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米7~9月期GDP速報値、個人消費と在庫投資が牽引し3.5%増

by • October 28, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2336

U.S. Q3 Grows Above-Forecast 3.5% On Consumers And Inventories.

米7~9月期の実質国内総生産(GDP)成長率・速報値は、前期比年率3.5%増と市場予想の3.3%増を上回った。2014年7~9月期以来、約4年ぶりの高水準となった前期の4.2%増から鈍化したとはいえ、税制改革法案成立後、2期連続で力強い成長を果たした。前年同期比は3.0%増と、2015年4〜6月期以来の高水準だった。

GDPの7割を占める個人消費は前期比年率4.0%増と前期の3.8%増を上回り、2014年10〜12月期以来で最高の伸びとなった。減税効果による可処分所得の拡大が支出を促し、個人消費の回復につながったとみられる。GDPへの寄与度は2.69%ポイントと前期の2.57%ポイントを超え、2014年末以来で最大を示す。

▽個人消費の内訳

・耐久財 6.9%増<前期は8.6%増
・非耐久財 5.2%増、2013年1〜3月期以来の高水準>前期は4.0%増
・サービス 3.2%増、2015年1~3月期以来の高水準>前期は3.0%増

民間投資は、前期から改善した。特に在庫投資が大幅増に転じ、成長への寄与度は前期の1.17%ポイントのマイナスから2.07%ポイントのプラスへ反転した。そのほか、企業の設備投資に相当する機器投資と無形資産は拡大を続けたが、そろって前期からは鈍化構築物投資は、1年ぶりのマイナスに転じている。一方で、住宅投資は3期連続でマイナスとなった。民間投資の寄与度は在庫投資が支え、2.03%ポイントと、前期の0.07%ポイントのマイナスからプラスに転じた。

▽民間投資の内訳

・民間投資 12.0%増、2015年1〜3月期以来の高水準>前期は0.5%減と2016年7〜9月期以来のマイナス
・固定資本形成 0.3%減、2015年10〜12月期以来の低水準<前期は6.4%増
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 0.8%増、7期連続で増加したなかで最小の伸び<前期は8.6%増
>構築物投資 7.9%減、1年ぶりの減少<前期は14.5%増
>機器投資 0.4%増、2年ぶりの低水準<前期は4.6%増
>無形資産 7.9%増<前期は10.5%増

・住宅投資 4.9%減、3期連続で減少<前期は1.3%減
・在庫投資 763億ドルの増加>前期は368億ドル減、5期ぶりの減少

純輸出の寄与度は、追加関税措置の発動直前の駆け込み需要でプラスとなった前期から、マイナス基調へ戻した。政府支出の寄与度は0.56ポイントと、前期の0.43%ポイントを超え、2016年1〜3月期以来の高水準となった。

7~9月期の成長率・確報値は、個人消費と在庫投資が牽引。

gdp

(出所:My Big Apple NY)

▽純輸出

・純輸出の寄与度 1.78%ポイントのマイナス、1985年4〜6月期以来で最大<前期は1.22%ポイント、3期ぶりにプラスを回復し2013年10~12月期以来の高水準

▽政府支出

・政府支出 3.3%増、2016年10〜12月期以来の高水準>前期は2.5%増
・連邦政府 3.3%増(防衛支出が4.6%増、非防衛財は1.5%増)<前期は3.7%増
・州政府・地方政府 3.2%増>前期は1.8%増

GDP価格指数は食品とエネルギーを除き前期比年率1.8%上昇し、前期の2.9%から大きく鈍化した。コアPCEデフレーターは1.6%上昇、前期の2.1%を下回っただけでなく、4期ぶりにFOMCのインフレ目標値「2%」を割り込んだ。

——2期連続で高成長を遂げ、トランプ政権は2018年に選挙公約である3%成長を達成する公算です。その半面、企業の設備投資に鈍化の兆しが現れているのが気掛かり。米9月耐久財受注も、コア資本財の受注が2ヵ月連続での減少を示すなど、心もとない数字が飛び出しています。足元の米経済は絶好調ながら、企業の設備投資がこのまま減速するのか。少なくともNYとフィラデルフィアの地区連銀が発表する景況指数の設備投資見通しは頭打ちを示しており、残るダラス地区連銀の数字で挽回できるのか、注目です。

(カバー写真:Steven Guzzardi/Flickr)

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