米12月鉱工業生産、米中首脳会談後に製造業が大幅上昇

by Sawako • January 21, 2019 • Finance, Latest News • Comments Off • 1666

Manufacturing Output Posts Its Largest Gain Since February.

米12月鉱工業生産指数は前月比0.3％上昇し、市場予想の0.2％を上回った。前月の0.4％の低下（0.6％上昇から下方修正）を含め、7ヵ月連続で上昇している。前年比では4.0％の上昇となり、2018年7月から続く4％台の伸びを維持。ただし、2010年12月以来の高水準だった2018年9月の5.6％（修正値）には届かなかった。

稼働率は78.7％と、市場予想の78.5％を上回った。前月の78.6％（78.5％から下方修正）も超え、2015年1月以来の高水準となる。追加関税措置に直面するなかでも、法人税減税やレパトリなどの効果を受け内需を下支えに80％台を回復できるか、注目される。

鉱工業生産の前年比は堅調なペースを維持、設備稼働率は4年ぶりの高水準。

指数ベースでは上昇トレンド継続、自動車・部品（青）、鉱業（緑）、コンピューター・電子部品（黄色）が全体を牽引。

（出所：My Big Apple NY）

内訳をみると、製造業（全体の75.5％）の力強さが際立つ。自動車が上振れしたほか、自動車を除く製造業（69.9％）が直近で最高の伸びをつけた。2018年12月の米中首脳会談で農業品、産業財、エネルギーなどをめぐり輸入再開に合意した恩恵が現れた可能性がある。原油価格が2018年9月以来の安値をつけるなかでも、米中首脳会談後の好材料が追い風となったのか鉱業（全体の14.2％）は2ヵ月連続で上昇した。逆に、11月に全体を牽引した公益（全体の10.4％）は平年を上回る気温に加え、2ヵ月連続で上昇した反動もあって3ヵ月ぶりに低下に転じた。

■製造業　1.1％の上昇、10ヵ月ぶりの強い伸び＞前月は0.1％の上昇、6ヵ月平均は0.4％の上昇

▽耐久財
・自動車を除く製造業　0.8％の上昇＜前月は0.1％の上昇、6ヵ月平均は0.3％の上昇
・自動車関連　4.7％の上昇＜前月は0.2％の上昇、6ヵ月平均は0.9％の上昇
・航空機関連　1.7％の上昇＞前月は1.2％の上昇、6ヵ月平均は0.9％の上昇
・コンピューター／電子部品　1.3％の上昇＞前月は0.5％の上昇、6ヵ月平均は0.5％の上昇
・一次金属　0.6％の上昇＜前月は3.4％の上昇、6ヵ月平均は1.2％の上昇

・家具関連　0.2％の上昇＞前月は0.2％の低下、6ヵ月平均は0.4％の上昇
・電気機器　0.1％の上昇＜前月0.3％の上昇、6ヵ月平均は0.1％の上昇
・組立金属　0.1％の上昇＜前月は0.2％の上昇、6ヵ月平均は0.2％の上昇
・機械　0.6％の低下＜前月は1.0％の上昇、6ヵ月平均は0.8％の上昇

▽非耐久財
・石油製品　3.5％の上昇、4ヵ月ぶりに上昇＞前月は2.4％の低下、6ヵ月平均は0％
・食品/飲料／タバコ　0.9％の上昇、3ヵ月ぶりに上昇＞前月は1.1％の低下、6ヵ月平均は0％
・服飾　0.5％の上昇、5ヵ月ぶりに上昇＞前月は1.5％の低下、6ヵ月平均は0.6％の低下

・化学品　0.5％の上昇＜前月は0.8％の上昇、6ヵ月平均は0.3％の上昇
・プラスチック／ゴム　0.5％の上昇＞前月は1.0％の上昇、6ヵ月平均は0.5％の上昇
・繊維　0.1％の上昇、3ヵ月ぶりに上昇＞前月は0.6％の低下、6ヵ月平均は0.1％の上昇

■公益　6.3％の低下、3ヵ月ぶりに低下＜前月は1.3％の上昇、6ヵ月平均は0.3％の低下
・電力　4.2％の低下、3ヵ月ぶりに低下＜前月は1.2％の上昇、6ヵ月平均は0.4％の低下
・天然ガス　17.5％の低下、4ヵ月ぶりに低下＜前月は1.3％の上昇、6ヵ月平均は1.0％の上昇

■鉱業　1.5％の上昇＞前月は1.1％の上昇、6ヵ月平均は1.0％の上昇

――米12月鉱工業生産指数は、米中首脳会談後に中国による農業品、産業財、エネルギーなど米国製品輸入再開で合意したタイミングと歩調を合わせ、大きく上向きました。ただ発表元のFRBはこの点に言及していませんし、過去2ヵ月が軟調だった反動とも考えられます。

いずれにしても、製造業景況指数は足元で下振れが優勢でした。

（作成：My Big Apple NY）

製造業活動が改善を続けるかは、やはり米中通商協議の行方と世界景気の動向がカギを握っているのでしょう。政府機関の閉鎖も、中小企業庁の保証供与停止や証券取引委員会のIPOの審査・承認停止など、企業活動の仇となりかねませんし・・。

（カバー写真：Washington State Dept of Transportation/Flickr）

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