上方修正)を超え、6ヵ月ぶりの強い伸びを示し2ヵ月連続でプラスとなる。ハリケーン通過後に新車販売台数が2ヵ月連続で1,800万台に乗せたように、自動車が前月に続き好調。自動車を除いた場合は0.9%増とヘッドラインと変わらず、前月の0.4%増を上回った。公益は上昇に反転、鉱業は逆に低下に転じた。

稼働率は77.0%となり、市場予想の76.3%を上回った。前月の76.4%(76.0%から上方修正)を超え、2015年4月以来の力強い伸びを達成。原油価格が約2年ぶりの高値へ戻すに合わせ、稼働率も改善しつつある。ただ、リセッション前の80%乗せが引き続き遠い。

内訳をみると、製造業(全体の78.5%)は前月に続き上昇した。自動車を除いた製造業も、2ヵ月連続でプラスに。公益(全体の10.8%)は、3ヵ月ぶりに上昇している。鉱業(全体の10.8%)は原油価格の上昇過程ながら、低下に転じた。

・製造業 1.3%の上昇>前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>自動車 1.0%の上昇<前月は1.7%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の低下
>機械 ±0%<前月は3.3%の上昇、6ヵ月平均は±0%
>コンピューター/電気製品 0.6%の上昇>前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇

・公益 2.0%の上昇>前月は1.0%の低下、6ヵ月平均は0.3%の上昇
>電力 2.5%の上昇>前月は0.9%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>天然ガス 2.0%の低下<前月は1.9%の低下、6ヵ月平均は1.9%の上昇

・鉱業 1.3%の低下<前月は1.5%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇

鉱工業生産、前年比は2015年1月以来の高水準。

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(出所:My Big Apple NY)

▽11月のNY連銀製造業景況指数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は低下

米11月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)は19.4となり、市場予想の25.1を下回った。2014年9月の高水準に並んだ前月の30.2以下にとどまっただけでなく、4ヵ月ぶりの低水準となる。項目別で前月を上回ったのは新規受注、在庫、販売価格。逆に前月を下回った項目は出荷をはじめ雇用、平均労働時間、受注残、入荷時間、仕入れ価格だった。

6ヵ月先見通し指数は49.9と、前月の44.8だけでなく米大統領選直後の高水準を超え、2012年1月以来の高水準を遂げた。項目別では新規受注、出荷、平均労働時間、雇用などそろって上昇。在庫と仕入れ価格のみ前月以下となった。

米11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は22.7となり、市場予想の24.6を下回った。前月の27.9に届かず、3ヵ月ぶりの水準へ鈍化した。項目別で前月を上回ったのは新規受注、受注残、仕入れ価格。逆に前月を下回ったのは出荷、雇用、平均労働時間、在庫、自入荷時間だった。

6ヵ月先見通し指数は50.1となり、前月の46.4を上回った。項目別で前月を上回ったのは新規受注、出荷、在庫、雇用、平均労働時間、販売価格、受注残、入荷時間。前月以下だった項目は仕入れ価格と設備投資のみだった。

――米10月鉱工業生産はハリケーン後の復興を表す内容でした。NY連銀製造業景況指数とフィラデルフィア連銀製造業景況指数と正反対の結果でしたが、連銀製造業景況指数は6ヵ月見通しで上昇しており、直近の低下はハリケーン需要一巡を見据えた調整とみられます。

設備稼働率とNY連銀、フィラデルフィア連銀の製造業景況指数の見通しはそれほど強い相関性なし。

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(作成:My Big Apple NY)

▽米11月NAHB住宅市場指数、05年以降で2番目の高水準

米11月NAHB住宅市場指数は70となり、市場予想の67を上回った。前月の68も超え、8ヵ月ぶりの高水準であるだけでなく、2005年以降では過去2番目のレベルに達した。税制改革への道筋が明らかになり、かつハリケーン後の復興需要にも支えられ、建設業者のセンチメントが上昇したようだ。

内訳をみると、一戸建て現況指数が77と前月の70を上回ったほか、一戸建て見通し指数も78と、2005年6月以来で最高に。客足の動向を表す見込み客指数は48と、2016年11月以来の低水準だった前月の47を超え分岐点割れを維持した。

指数は全体的に下向き。

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(作成:My Big Apple NYが作成)

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグランガー・マクドナルド会長は、結果を受け「11月は金融危機後の景気回復期で2番目の水準へ上昇し、住宅市場が安定的に拡大する力強い兆しをみせる」と前月と打って変わって楽観的な見解を寄せた。ただ、人材不足や原材料不足、原材料価格の上昇など供給側の問題を抱えていると指摘することも忘れない。ロバート・ディエス主席エコノミストは「労働市場や経済成長の拡大、持ち家率の上昇、住宅在庫不足を受け、住宅需要は高まり続けている」とコメント。経済ファンダメンタルズにも支えられ、「一戸建て市場は良好に1年を終えるだろう」との自信も示した。

(カバー写真:Mike Willis/Flickr)

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