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3月のADP全国雇用者数は好調、採用予定数は大幅鈍化と明暗分かれる

by • April 6, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1420

National Employment Increase Strongly, But Hiring Announcement Fall.

3月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定数をおさらいしていきます。

米3月ADP全国雇用者数は前月比24.1万人増となり、市場予想の21万人増を上回った。トランプ政権が太陽光パネル・洗濯機の追加関税を決定し、米国の保護主義寄りな通商政策が強まり始めるなか、前月の24.6万人増を含め5ヵ月連続で20万人増を達成している。ADP全国雇用者数は2010年2月以来の増加トレンドを維持した。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、5ヵ月連続で20万人乗せ。

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が17.6万人増と前月の20.4万人増(修正値)に届かなかったとはいえ、増加トレンドを維持した。内訳をみると、オンライン小売が伸びるなかで足元の流れを受け継ぎ、貿易・輸送(前月の4.4万人増→4.0万人増)だったほか、専門サービス(5.3万人増→4.4万人増)が高い伸びを示す。教育(4.2万人増→2.8万人増)、娯楽(4.7万人増→2.6万人増)も、前月以下ながら堅調だった。

財部門(製造業、建設、鉱業)は4.2万人増と前月の6.5万人増(修正値)を下回ったが、12ヵ月連続で増加している。建設が3.1万人増と3ヵ月ぶりの強い伸びとなり、9ヵ月連続で増加した。製造業は前月の1.4万人増から2.9万人に増加。原油先物が約3年ぶりの60ドル台に乗せるなか、鉱業も0.5万人増と5ヵ月連続で増加した。

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「前月比20万人超えを維持し、労働人口の伸びを上回った」と指摘。その上で、労働市場が一段とひっ迫するとの見通しを示した。

▽米3月チャレンジャー人員削減予定数は増加、年初来では2年ぶりの高水準

米3月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比39.4%増の60,357人と4ヵ月ぶりに増加した。労働市場の逼迫が指摘されるもののオンライン売上の普及により小売が削減を主導し、前月比では70.6%増と増加に転じている。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「2016年1~3月期と同様に、小売関連の人員削減が目立った」と説明する。その上で「足元で拡大していた雇用は、遂に鈍化に転じた可能性がある」と指摘。労働市場の逼迫と賃金上昇により、「企業はリスクの低い戦略にシフトし、派遣を利用し始めた」と結んだ。

3月は人員削減予定数、4ヵ月ぶりに前年比で増加。

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(作成:My Big Apple NY)

1~3月の年来では前年比11%増の12万6,201人となり、四半期ベースでは2016年1~3月期以来で最大を示した。

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。2017年1〜12月、2018年1月と変わらず1位は小売で21,484人だった。なお1は1位が小売、2位がヘルスケア、3位がサービス、4位が産業、5位が輸送だった。

1位 小売 35,042人(全体の58.1%)
2位 通信 4,056人(全体の6.7%)
3位 自動車 2,468人(全体の4.1%)
4位 サービス 2,314人(全体の3.8%)
5位 ヘルスケア 2,099人(全体の3.5%)

州別動向は、年初来で1~2月から変化した。ニュージャージー州が初登場で1位となっている。2位は前月に1位だった石油関連企業が多いテキサス州、3位は変わらずIT企業のメッカであるカリフォルニア州、4位は前月2位だったオハイオ州、5位は人口の多いニューヨーク州が入り、前月に5位だったペンシルベニア州が圏外となった。

1位 ニュージャージー州 36,305人(全体の28.8%)
2位 テキサス州 13,685人(全体の10.8%)
3位 カリフォルニア州 12,809人(全体の10.2%)
4位 オハイオ州 5,888人(全体の8.0%)
5位 ニューヨーク州 3,609人(全体の4.7%)

リストラ実施の理由、ランキングは以下の通り。前月の1位はリストラ、2位が閉鎖、3位はコスト削減、4位は契約切れ、5位はM&Aとなる。

1位 破産 30,000人(全体の49.7%)
2位 閉鎖 12,386人(全体の20.5%)
3位 リストラ 12,135人(全体の20.1%)
4位 コスト削減 3,503人(全体の5.8%)
5位 M&A 1,733人(全体の2.9%)

採用予定数は、前年同月比88.6%減の14,525人だった。前月比でも89.6%減となる。なお前月の1位は小売、2位は航空・防衛、3位は産業財、4位は娯楽・宿泊、5位は消費財だった。

1位 小売 5,445人
2位 娯楽・宿泊 2,100人
3位 エネルギー 1,800人
4位 サービス 900人
5位 航空・防衛 674人

(カバー写真:Rachel.Adams/Flickr)

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