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米Q3GDP改定値、在庫投資と設備投資が支え3.5%増で変わらず

by • December 3, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1741

U.S. Q3 Growth Unrevised At 3.5%, With Better Inventories And Capex.

米7~9月期の実質国内総生産(GDP)成長率・改定値は、前期比年率3.5%増と市場予想の3.3%増を上回った。2014年7~9月期以来、約4年ぶりの高水準となった前期の4.2%増から鈍化したとはいえ、税制改革法案成立後、2期連続で力強い成長を果たした。前年同期比は3.0%増、2015年4〜6月期以来の高水準だった。

GDPの7割を占める個人消費は前期比年率3.6%増と、従来の4.0%増から下方修正された。減税効果による可処分所得の拡大が支出を促したものの、ハリケーン“フローレンス”の影響もあって、前期の3.8%増にも届かず。GDPへの寄与度は2.45%ポイントと、速報値の2.69%ポイントと前期の2.57%ポイントを下回った。

▽個人消費の内訳

・耐久財 3.9%増<速報値は6.9%増、前期は8.6%増
・非耐久財 5.3%増、2013年1〜3月期以来の高水準>速報値は5.2%増、前期は4.0%増
・サービス 3.1%増<速報値は3.2%増、2015年1~3月期以来の高水準、前期は3.0%増

民間投資は、上方修正が目立つ。特に在庫投資が顕著で、成長への寄与度は速報値の2.07%ポイントから2.27%ポイントへ広がった。そのほか、企業の設備投資に相当する機器投資が上方修正され、構築物投資も速報値からマイナス幅を縮小。無形資産は逆に下方修正された。一方で、住宅投資は速報値の下げ幅を縮小した。民間投資全体の寄与度は引き続き在庫投資が支え2.52%ポイントと、速報値の2.03%ポイントを上回った。

▽民間投資の内訳

・民間投資 15.1%増、2014年4〜6月期以来の高水準>速報値は12.0%増>前期は0.5%減と2016年7〜9月期以来のマイナス
・固定資本形成 1.4%増>速報値は0.3%減と2015年10〜12月期以来の低水準、前期は6.4%増
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 2.5%増>速報値は0.8%増と2016年4~6月期以来の低水準、前期は8.7%増
>構築物投資 1.7%減<速報値は7.9%減と1年ぶりの減少、前期は14.5%増
>機器投資 3.5%増>速報値は0.4%増と2年ぶりの低水準、前期は4.6%増
>無形資産 4.3%増、3期ぶりの低水準<速報値は7.9%増、前期は10.5%増

・住宅投資 2.6%減、3期連続で減少>速報値は4.9%減、前期は1.3%減
・在庫投資 886億ドルの増加>速報値は763億ドルの増加、前期は368億ドル減と5期ぶりの減少

純輸出の寄与度は、追加関税措置の発動直前の駆け込み需要でプラスとなった前期からマイナスへ転じ、改定値では一段と弱含んだ。政府支出の寄与度は0.44%ポイントと、2016年1〜3月期以来の高水準となった速報値の0.56ポイントから下方修正された。

7~9月期の成長率・改定値は、家計部門の下方修正を企業部門が打ち消し。

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(作成:My Big Apple NY)

▽純輸出

・純輸出の寄与度 1.91%ポイントのマイナス、1985年4〜6月期以来で最大<改定値は1.78%ポイントのマイナス<前期は1.22%ポイント、3期ぶりにプラスを回復し2013年10~12月期以来の高水準

▽政府支出

・政府支出 2.6%増<速報値は3.3%増と2016年10〜12月期以来の高水準、前期は2.5%増
・連邦政府 3.5%増(防衛支出が4.9%増、非防衛財は1.5%増)>速報値は3.3%増、前期は3.7%増
・州政府・地方政府 2.0%増<速報値は3.2%増、前期は1.8%増

GDP価格指数は1.7%上昇し、市場予想並びに速報値と一致した。コアPCEデフレーターは1.5%上昇、市場予想並びに速報値の1.6%をから下方修正され、1年ぶりにFOMCのインフレ目標値「2%」を割り込んだ。

企業利益は、税引き前・在庫品評価調整・減価償却済みベースで前期比3.4%増だった。2014年4~6月期以来の力強い伸びを遂げている。最も寄与したのは非金融となったほか、前期に1年ぶりのマイナス寄与を示した海外がプラスに反転。一方で、金融は1年間で3回目のマイナス寄与となった。企業利益は前年比では10.3%増となり、2012年10~12月期以来で最高だった。


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(作成:My Big Apple NY)

――企業利益は法人税減税やレパトリの効果を支えに、大幅増をたどります。しかし、この流れも2018年末まで。2019年からは伸びが半減する見通しで、半年先取りする米株が年後半にきて腰折れしてきた動きと整合的です。

cp(作成:My Big Apple NY)

あとは、成長率がどこまで維持できるのか。2019年は前年から増収率・増益率ともに半減する見通しなだけに、政治や経済で不確実性に脆弱になるのでしょう。

(カバー写真:Andrew Miller/Flickr)

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