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10月の個人消費と所得は力強く増加、貯蓄率は年初来で最低

by • December 3, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2176

Personal Spending And Income Grow Strong, Saving Rate Hits Lowest In The Year.

米10月個人消費支出は前月比0.6%増と、市場予想の0.4%増を上回った。前月の0.2%増(0.4%増から下方修正)を超え、7ヵ月ぶりの高水準。8ヵ月連続で増加している。前年比では4.3%増となり、8ヵ月ぶりの低い伸びにとどまる。インフレを除く実質ベースでの個人消費も市場予想の0.2%増を上回り0.4%増、8ヵ月連続で増加しただけでなく、5ヵ月ぶりの強い伸びとなる。前年比では2.9%増と、約3年ぶりの力強さを示した8月の3.1%増を下回った。

個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。米10月新車販売台数が年率で1,700万台を超え年初来で最高となったことで耐久財が堅調だった。ガソリン価格の上昇を支えにした非耐久財はとサービスも力強い伸びとなった。

・モノ 0.538%増、前月の0.091%増を上回り8ヵ月連続で増加
>耐久財 0.476%増、前月の0.095%減から増加に反転
>非耐久財 0.570%増、前月は0.186%増を上回り8ヵ月連続で増加
・サービス 0.652%増、前月の0.285%増を上回り増加基調を維持

個人所得は前月比0.5%増と、市場予想の0.4%増を上回った。前月の0.2%増を超え、9ヵ月ぶりの高水準。32ヵ月連続で増加している。前年比では4.3%増と、2017年3月から続く4%乗せを維持。実質ベースでは前月比0.3%増と前月の0.1%増を上回り、16ヵ月連続で増加。前年比は2.3%増と、前月の2.2%増を上回り足元の堅調なペースを保った。

可処分所得は前月比0.5%増となり、前月の0.2%増を上回り8ヵ月ぶりの高水準だった。17ヵ月連続で増加している。前年比は4.8%増と6~7月の5.1%増を下回りつつ、堅調なペースを保つ。実質ベースの可処分所得は前月比0.3%増となり、16ヵ月連続で増加。前年比は2.8%増と、2015年11月以来の3%乗せを果たした1月(3.0%増)に近い水準を維持。貯蓄率は6.2%となり、前月の6.3%を下回り年初来で最低を更新した。

実質ベースでの個人消費支出の伸びが所得を上回り、貯蓄率は年初来で最低に。

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(作成:My Big Apple NY)

所得の内訳は、前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.3%増、前月と変わらず(民間が0.3%増、サービス部門が0.3%増、財部門(製造業、鉱業、建設)は0.3%増となり)
・不動産収入 1.6%増、前月の0.8%減からプラスに反転(農場が42.5%増と大幅に4ヵ月ぶりの増加、非農場は0.9%増と2ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.4%増、前月の0.9%増を含め6ヵ月連続で増加
・資産収入 0.4%増と前月の0.1%増を上回り増加基調を維持(配当が0.5%増と2ヵ月連続で増加、金利収入は0.3%増と前月の横ばいから増加に反転)
・社会補助 0.6%増と前月と変わらず、増加トレンドを維持
・社会福祉 1.0%増、前月の横ばいから増加に反転(メディケア=高所得者向け医療保険は0.9%増と増加基調を維持、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.6%増と3ヵ月連続で増加、失業保険は2.1%減と3ヵ月連続で減少、退役軍人向けは2.4%減と、4ヵ月連続ぶりに減少)

個人消費支出(PCE)デフレーターは原油価格が約4年ぶりに75ドル台を回復する過程でも、前月比0.2%上昇し市場予想に並んだ。前月まで4ヵ月連続で0.1%だったが、小幅ながら上向いた。前年比は2.0%上昇し、市場予想と9月の数値に並んだ。2012年3月以来の高い伸びを示した6月の2.3%から遠のいたままだ。コアPCEデフレーターは前月比0.1%上昇し、市場予想と9月の0.2%を下回った。前年比は市場予想の1.9%を下回り1.8%、8ヵ月ぶりの低水準。3ヵ月連続でFOMCのインフレ目標値の2%を下回った。

PCEは3ヵ月連続でFOMCの目標値以下に。

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(作成:My Big Apple NY)

――10月は雇用統計の平均時給が示す通り所得が増加したお陰で個人消費も弾みがつき、年末商戦前に好調な結果を示しました。

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(作成:My Big Apple NY)

ハリケーン後の復興需要も、支出を支えた可能性があります。感謝祭明けからの年末商戦も好調ですから、10月に続き11月も個人消費が力強さを維持する公算。減税効果をバネに、10~12月期の個人消費は成長を牽引していくに違いありません。問題は、年明けの1~3月期です。貯蓄率の低下もあって反動減が予想されます。今年の米国は平年を下回る気温も重なり、積雪の影響などで個人消費が想定以上に冷え込みそうです。

(カバー写真:Mr.TinDC/Flickr)

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