9847257626_9bee98ff2c_z

米7~9月期の家計資産は過去最高を更新、金融資産が牽引

by • December 12, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1475

Financial Assets Push Up Household Wealth To Another Record In Q3.

米連邦準備制度理事会(FRB)が12月6日に公表した、7~9月期家計資産報告(旧・資金循環報告)によると、家計・非営利団体の純資産は前期比2.1%増の109兆386億ドルだった。12期連続で統計開始以来の最高を更新している。

家計・非営利機関の資産のうち、金融資産(貯蓄、株式、投資信託、債券、年金、保険などを含む)は前期比2.2%増の89兆8,193億ドルと、12期連続で増加するとともに過去最高を更新。7~9月期はS&P500が前期比7.2%高となったほか、米10年債利回りが3%を超え約7年ぶりの水準へ上昇過程にあった。株式は市場価値ベースで4.0%増の31兆4,181億ドル(直接、間接保有含む)と、2期連続で増加。金融資産における株式の割合は35.0%、総資産での割合も25.2%と、それぞれ2000年末以来の高水準近くとなる。投資信託も4.7%増の6兆1,530億ドルと、2期連続で増加した。債券は7.4%増の5兆7,874億ドルと4期連続で増加した。

家計・非営利機関の純資産の可処分所得比は700%、株式資産などを支えに過去最高を更新。資産増加の割に、貯蓄率の水準は比較的高くない点は気掛かり。

ff_dpi_savingrate

金融資産、総資産に占める株式資産の比率も2000年以来の水準近くへ上昇。

ff_asset_stock

金融資産は、引き続き不動産資産を上回る。

ff_reale_stock_asset
(作成:My Big Apple NY)

家計・非営利機関の預金残高は前期比0.2%増の12兆5,277億ドルと5期連続で増加し、4期連続で過去最高を更新した。民間での年金資産は株高・金利上昇を受け3.4%増の4兆1,813億ドルと2期連続で増加しただけでなく、2期連続で過去最高を更新した。

家計部門の不動産資産は、住宅の値上がりや需要拡大を背景に前期比0.9%増の29兆20億ドルとなった。2011年7~9月期からの増加トレンドで、2番目の低いのびとなる。住宅ローンは0.7%増の10兆2,737億ドルと小幅ながら増加基調をたどるなか、ホーム・エクイティ(住宅の評価額から住宅ローンの残債を差し引いた価値)は少なくとも19兆ドル付近と弾き出せる。住宅価格の上昇ペースは鈍化したとはいえ伸びを続けるなか、持ち家が占める家計資産の割合は59.9%と2002年4~6月期以来の60%乗せに迫った。

持ち家が占める家計資産の割合、住宅価格の上昇を追い風に改善をたどる。

ff_home
(作成:My Big Apple NY)

国内債務は、前期比年率4.4%増の51兆3,238億ドルだった。3期連続で、州・地方政府以外の全てで債務が増加した。詳細は以下の通り、伸びは全て前期比年率。

>家計の債務は3.4%増の15兆4,890億ドル、2011年10~12月期からの増加基調を維持
>消費者信用は5.4%増の3兆9,383億ドル、2011年7~9月期からの増加基調を維持
>住宅ローンは3.1%増の10兆2,737億ドル、2014年4~6月期からの増加基調を維持
>非金融セクターの企業は3.9%増の15兆69億ドル、2011年1~3月期からの増加基調を維持
>連邦政府は6.8%増の17兆7540億ドル、2002年以降続く増加基調を維持
>州・地方政府は1.4%減の3兆740億ドル、3期連続で減少

家計・非営利団体の債務は可処分所得に対し99.4%と、2001年7~9月期以来の低水準だった。2007年10~12月期につけたピーク時にあたる133.8%からの大幅改善を保つ。

可処分所得に占める家計債務は低水準、景気減速期でバッファーとなるか。

ff_dpi
(作成:My Big Apple NY)

――家計債務の可処分所得比率は低下をたどり、家計純資産の可処分所得比は過去最高を記録するなど、家計のバランスシートは健全そのものに見えます。しかし、家計のバランスシートが健全である一因は税制改正のほか、労働市場の拡大が挙げられます。仮に世界経済が減速局面に陥り、米11月チャレンジャー人員削減予定数で判明したように企業がリストラを加速すれば、改善にブレーキが掛かるリスクが大きい。米株が10月以降、約10%下落するなど資産効果も後退し、金融資産の増加ペースも鈍化するとみられ、家計動向は現在の状況に甘んじていられません。

(カバー写真:Eli Christman/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.