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米10~12月期GDP改定値、在庫投資と設備投資により僅かに下方修正

by • February 28, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2454

U.S. Q4 Growth Revised Down, Dragged By Capital Spending And Inventories.

2017年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)成長率・改定値は前期比年率2.5%増と、市場予想と一致した。前期は3.2%増と、4~6月期を含めトランプ政権の成長目標である3%を達成していたが、速報値通り3期ぶりに大台を割り込んでいる。前年同期比は2.5%増で改定値と変わらず。前期の2.3%増を上回り、2015年4~6月期以来の高水準を示す。

なお、2017年は通期で前年比2.3%増となり、2010年にプラス成長を回復して以来で最低だった前期の1.5%増から改善した。内訳をみると、個人消費が牽引し前期に続き2.7%増だったほか、民間支出は3.2%増と前期の1.6%減から反転。特に、企業の設備投資を表す構築物投資が前期の3.4%減を打ち消し4.8%増となったほか、機器投資も前期の4.1%減から5.4%増に改善した。輸出も前期の0.3%減から3.4%増と大きくプラスに転じ、政府支出が0.1%増と前期の0.8%増から鈍化した点を補った。

2017年の成長率は個人消費と企業の設備投資に加え、純輸出も堅調。
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(出所:MGSSI)

GDPの7割を占める個人消費は、前期比年率3.8%増と速報値と一致し、市場予想の3.6%増を上回った。前期の2.2%増を超え、ホリデー商戦の好調ぶりが際立った通り2016年4~6月期以来で最高となる。新車販売台数の回復が効いたほか、寒冷な気候もあって暖房需要を含むサービスが支えた。GDPの寄与度は速報値と同じく2.58%ポイントと前期の1.49%ポイントを超え、3年ぶりの力強さを示す。

▽個人消費の内訳
・耐久財 13.8%増<速報値は14.2%増、2009年7~9月期以来の高水準、前期は8.6%増
・非耐久財 4.3%増<速報値は5.2%増、2010年10~12月期以来の高水準、前期は2.3%増
・サービス 2.1%増>速報値は1.8%増、前期は1.1%増、2013年4~6月期以来の低水準

民間投資の伸び率は、前期を下回っただけでなく、速報値から下方修正された。項目別では、研究・開発費を含む無形資産の下方修正が目立ったほか、在庫投資の伸びも引き下げられ、GDPの重石となった。一方で企業の設備投資の一角を担う構築物投資、機器投資は上方修正され、住宅投資も速報値を上回った。民間投資の寄与度は速報値の0.6%ポイントから0.59%ポイントへ若干の下方修正、前期の1.19%ポイントも下回った。在庫投資の寄与度も同じく前期の0.8%ポイント以下となっただけでなく、速報値の0.67%ポイントのマイナスから0.7%ポイントへマイナス幅を広げた。

▽民間投資の内訳
・民間投資 3.5%増<速報値は3.6%増、前期は7.3%増と3期ぶりの高水準
・固定投資 8.1%、3期ぶりの高水準>速報値は7.9%増、前期は2.4%増
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 6.6%増<速報値は6.8%増と3期ぶりの高水準、前期は4.7%増
>構築物投資 2.5%増>速報値は1.4%増、前期は7.0%減と3期ぶりに減少
>機器投資 11.8%増、2014年7~9月期以来の高水準>速報値は11.4%増、前期は10.8%増
>無形資産 2.4%増<速報値は4.5%増、前期は5.2%増
・住宅投資 13.0%増、3期ぶりにプラス>速報値は11.6%増、前期は4.7%減
・在庫投資 80億ドル増<速報値は92億ドル増、前期は385億ドル増

純輸出の寄与度は、速報値通り4期ぶりにマイナスに転じた。政府支出の寄与度は改善し前期の0.12%ポイントから0.49%ポイントへ改善も、速報値の0.5%から下方修正された。

▽純輸出
・純輸出の寄与度 1.13%ポイントのマイナス、1年ぶりのマイナスに=速報値は1.13%ポイントのマイナス、前期は0.36%ポイントと1年ぶりの高水準

▽政府支出
・政府支出 2.9%増<速報値は3.0%増と2015年4~6月期以来の高水準、前期は0.7%増、3期ぶりに増加
・連邦政府 3.2%増<速報値は3.5%増と2009年4~6月期以来の高水準、前期は1.3%増(連邦政府は防衛支出が5.6%増、非防衛財は±0%と増加基調を2期でストップ)
・州政府・地方政府 2.7%増、2016年1~3月期以来の高水準>速報値は2.6%増、前期は0.2%増

Q4の成長率は企業の設備投資のうち無形資産と在庫投資が成長の重石に。
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(出所:MGSSI)

GDP価格指数は前期比年率2.3%上昇し、市場予想並びに速報値の2.4%を下回った。ただ前期の2.1%から加速し、2014年4~6月期以来で最高となる。ハリケーン後のガソリン価格高騰のほか、商品先物の上昇が影響したようだ。PCEデフレーターは2.8%上昇し、前期の1.5%を超え少なくとも過去3年間で最高となった。コアPCEデフレーターは1.9%上昇、市場予想と速報値と一致した。前期の1.3%を超え、2016年7~9月期以来のFOMCのインフレ目標値「2%」乗せを視野に入れた。

――米10~12月期実質GDP成長率は3%に届かなかったものの、個人消費と企業の設備投資(除く無形財産)の力強さをあらためて確認しました。最終消費も4.3%増と好調で、内需の良好な環境を表します。税制改革法案の成立もあって米経済は巡航速度で成長するとみられ、JPモルガンやバークレイズなどの1~3月期実質GDP成長率予想は2.5%増と、2017年Q4と変わらない見通し。今年は、季節性残差の影響で下押ししない公算となります。

(カバー写真:Matrika Bailey-Turner/Flickr)

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