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2月のADP全国雇用者数と採用予定数は大幅増、臨時雇用も追い風に

by • March 9, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1948

National Employment Continues To Increase Strongly In February.

2月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定数をおさらいしていきます。

米2月ADP全国雇用者数は前月比23.5万人増となり、市場予想の20万人増を上回った。税制改革法案の実現という追い風を受け、4ヵ月連続で20万人増を達成している。ADP全国雇用者数は2010年2月以来の増加トレンドを維持した。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、4ヵ月連続で20万人乗せ。

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が19.8万人増と前月の20.5万人増(修正値)に届かなかったとはいえ、加トレンドを維持した。内訳をみると、オンライン小売が伸びるなかで足元の流れを受け継ぎ、貿易・輸送(4.7万人増→4.4万人増)だったほか、専門サービス(4.9万人増→4.6万人増)、教育(4.3万人増→4.4万人増)と牽引した。

財部門(製造業、建設、鉱業)は3.7万人増と前月の3.9万人増(修正値)を下回ったが、11ヵ月連続で増加している。ハリケーン後の復興需要を追い風に力強かった建設が堅調なペースを維持し、2.1万人増と8ヵ月連続で増加。前月の3.0万人から鈍化。原油先物が約3年ぶりの60ドル台に乗せるなか、鉱業も0.2万人増と4ヵ月連続で増加している。製造業は前月と変わらず1.4万人増だった。

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「労働市場は好調で、過熱の脅威にさらされている」と分析。2018~19会計年度に政府支出が増額することもあって、「成長は加速する見通し」とまとめた。

▽米2月チャレンジャー人員削減予定数は減少、通年では93年以来で最低

米2月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比4.3%減の35,369人3ヵ月連続で減少した。人材不足が指摘される通り労働市場の好調な流れを受け継ぎ、前月比でも20.8%減と減少している。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「経済は完全雇用の状態にあり、現状の労働力を維持している」と振り返った。また「人員削減予定数は22ヵ月連続で5万人を割り込み、1996年2月から1997年2月以来で最長」とも評価する。トランプ大統領による鉄鋼・アルミへの追加関税発表については「短期的に対象産業の雇用増加を生み出す見通しだが、同産業では大勢として自動化の流れがあり、関税は自動車や航空など製造業関連の雇用に打撃を与えかねない」と懸念を寄せた。

2月は人員削減予定数、3ヵ月連続にて前年比で減少。

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(作成:My Big Apple NY)

年初来では前年比3.5%減の8万22人で、1995年以来で最低となる。

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。2017年1〜12月、2018年1月と変わらず1位は小売で21,484人だった。なお1は1位が小売、2位がヘルスケア、3位がサービス、4位が産業、5位が輸送だった。

1位 小売 21,484人(全体の60.7%)
2位 ヘルスケア 10,392人(全体の29.4%)
3位 サービス 10,320人(全体の29.2%)
4位 産業 8,250人(全体の23.3%)
5位 輸送 4,007人(全体の11.3%)

州別動向は、単月で1月と変わらず。1位は石油関連企業が多いテキサス州、2位はラストベルトの一角を担い日本企業も進出するオハイオ州、3位は2017年10月から1位を維持し、IT企業のメッカであるカリフォルニア州、他は人口の多いニューヨーク州が4位、ペンシルベニア州が5位となった。

1位 テキサス州 10,510人(全体の29.7%)
2位 カリフォルニア州 10,339人(全体の29.2%)
3位 オハイオ州 9,183人(全体の26.0%)
4位 ニューヨーク州 4,783人(全体の13.5%)
5位 ペンシルベニア州 3,609人(全体の10.2%)

リストラ実施の理由、ランキングは以下の通り。前月の1位は閉鎖、2位がコスト削減、3位はリストラ、4位は契約切れ、5位はM&Aとなる。

1位 リストラ 19,862人(全体の56.2%)
2位 閉鎖 11,140人(全体の31.5%)
3位 コスト削減 1,544人(全体の4.4%)
4位 契約切れ 970人(全体の2.7%)
5位 M&A 836人(全体の2.4%)

採用予定数は、前年同月比5倍増の139,925人だった。前月比でも3倍増となる。なお前月の1位は小売、2位は航空・防衛、3位は産業財、4位は娯楽・宿泊、5位は消費財だった。

1位 小売 133,875人
2位 航空・防衛 1,000人
3位 産業財 903人
4位 娯楽・宿泊 845人
5位 消費財 592人

――米2月ADP全国雇用者数が4ヵ月連続で20万人増を叩き出し、米2月雇用統計・非農業部門就労者数は市場予想の20万人増を上回る期待が募ります。採用予定数では小売が急増しましたが、これはリフォーム関連小売のロウズやホーム・デポが春を迎えた書入れ時に13.3万人増の臨時雇用を発表したためで、2006年以来で最高の規模に。臨時雇用の押し上げが3月に実現すれば、雇用統計・NFPの数字は一段と明るさを増すでしょう。問題は、平均時給。1月は悪天候に関わる特殊要因で前年比2.9%増と2009年以来の高水準でしたが、臨時雇用がNFPを押し上げるならば、高賃金職と言えず、賃金加速を促しそうにありません。

(カバー写真:Alex Barth/Flickr)

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