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米5月ISM非製造業景況指数は改善、雇用も約1年ぶりの低水準から回復

by • June 6, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1703

ISM Non-Manufacturing Index Rebounds In May.

5月のISM非製造業景況指数と、IHSマークイット・サービス業PMIをおさらいしていきます。

米5月ISM非製造業景況指数は58.6となり、市場予想の58.0を上回った。4ヵ月ぶりの低水準だった前月の56.8から改善している。ただ、2005年8月以来の高水準だった2月の59.9を3ヵ月連続で下回った。トランプ政権が鉄鋼・アルミ関税賦課を欧州連合(EU)やカナダ、メキシコに拡大し、対中知財制裁関税措置の発動も懸念されるなか、ISMは「関税、通商協定、財のコストをめぐる不確実性が懸念材料」と指摘。もっとも、現時点では「ほとんどの回答者は、全体的な経済とビジネス状況につき楽観的だった」と結んだ。5月は、14業種が拡大したが、情報のみ縮小を報告した

内訳をみると、新規受注や仕入れ価格、在庫が前月を上回った。一方でビジネス活動、雇用が前月以下にとどまる。詳細は、以下の通り。

・ビジネス活動 61.3>前月は59.1と4ヵ月ぶりの低水準、6ヵ月平均は60.2
・新規受注 60.5、3ヵ月ぶりの高水準>前月は60.0、6ヵ月平均は60.1
・雇用 54.1>前月は53.6と2017年4月以来の低水準、6ヵ月平均は56.2

・新規輸出受注 57.5、5ヵ月ぶりの低水準<前月は61.5と直近で最高、6ヵ月平均は58.5
・在庫変化 57.5、直近で最高>前月は57.0、6ヵ月平均は56.3
・仕入れ価格 64.3、直近で最高>前月は61.8と3ヵ月ぶりの高水準、6ヵ月平均は61.0

▽米5月IHSマークイット・サービス業確報値、約3年ぶりの高水準

米5月IHSマークイット・サービス業PMI確報値は56.8と、市場予想と速報値の55.7を上回った。前月の54.6を超え、2015年4月以来の高水準を示す。内訳をみると、生産も約3年ぶりの水準へ上昇。仕入れ価格は2013年10月以来の高水準となる。雇用も2015年3月以来の力強さを示し、全般的にサービス業が良好だった。総合PMIは56.6と、速報値の55.7から上方修正され、2015年4月以来の高水準を遂げた。

ISM非製造業景況指数は4ヵ月ぶりの低水準、マークイット・サービス業PMIは上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「米経済は5月に勢いを強め、米4~6月期実質GDP成長率は前期比年率3.5%増となりうる」と評価した。また「見通し指数も約3年ぶりの高水準」と、サービス業の楽観ぶりが伺える。ただし「企業は関税賦課の影響でコスト上昇を憂慮しており、仕入れ価格は過去7年間で最高だった」と指摘、インフレ加速に懸念を寄せた。

――米5月雇用統計が良好な結果だったように、ISM非製造業景況指数もマークイット製造業PMIも明るい内容でした。気掛かりは、コストです。足元で、消費者物価指数やPCEは上昇中で、ISMの製造業と非製造業の仕入れ価格と相関関係を強めています。

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(作成:My Big Apple NY)

これまでコアのCPIとPCEを押し上げる程の勢いに乏しかったとはいえ、企業が利鞘縮小回避を狙い最終価格に反映させる余地が残ります。

(カバー写真:Digikerwin/Flickr)

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