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米2月耐久財受注、コア資本財受注が3ヵ月連続で増加

by • March 27, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2538

Capital Goods Orders And Existing Home Sales Rebound In February.

米2月耐久財受注、米2月中古住宅販売件数、米2月新築住宅販売件数をおさらいしていきます。

米2月耐久財受注は前月比3.1%増となり、市場予想の1.6%増を上回った。前月の3.5%減(3.6%減から上方修正)の減少をほぼ打ち消し、過去4ヵ月間で3回目の増加を示す。2017年6月以来の力強い伸びとなった。

内訳をみると、輸送用機器を除く耐久財が1.2%増と、市場予想の0.5%増を超えた。前月の0.2%減(0.3%減から上方修正)を超え、過去7ヵ月間で6回目の増加となる。輸送用機器は7.1%増と、前月の9.8%減(修正値)を上回り、過去4ヵ月間で3回目の増加を示す。民間航空機が25.5%増と、前月の減少(27.9%減、修正値)の減少をほぼ相殺し、輸送機器を支えた。新車販売台数は芳しくないものの、自動車は1.6%増と前月を含め2ヵ月連続で増加した。防衛財は16.5%増、前月の26.4%減(修正値)から転じ、過去4ヵ月間で3回目の増加となった。

企業の設備投資を表す民間航空機を除く非防衛財(コア資本財)は1.8%増と、市場予想の0.9%増を上回った。前月の0.4%減(0.3%減から下方修正)を超え、3ヵ月ぶりに増加した。内訳をみると、機械が2ヵ月連続、電気機器が2ヵ月連続で増加している。一時金属や組み立て金属も、それぞれ増加。一方で、コンピューター・電子機器は2ヵ月連続で減少した。

耐久財出荷は前月比0.9%増となり、前月の0.5%増(修正値)を含め増加トレンドを維持した。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財の出荷は1.4%増と、市場予想の0.5%増を上回った。前月の0.1%増(0.1%減から上方修正)を含め、13ヵ月連続で増加した。

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(作成:My Big Apple NY)

耐久財在庫は0.4%増となり、前月の0.4%増(修正値)を含め14ヵ月連続で増加した。出荷の伸びが在庫を上回ったものの、在庫相当は前月まで3ヵ月連続で1.65ヵ月を経て、1.64ヵ月へ短縮した。

▽米2月中古住宅販売件数、在庫改善に支えられ3ヵ月ぶりに増加

全米リアルター協会(NAR)が発表した米2月中古住宅販売件数は年率554 万件と、市場予想の540万件を超えた。前月の538万件を3.0%上回り、3ヵ月ぶりに増加に転じている。前年比では1.1%増と、前月の4.8%減から転じ過去4ヵ月間で3回目の増加を示した。逼迫する在庫が小幅改善し、販売件数の回復につながったとみられる。

内訳をみると、一戸建てが前月比4.2%増の496万件と3ヵ月ぶりに増加しつつ、2007年2月以来の500万件乗せを達成した2017年11月を下回ったままだ。複合住宅は6.5%減の58.0万件と、2015年11月以来で初めて60万件を割り込んだ

4大地域別では、2地域で増加し前月のゼロから改善した。一戸建ての比率が高く住宅市場規模が最大の南部が前月比6.6%増の241万件、IT企業が集まる西部も11.4%増の127万件となる。反対に複合住宅が多い北東部は12.3%減の64万件、中西部は2.4%減の122万件だった。

在庫件数は前月比4.6%増の159万件と、2ヵ月連続で増加した。1999年以来での最低を更新した2017年12月の146万件を上回る。ただ販売件数が在庫の増加率を上回ったため、在庫相当は前月と変わらず3.4ヵ月と、少なくとも2014年以降で最短となる2017年12月の3.2ヵ月をわずかに超える程度だ。中央価格は前年比で4.3%上昇の24.17万ドル。前月比では0.4%上昇した。売り出し平均期間は37日と、前月の42日から短縮しただけでなく直近で最短となった。

買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 3%<前月は4%、前年同月は6%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 1%=前月は1%、前年同月は1%
・新規購入者 29%=前月は29%、前年同月は32%
・現金での購入者 24%>前月は22%、前年同月は27%
・住居用ではなく投資向け 15%<前月は17%、前年同期は17%

中古住宅販売件数、一戸建てが販売増加の立役者。

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(作成:My Big Apple NY)

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、今回の結果を受け「全米でまちまちな結果だったものの、南部と西部が牽引し過去2ヵ月分の減少から脱却した」と振り返る。特に西部は、「在庫環境の改善が増加につながった」と指摘。労働市場と経済の拡大は住宅市場に追い風であるものの、今後は北東部を中心に積雪に見舞われた影響から「数ヵ月先は一時的に鈍化が見込まれる」と予想した。

▽米2月新築住宅販売件数、3ヵ月連続で減少

米2月新築住宅販売件数は年率61.8万件と、市場予想の62.0件と概して変わらなかった。前月の62.2万件(59.3万件から上方修正)を0.6%下回り、3ヵ月連続で減少。2007 年10月以来の高水準を達成した2017年11月の71.1万件で、いったんのピークアウトを示す。高止まりする住宅価格に加え、金利上昇に加え、米株安がセンチメントを冷やしたようだ。

4大地域別では、1地域のみ増加し前月の2地域から減少した。今回は住宅市場規模が最大の南部のみ増加し33.8万件とだったが、西部、中西部、北東部とそろって減少した。

新築住宅販売件数、景気後退以前の水準を回復した後は伸び悩み。

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(作成:My Big Apple NY)

在庫総数は前月比2.0%増の30.5万件と、2009年3月以来で最高を遂げた。在庫相当は販売件数が減少し在庫が増加したため、前月の5.8ヵ月から5.9ヵ月へわずかに延びている。中央価格は32.68万ドルと前月の32.49万ドル(修正値)から上昇。過去最高を更新した2017年11月の34.34万ドルを下回りつつ、高止まりを保つ。前年比では0.5%上昇、6ヵ月連続でプラスを示した。

――米2月中古住宅販売件数は逼迫した在庫が小幅改善した結果、改善につながったとみられます。ただ、引き続く住宅価格が高水準にある事情から、新規購入者の割合は29%と伸び悩みました。新築住宅販売件数は価格の高止まりに加え米株安が影響を及ぼしたとみられ、3ヵ月連続で減少。税制改革法案の成立で住宅ローン利子控除が従来の100万ドルから75万ドルへ引き下げられた結果、高額価格帯が全体を押し下げている可能性があります。高額住宅建築業者はKBホームズの12~2月期決算ではネット受注件数が8%増とアナリスト予想平均の6.3%増を上回るなど、需要は旺盛なもよう。足元で軟調な住宅市場は、直近で米10年債利回りの上昇が一服していることもあり、春先に改善の余地を残します。

米2月耐久財受注はコア資本財受注をはじめ明るい内容でした。税制改革法案成立の追い風もあって、引き続き設備投資需要は堅調さを示します。アトランタ地区連銀の1~3月期実質GDP成長率予測値は23日時点で1.8%増NY地区連銀は2.9%増とまちまちながら、潜在成長率を上回る見通しで、引き続き米経済のモメンタムは健全と言えそうです。

(カバー写真TheLeadSA/Flickr)

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