Consumer Inflation Stays Soft While Producer Prices Accelerate.
米11月消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%の上昇となり、市場予想と一致した。前月の0.1%から加速し、5ヵ月連続で上昇している。エネルギーが3.9%上昇し、ハリケーンで急伸した反動で3ヵ月ぶりに低下した前月の1.0%のマイナスから転じた。ガソリン価格が7.3%上昇、前月の2.4%の低下から反転しエネルギーを押し上げている。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は9月に一時2.685ドルと2014年12月以来の水準へ高騰を経てハリケーンの通過に伴い10月に2.479ドルへ押し返されたが、原油先物の上昇を背景に11月には2.592ドルへ戻した。一方で食品・飲料は2ヵ月連続で±0%だった。
CPIコアは前月比0.1%上昇し、市場予想と前月の0.2%以下にとどまった。項目別では、サービスが0.2%上昇し8ヵ月連続でプラスを示した。帰属家賃が前月の0.3%に続き0.2%へ上昇したほか、家賃も前月の0.3%から0.2%となった結果、住宅が0.2%の上昇と前月の0.3%以下ながら上昇トレンドを保つ。教育は前月の0.2%から0.3%へ上昇した。ガソリン価格が急伸するなか輸送は1.9%の上昇、前月の0.5%の低下から転じた。ハリケーン後の需要回復を支えに中古車が1.0%上昇し2ヵ月連続でプラスとなっている。新車も0.3%上昇し、3ヵ月ぶりにプラスに転じた。もっとも航空運賃は前月の0.6%の上昇から2.4%へ低下し、過去4ヵ月間で3回目のマイナスとなる。医療費は±0%と、前月の0.3%の上昇からシフト。服飾は気温低下を受けながら1.3%低下し、3ヵ月連続でマイナスに落ち込んだ。娯楽は±0%と、前月の低下に続き軟調だった。
CPIは前年比で2.2%上昇し、市場予想と前月の2.0%を上回った。コアCPIは1.7%上昇、市場予想と前月の1.8%を下回り足元のレンジ下限にとどまる。
CPI、エネルギーが再加速し自動車が上昇もサービスを中心に軟調。
米11 月生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇し、市場予想と一致した。前月を含め、3ヵ月連続で同水準となる。2014年末以来の高値へ振れた結果、エネルギーが4.6%の上昇と全体を押し上げた。PPIコアは前月比0.3%上昇、市場予想の0.2%を上回った。ただし、5ヵ月ぶりの高い伸びとなった前月の0.4%以下だった。
内訳をみると、財は1.0%上昇し、前月の0.3%から加速し直近で最大の伸びとなった。エネルギーが4.6%上昇し前月の±0%から加速、全体を押し上げている。食品は0.3%上昇し、2ヵ月連続でプラスに。サービスは0.2%上昇、前月の0.5%を下回った。
PPIは前年同月比で3.1%上昇し、市場予想の2.8%を超えた。14ヵ月連続でプラスだった上、2011年12月以来の高い伸びを達成している。コアPPIは市場予想通り並びに前月と同じく2.4%と、2012年2月以来の高水準を示した。
PPI、コアともに力強い伸びに。
――11月のPPIは上振れしたものの、CPIコアは引き続き伸び悩む状況です。消費者に価格を転嫁させているとの報告があった11月ベージュブックとは、裏腹な内容です。仕入れ価格が販売価格に波及しなければ業績に影響を及ぼすリスクをはらむなか、平均時給の伸びがさえない事実が横たわります。イエレンFRB議長は最後となるFOMC後の記者会見で引き続き低インフレが「一時的」との姿勢を貫くものの、物価上昇→賃上げの兆しは未だ見えていません。
(カバー写真:De kleine rode kater/Flickr)
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