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10月の求人数、失業者数との差はITバブル期以来で最大近くに

by • December 13, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2062

Job Openings Hovers Around All-Time, Spread Between The Unemployed Expands.

米労働省が発表した米10月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は707.9万人と、市場予想の710万人を下回った。前月の696.0万人(700.9万人から下方修正)を1.7%上回り、8月の729.3万人に次いで過去2番目の水準となる。求人数自体は8ヵ月連続で失業者数を超えた。求人数と失業者のスプレッドはITバブル期以来で最大を記録した8月に続く水準となり、労働市場の一段の逼迫を示す。

求人数VS失業者数、雇用動態調査の8ヵ月連続で求人数に軍配。

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(作成:My Big Apple NY)

新規採用者数は、前月比3.4%増の589.2万人だった。過去最高を更新した8月の590.6万人に迫る水準となる。米10月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の増加と、ほぼ整合的だ。

離職者数は前月比1.5%減の555.6万人と、2ヵ月連続で減少した。過去最高をつけた2001年1月の606.6万人から後退を続けている。定年や自己都合による離職者が1.4%減の351.4万人と、過去最高をつけた8月の364.8万人を2ヵ月連続で下回った。解雇者数も0.9%減の169.1万人と、2ヵ月連続で減少した。

求人率は4.5%と、過去最高を更新した8月の4.7%以下の水準を保つ。民間が前月に続き4.8%となった半面、政府は2.6%から2.7%へ上昇した。

採用率は3.9%と、前月の3.8%から上昇した。2001年5月以来の4%乗せを果たした8月の4.0%に接近している。民間は4.3%と前月の4.2%を上回りつつ、過去最高だった84.4%から低下した。政府は前月の1.5%から1.6%へ上昇した。

求人数と採用数、ともに過去最高から鈍化も高水準を維持。

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(作成:My Big Apple NY)

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は、前月の3.8%から3.7%へ低下し6月の水準に並んだ。民間が前月の4.2%から4.1%へ低下し3ヵ月ぶりの水準となっており、政府は前月の1.5%と変わらず。自発的離職率は前月まで3ヵ月連続で2.4%と2001年4月以来の高水準を保った後、2.3%へ低下した。解雇率は前月に続き1.1%へ低下、2000年12月に統計が開始してから最低となる3月の1.0%に近づいた。

自発的離職者数は高水準を維持、解雇者数は減少。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、今となっては懐かしいイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中6項目となり、7~9月と変わらず。未達項目は引き続き長期失業者の割合、労働参加率、非農業部門就労者数でした。ただ非農業部門就労者数は労働市場逼迫に伴い、鈍化する傾向が強まります。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字となります。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.5%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.3%

4)採用率—○
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.9%

5)非農業部門就労者数—×
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 22.4万人増
現時点の3ヵ月平均 17.0万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 3.7%

7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 7.6%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 20.8%

9)労働参加率—×
2015年9月(最悪時点) 62.3%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.9%

有効求人倍率は新規採用者数が横ばいだったものの2.14倍と、2000年以降で最高を記録しました。

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(作成:My Big Apple NY)

――米10月雇用動態調査では求人数と新規採用者数が過去最高近くを保ち、力強さを維持しました。何より解雇者数も2ヵ月連続で減少し、追加関税措置も何のその、労働市場は健全そのものといった感が漂います。しかしチャレンジャー人員削減予定数が増加するように、9月の米銀ウェルズ・ファーゴに加え、10月は自動車メーカーのフォード、通信大手ベライゾン、11月にはGMが大規模な再建計画の一環で雇用削減に努めていました。12月ベージュブックによれば、鉄鋼・アルミ関税、対中追加関税措置が現時点の2,500億ドル(第1弾:500億ドル、第2弾:2,000億ドル)、の影響が及びつつあり、楽観は禁物と言えそうです。

(カバー写真:USGS Unmanned Aircraft Systems/Flickr)

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