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米11月NFIB中小企業楽観度、鉄鋼・アルミ関税発動後の上昇を相殺

by • December 12, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1380

NFIB Small Business Optimism Unwind The Increase Since March.

米11月NFIB中小企業楽観度指数は107.4となり、市場予想の108.0を下回った。前月の107.4を下回り、過去最高を更新した8月の108.8から3ヵ月連続で低下。鉄鋼・アルミ関税発動が発動された3月以降の上昇をほぼ打ち消し。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。

トランプ政権は6月から鉄鋼・アルミ関税を欧州連合(EU)、カナダ、メキシコを盛り込み、7月と8月には対中知財関税措置の一部である340億ドルを発動。さらに中国には、2,000億ドルの追加関税対象リストを発表した。ただ7月の米欧首脳会談にて、貿易協議の進行中は新たな関税を導入しない方針で合意し、NAFTA再交渉も3ヵ国で合意。G20首脳会合開催時の米中首脳会談では対中追加関税措置(2,000億ドル相当の中国輸入品への関税率を10%→25%へ引き上げ)をめぐり、90日の協議期間を設けたが、華為義技術(フアーウェイ)のCFO逮捕など火種はくすぶり、妥結への道筋は不透明だ。その上、12月ベージュブックで確認されるように、追加関税措置は企業の仕入れや輸出先に影響を与え、設備投資の先送りなどを招きつつあり、企業センチメントが好転する兆しは見えない。

発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、「中小企業は2018年の経済動向を大いに好感し、賃金引き上げ、採用増加、設備投資の引き上げによって楽観姿勢を表してきた」と振り返った。また、今回低下したとはいえ「中小企業の楽観度は歴史的に高水準を維持しており、中小企業は引き続き成長を牽引する」との前向きな姿勢を維持した。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は9~10月に続き10項目だった。内訳をみると、そのうち、今回上昇した項目は「賃上げ見通し」のみで、他は全て低下あるいは横ばいにとどまった。特に「経済がより良くなる」が、米大統領選が行われた2016年11月以来の水準へ大きく低下した。これにより、同項目はこれまでの3位から8位に転落している。マイナス項目は、3つのうち「在庫満足度」と「黒字トレンドにある」が下げ幅を小幅に広げた。以下は、項目ごとの変化。

「求人件数」34%<前月は38%と3ヵ月連続で過去最高、6ヵ月平均は37%
「賃金引き上げ」34%=前月は34%、6ヵ月平均は33
「設備投資を拡大した」29%<前月は30%、6ヵ月平均は30%
「事業拡大に良いタイミング」29%<前月は30%、6ヵ月平均は31%
「賃上げ見通し」25%と過去最高>前月は23%、6ヵ月平均は23%

「売上拡大見通し」24%、2017年10月以来の低水準<前月は28%、6ヵ月平均は27%
「採用見通し」22%=前月は22%、6ヵ月平均は23%
「経済がより良くなる」22%<前月は33%、6ヵ月平均は32%
「販売価格の引き上げ」16%=前月は16%、6ヵ月平均は16%
「在庫を増加させる」2%、6ヵ月ぶりの低水準<前月は5%、6ヵ月平均は5%

「黒字トレンドにある」−4%、8ヵ月ぶりの低水準<前月は−3%、6ヵ月平均は−2%
「在庫満足度」−5%、8ヵ月ぶりの低水準<前月は−2%、6ヵ月平均は−2%
「信用状況が緩和する」−5%=前月は−5%、6ヵ月平均は−5%

――GDPの6割を担うとされる中小企業のセンチメント、追加関税措置の影響で遂に腰折れ?

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(作成:My Big Apple NY)

12月ベージュブックによれば、企業が見通しへの楽観度を後退させていました。いよいよ、年末にかけ追加関税措置の影響が経済に波及しつつあります。トランプ政権は米中通商協議や中国製造2025に関わる特定産業保護政策を視野に入れた強硬姿勢を維持する状況。中国自体も2018年の自動車販売台数が28年ぶりに前年割れが予想され、成長率自体も鈍化が見込まれるだけに、米中小企業のセンチメントが明るさを取り戻すには時間が掛かりそうです。

(カバー写真:gato-gato-gato/Flickr)

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