ISM Manufacturing Index Edges Down In October.
米11月ISM製造業景況指数、米11月マークイット製造業PMI確報値、米10月建設支出、をおさらいしていきます。
米11月ISM製造業景況指数は58.2 となり、市場予想の58.3に届かなかった。前月の58.7と合わせ、2004年5月以来の高水準を達成した9月の60.8を2ヵ月連続で下回る。ハリケーンの復興需要期待で上振れした分がゆるやかに巻き戻されつつあるようだ。もっとも米株高や税制改革成立の期待に支えられ、15ヵ月連続で分岐点に乗せている。内訳をみると生産や新規受注、雇用、仕入れ価格と全体的に上放れした前月から上げ幅を狭めた。詳細は、以下の通り。
・生産 63.9、15ヵ月連続の分岐点乗せ＞前月は61.0、6ヵ月平均は61.9
・新規受注 64.0、15ヵ月連続の分岐点乗せ＞前月は63.4、6ヵ月平均は62.7
・雇用 59.7、14ヵ月連続にて分岐点乗せ＜前月は59.8、6ヵ月平均は58.7
・在庫 45.5、2ヵ月連続で分岐点割れ＜前月は48.0、6ヵ月平均は45.3
・新規輸出受注 56.0＜前月は56.5、6ヵ月平均は57.0
・仕入れ価格 65.5＜前月は68.5、6ヵ月平均は64.1
・受注残 55.0＝前月は55.0、6ヵ月平均は56.3
・入荷時間 56.5＜前月は61.4、6ヵ月平均は58.6
ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果に対し「18業種のうち14業種で拡大した」と明かした。前月の16業種から減少、今回は2業種が横ばいだったものの木材製品と石油・石炭製品は縮小した。
▽米11月IHSマークイット製造業PMI・確報値、1月以来の高水準から鈍化
米11月IHマークイット製造業PMI確報値は53.9と、市場予想並びに速報値の53.8から上方修正されつつ、市場予想値の54.0を下回った。1月以来の高水準となる前月の54.6以下となる。内訳をみると、仕入れ価格が約4年ぶりの水準へ上昇したほか、新規受注も7ヵ月ぶりの強い伸びに。雇用も2015年6月以来で2番目の水準を示す。
クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「ハリケーン後の復興需要を反映した10月から小幅に低下したが、10～12月期は約2年ぶりの高水準となる見通し」と振り返った。また「雇用は年初の抑制された水準から改善し、ビジネスにも楽観度が高まってきた」と明るい見方を寄せる。仕入れ価格の上昇は「ハリケーン後のサプライチェーンの混乱を受けたもの」と判断、「まもなく落ち着くだろう」と予想するなど、全体的に楽観的なトーンに終始している。
ISM製造業景況指数とマークイット製造業PMI、共に低下。
（作成：My Big Apple NY）
――ISMとマークイット製造業PMIはそろって11月に小幅低下しました。前者は、雇用をはじめ主な項目が軒並み軟化し、9月の上昇がハリケーン特需だったことを裏打ちしています。ただし、上院で税制改革法案が成立し、いよいよ年明けに実施となる公算が大きくなる状況。法人税率は2019年から引き下げられるとはいえ、設備投資につき全額、即時償却できる見通しで追い風となる期待を膨らませます。
▽米10月建設支出、住宅・住宅ともハリケーン特需もあって増加
米10月建設支出は前月比1.4％増の年率1兆2,415億ドルとなり、市場予想の0.5％増を上回った。前月の0.3％増を含め、3ヵ月連続で増加している。内訳をみると、非住宅が2.1％増と3ヵ月連続で増加し全体を牽引、住宅は±も0.4％増と前月の±0％から改善した。ハリケーン直撃後の特需を一部反映したとみられる。
民間は前月比0.6％増と、4ヵ月ぶりに増加した。非住宅が0.9％増、住宅も0.4％増とそれぞれ増加に転じている。公共は3.9％増と、前月の2.0％増を上回った。住宅が3.0％減だったものの、非住宅が4.0％増と3ヵ月連続で増加した。
建設支出の前年比は2.9％増と、前月の2.4％増（修正値）を含め2011年7月以来の増加トレンドを保つ。住宅が7.2％増と2011年6月以来の増加トレンドを維持しつつ、非住宅は±0％と減少基調を4ヵ月で止めた。
――アトランタ地区連銀は1日までの経済指標を受け、米10～12月期実質GDP成長率見通しを従来の2.7％増から3.5％増へ、NY地区連銀も従来の3.7％増から3.9％増へ上方修正した。
（カバー写真：Department for Business, Innovation and Skills/Flickr）
Comments
米上院、税制改革法案を可決—薄氷の勝利 Next Post:
米11月新車販売台数、ハリケーン特需が後退し2ヵ月連続で減少
about the author: Sawako
