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米7月鉱工業生産、鉱業と公益の落ち込みを製造業が相殺

by • August 16, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2061

Manufacturing Activity Offset Decline In Mining And Utilities In July.

米7月鉱工業生産、米8月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米7月鉱工業生産指数は前月比0.1%上昇し、市場予想の0.3%の上昇を下回った。前月の1.0%の上昇(0.6%から上方修正)を超え、過去5ヵ月間で4回目のプラスを示す。前年比では4.2%の上昇となり、2月から続く3%超えの高い伸びを維持しただけでなく、2012年2月以来の高水準だった。

稼働率は6月に続き78.1%と市場予想の78.2%には届かなかったが、2015年3月以来の78%台を回復した4月の78.2%に次ぐ水準となる。今後、法人税率引き下げや設備投資の全額控除、レパトリの効果で、稼働率がリセッション前の80%台を回復できるか注目だ。

鉱工業生産の前年比は、2012年5月以来の高水準に。

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(出所:My Big Apple NY)

内訳をみると、製造業(全体の74.6%)は2ヵ月連続で上昇した。自動車を除く製造業(66.03%)も、2ヵ月連続で上昇。一方で、公益(全体の10.5%)は北東部などでの猛暑となったが、3ヵ月連続で低下した。原油価格が2014年11月以来の75ドル乗せから伸び悩むなか、鉱業(全体の14.9%)6ヵ月ぶりにマイナスに反転した。

・製造業 0.3%の上昇<前月は0.8%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の上昇
>自動車を除く製造業 0.2%の上昇<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
>自動車 0.9%の上昇<前月は7.9%の上昇、6ヵ月平均は0.8%の上昇
>機械 0.6%の上昇<前月は0.7%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>コンピューター/電子部品 1.3%の上昇<前月は1.5%の上昇、6ヵ月平均は0.9%の上昇

・公益 0.5%の低下、3ヵ月連続で低下>前月は0.7の低下、6ヵ月平均は0.6%の低下
>電力 0.9%の低下、2ヵ月連続で低下>前月は2.3%の低下<前月は3.3%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>天然ガス 2.2%の上昇<前月は10.6%の上昇、6ヵ月平均は5.2%の上昇

・鉱業 0.3%の低下、6ヵ月ぶりの低下<前月は2.9%の上昇、6ヵ月平均は1.4%の上昇

――堅調な結果を叩き出した製造業のうち、耐久財は0.4%増となりコンピューター/電子機器が1.3%増と前月に続き1%台の伸びを遂げたほか、自動車が0.9%増と前月の7.6%増を経ても堅調を保ちました。機械は0.6%増、電気機器・部品は0.3%増と、それぞれ2ヵ月連続で増加。カナダ産木材への相殺関税、鉄鋼・アルミ追加関税に直面するなか、木材は0.4%増と2ヵ月連続で増加し、一次金属は4ヵ月ぶりに増加に反転しました。非耐久財は0.2%増で、特に服飾・革製品が前月分の減少を打ち消し3.5%増となったほか、プラスチック・ゴムが1.4%増、石油・石炭製品が0.9%増と好調です。

GDPのうち、企業の設備投資を表す機器投資が成長に寄与する見通しながら、鉱工業生産は公益と鉱業が振るいませんでした。公益の減速は電力などサービスに当てはめられる公共料金が消費を押し下げかねません。この部分について、新車販売台数の増加で補えるかがカギとなります。米7月新車販売台数は再び年率で1,800万台を割り込みましたが、8~9月で挽回できるでしょうか。

▽米8月NAHB住宅市場指数は年初来で最低に並ぶ、木材価格の高騰が重石

米8月NAHB住宅市場指数は67となり、市場予想と一致した。前月の68を下回り、2017年9月以来の低水準となる。1999年7月以来の高水準を達成した1月の74が遠のいた。住宅市場の逼迫が価格上昇を促し潜在顧客の需要を抑える上、建設資材の価格高騰が住宅建設業者のセンチメントを押し下げたようだ。地域別では、1地域のみで上昇。南部が72と、4ヵ月ぶりの高水準だった。西部は74と、少なくとも過去1年間で最低を保つ。一方で、北東部は2017年10月以来の分岐点である50を割り込み47だった。中西部は前月から5ポイントも低下しつつ、58となる。

内訳をみると、一戸建て現況指数は73と2017年9月以来の低水準となった。一戸建て見通し指数も72と、少なくとも過去1年間で最低に。客足の動向を表す見込み客指数は49と、2017年10月以来の分岐点割れを示した。

NAHB住宅市場指数、約1年ぶりの低水準。

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(作成:My Big Apple NYが作成)

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のロバート・ディエス首席エコノミストは、結果を受け「堅調な雇用をはじめ所得の伸び、世帯数の増加を背景に、新築住宅への需要は強い」と振り返った。しかし「建設コストの上昇のほか、特殊技能職と建設用地の不足を受け、値ごろ感の面で懸念が強まっている」と慎重な見方も寄せた。

――以前からご指摘するように、建設資材コストは上昇の一途をたどります。米国建設請負業者協会(ABC)が発表した米7月建設資材コストは前年比で9.5%上昇し、過去10年間で少なくとも最高近くを維持しました。

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(作成:My Big Apple NY)
ちなみに建設資材のうち、木材の価格は落ち着きつつあります。

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(作成:My Big Apple NY)

米7月雇用統計では、建設部門の雇用者の伸びが2ヵ月連続で6ヵ月平均を下回りましたが、建設業者の利鞘縮小が一因となっている可能性は否定できません。

(カバー写真:Wisconsin Department of Natural Resources/Flickr)

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