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米5月NFIB中小企業楽観度、米中通商協議をよそに改善

by • June 14, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1756

NFIB Small Business Optimism Rebounds Though Trade Friction Mounts.

米5月NFIB中小企業楽観度指数は105.0となり、市場予想の102を上回った。前月の103.5も超え4ヵ月連続で前月を上回った結果、政府機関が閉鎖される直前の2018年11月以来の水準を回復した。なお、過去最高は2018年8月の108.8。同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。

なおトランプ政権による追加課税措置については、2018年1月に太陽光パネル・洗濯機、同3月に鉄鋼・アルミへのセーフガードが発動。同年6月には、鉄鋼・アルミへの追加関税措置がEU、カナダ、メキシコへ波及した。鉄鋼・アルミ追加関税は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)締結後から約5ヵ月後の2019年5月に対メキシコとカナダで撤廃。もっとも、メキシコには不法移民対策強化が不十分として、6月10日から制裁関税を発動する意思を表明済みである。対中追加関税は2018年7月6日には通商法301条を根拠とした500億ドルのうち340億ドル、同年8月23日には残りの140億ドルが発動し、そして同年9月24日からは2,000億ドル相当へ拡大。同年12月1日の米中首脳会談で2019年1月から2,000億ドル相当への関税を10%から25%へ引き上げる措置を同年3月1日へ延長することで合意したが、6月1日からは25%へ引き上げた。残り約3,000億ドルの中国製品についても、追加関税を課す構えである。日米通商交渉は4月15~16日にワシントンで初会合を開催、1)農産品の関税引き下げはTPPの水準が限度、2)自動車は数量制限要求せず、交渉中は追加関税措置を講じず、3)為替は財務相間で協議、4)物品を優先、5)デジタル分野も対象――などで合意。欧州に対しては、トランプ政権はエアバス補助金をめぐる対抗措置に言及、欧州側も報復措置を講じる構えを表明しており、米欧間で通商上の緊張が高まるリスクを残す。

発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「中小企業主のマインドは過去最高近くへ切り返し、特に採用をはじめ設備投資、売上などが力強い」と振り返った。背景として、減税や規制緩和を指摘。6月ベージュブック米5月ISM製造業景況指数と一線を画し、通商政策や追加関税措置をめぐる不確実性については言及しなかった。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は前月に続き10項目だった。そのうち、前月を上回ったのは6項目で、「設備投資を拡大した」、「事業拡大に良いタイミング」、「賃金引上げ見通し」、「売上拡大見通し」、「採用見通し」、「経済がより良くなる」が該当した。マイナス項目は、「信用状況が緩和」が悪化した程度となる。以下は、項目ごとの変化。

「求人件数」38=前月は38%、6ヵ月平均は38%
「賃金引き上げ」34%=前月は34%、6ヵ月平均は34%
「設備投資を拡大した」30%>前月は27%、6ヵ月平均は27%
「事業拡大に良いタイミング」30%>前月は25%、6ヵ月平均は24%
「賃上げ見通し」24%>前月は20%、6ヵ月平均は21%

「売上拡大見通し」23%>前月は20%、6ヵ月平均は20%
「採用見通し」21%>前月は20%、6ヵ月平均は19%
「経済がより良くなる」16%>前月は13%、6ヵ月平均は12%
「販売価格の引き上げ」10%<前月は13%、6ヵ月平均は12%
「在庫を増加させる」2%=前月は2%、6ヵ月平均は2%

「黒字トレンドにある」−1%>前月は−3%、6ヵ月平均は−6%
「在庫満足度」−4%<前月は−4%、6ヵ月平均は−3%
「信用状況が緩和」−5%<前月は−4%、6ヵ月平均は−5%

――GDPの6割を担うとされる中小企業のセンチメント、追加関税措置の不確実性をよそに改善。

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(作成:My Big Apple NY)

トランプ政権が通商政策で強硬姿勢を維持しながら、中小企業のセンチメントの改善しました。賃金の上昇、設備投資の拡大に加え、経済や売り上げの見通しにも楽観度が見られます。これが一時的か否かは、6月の結果で明らかになるでしょう。

(カバー写真:America’s Power/Flickr)

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