ISM Non-Manufacturing Index Erases The Gain After The Tax Cuts.
4月のISM非製造業景況指数と、IHSマークイット・サービス業PMIをおさらいしていきます。
米4月ISM非製造業景況指数は56.8となり、市場予想の58.0を下回った。前月の58.8にも届かず、2005年8月以来の高水準だった2月の59.9から2ヵ月連続で低下。税制改革法案成立後の上昇を打ち消し、4ヵ月ぶりの低水準となった。税制改革法案成立と歳出増で成長加速が期待される半面、米株の調整や米金利上昇、原油高に伴うガソリン価格の値上がりが問題視された可能性がある。4月は3ヵ月ぶりの低水準だったものの、18業種のうち全て拡大を報告した。
内訳をみると、新規受注や仕入れ価格、在庫が前月を上回った。一方でビジネス活動、雇用が前月以下にとどまる。詳細は、以下の通り。
・ビジネス活動 59.1、4ヵ月ぶりの低水準<前月は62.8、6ヵ月平均は60.2
・新規受注 60.0>前月は59.5、6ヵ月平均は60.1
・雇用 53.6、2017年4月以来の低水準<前月は56.6、6ヵ月平均は56.4
・新規輸出受注 61.5、直近で最高>前月は58.0、6ヵ月平均は58.4
・在庫変化 57.0>前月は53.5、6ヵ月平均は53.5
・仕入れ価格 61.8、3ヵ月ぶりの高水準>前月は61.0、6ヵ月平均は61.0
▽米4月IHSマークイット・サービス業確報値、税制改革法案成立後の最低から小幅改善
米4月IHSマークイット・サービス業PMI確報値は54.6と、市場予想と速報値の54.4を上回った。税制改革法案成立後で最低となった前月の54.0からも、小幅に改善している。内訳をみると新規受注が2015年3月以来の高水準だったほか、仕入れ価格も2015年6月以来亥以降で2番目の水準へ上昇。雇用も堅調だった。総合PMIは54.9と速報値の54.8から僅かに上方修正され、同じく税制改革法案成立後の最低をつけた3月の54.2をわずかに上回った。
ISM非製造業景況指数は4ヵ月ぶりの低水準、マークイット・サービス業PMIは上昇。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「製造業の加速と共にサービス活動も上向いた」と振り返る。その上で、「米4~6月期実質GDP成長率は前期の2.3%増を上回る」と予想。ただし「製造業とサービス業ともに仕入れ価格はそれぞれ2013年以降、2015年以降で最高に近く、最終財への価格転嫁が見込まれ、Fedの金融政策はタカ派寄りとなる可能性がある」と結んだ。
――ISMとマークイットのサービス業景況感指数はまちまちなでした。両者の結果がまちまちだったとはいえ、米4月雇用統計とISM製造業景況指数の雇用を踏まえると、マークイットよりISMとの整合性が高い。労働市場の逼迫に伴い雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の伸びが前月比10万人前後まで鈍化する可能性はイエレンFRB前議長も指摘していましたが、賃金が伸び悩むなかでは個人消費の鈍化につながりかねず。ウォール街は金利上昇やインフレ上昇などの悪材料を成長加速の好材料が上回ると見込む一方、ISMの雇用が示唆する雇用統計・NFPの見通し鈍化を軽視すべきではないでしょう。
(カバー写真:Jim Pennucci/Flickr)
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