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8月は求人数と採用数が過去最高も、解雇者数が大幅増

by • October 17, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2107

Job Openings And Hires Hit Record-high, While Lay-offs Surge.

米労働省が発表した米8月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は713.6万人と、市場予想の690.0万人を上回った。前月の707.7万人(693.9万人から上方修正)を0.8%上回り、過去最高を更新した。求人数自体は6ヵ月連続で失業者数を上回り、労働市場の一段の逼迫を示した。

求人数VS失業者数、雇用動態調査の6ヵ月連続で求人数に軍配。

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(作成:My Big Apple NY)

新規採用者数は、前月比1.2%増の578.4万人だった。前月の571.3万人(修正値)だけでなく2001年1月を超え、過去最高を更新している。米8月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)と、ほぼ整合的だ。

離職者数は前月比2.0%増の570.6万人と、前月から3ヵ月連続で増加した。過去最高をつけた2001年1月の606.6万人以来の高水準となる。定年や自己都合による離職者は0.9%減の357.7万人と、過去最高をつけた前月の360.8万人以下に。解雇者数は逆に10.9%増の179.8万人となり、統計開始以来の低水準から大幅増となった。

求人率は4.6%と、過去最高を更新した。民間が前月通り4.8%だったが、政府は前月の3.0%から2.9%へ低下した。

新規採用率は3.9%と、5月の水準へ戻した。民間は2ヵ月連続で4.2%を経て、4.3%へ上昇し過去最高を付けた5月の4.3%に並ぶ。政府は1.5%と前月の1.6%を下回った。

求人数と採用数が過去最高で、両者の乖離は埋まらず。

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(作成:My Big Apple NY)

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は、前月に続き3.8%だった。民間が過去2ヵ月間の4.1%から4.2%へ上昇した半面、政府は前月通り1.6%だった。自発的離職率は2ヵ月連続で2.4%と、2001年4月以来の高水準に。解雇率は過去3ヵ月の1.1%から1.2%へ上昇、2000年12月に統計が開始してから最低となる3月の1.0%からやや離れた。

自発的離職者数は高水準を維持、一方で解雇者数はハリケーン“ハービー”の影響が及んだ2017年8月以来の水準へ増加。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、今となっては懐かしいイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中6項目で、前月と変わらず。未達項目は長期失業者の割合をはじめ労働参加率、非農業部門就労者数です。ただ非農業部門就労者数は労働市場逼迫に伴い、鈍化してもおかしくありません。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字となります。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.6%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.2%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.4%

4)採用率—○
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.9%

5)非農業部門就労者数—×
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 22.4万人増
現時点の3ヵ月平均 19.0万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 3.7%

7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 7.5%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 22.9%

9)労働参加率—×
2015年9月(最悪時点) 62.3%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.7%

有効求人倍率は新規採用者数が横ばいだったものの2.07倍と、2000年以降で最高を記録しました。

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(作成:My Big Apple NY)

――今回の結果で、労働市場の逼迫をあらためて確認しました。ただし、米9月雇用統計で指摘致しましたように、ベビーブーマー世代の引退に左右されないはずの働き盛りの男性の労働参加率は、必ずしも上昇基調にはありません。米銀ウェルズ・ファーゴの再編計画が背景だったとはいえ、米9月チャレンジャー人員削減予定数は増加していました。鉄鋼・アルミ関税や対中追加関税の煽りを受ける自動車メーカーも無風ではなく、フォードはホワイトカラー職を削減する方針を表明済みです。FedIMFの予測通り米景気が2018年にピークアウトするなら、今後は人員削減数が増加してもおかしくありません。

(カバー写真:Kim Gunnarsson/Flickr)

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