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米5月個人消費と所得は堅調、インフレ期待は6月に小幅ながら上昇

by • July 9, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1901

Personal Spending And Income Stay Solid, Inflation Expectations Tick Higher In June.

米5月個人消費支出は前月比0.4%増と、市場予想の0.5%増を下回った。前月の0.6%増(0.3%増から上方修正)にも届かなかったとはいえ堅調なペースを保ち、3ヵ月連続で増加した。前年比では4.2%増となり、3ヵ月ぶりの低い伸びにとどまった。インフレを除く実質ベースでの個人消費も市場予想通り0.2%増となり、3ヵ月連続で増加した。前年比では2.7%増と前月の2.8%増に届かなかったが、2018年の平均値に並んだ。

個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。米5月新車販売台数が年初来で2回目の年率1,700万超えを果たしたように、耐久財が牽引した。ガソリン価格が下落したものの、非耐久財は前月に続き増加。サービスも平年を下回る気温を受け公益が支え、堅調だった。

・モノ 0.414%増、前月の0.555%増を下回るも3ヵ月連続で増加
>耐久財 1.664%増、前月の0.107%減を上回り増加に反転
>非耐久財 0.111%減、前月は1.188%増を下回り3ヵ月ぶりに減少
・サービス 0.384%増、前月の0.467%増を下回るも増加基調を維持

個人所得は前月比0.5%増と4月と一致し、市場予想の0.3%増を上回った4ヵ月連続で増加している。前年比では4.1%増と、4ヵ月ぶりに4%台に乗せた。実質ベースでは前月比0.3%増と市場予想の0.4%増を下回り、2ヵ月連続で増加。前年比は2.6%増と、前月の2.3%増を超え年初来で最高に並んだ。

可処分所得は前月比0.5%増となり2ヵ月連続で増加しただけでなく、6ヵ月ぶりの高い伸びを遂げた。前年比は3.9%増と前月の3.7%増を超えつつ、4%割れを続けた。実質ベースの可処分所得は前月比0.3%増と2ヵ月連続で増加しただけでなく、6ヵ月ぶりの高い伸びだった。前年比は2.3%増と前月の2.2%増を上回りつつ、2018年の2%後半の伸びから鈍化を保った。貯蓄率は前月通り6.1%と、2013年3月以来の6%割れを意識するレベルを維持した。

個人消費支出の伸びが所得を上回り、貯蓄率は約6年ぶりの低水準近くで推移。

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(作成:My Big Apple NY)

所得の内訳は、前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.2%増、前月の0.3%増を下回りつつ6ヵ月連続で増加(民間が0.2%増、サービス部門が0.2%増、財部門(製造業、鉱業、建設)は0.2%増)
・不動産収入 0.8%増、前月の0.4%増を含2ヵ月連続で増加(農場が6.3%増と2ヵ月連続で増加、非農場は0.7%増3ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.2%増、前月の0.2%増を含め5ヵ月連続で増加
・資産収入 1.6%増、前月の1.6%増を含め2ヵ月連続で増加(配当が0.5%増と2ヵ月連続で増加、金利収入は2.3%増と2ヵ月連続
増加)
・社会補助 0.4%増、前月の0.5%増を下回りつつ6ヵ月連続で増加
・社会福祉 0.4%増、前月の0.5%増を下回りつつ6ヵ月連続で増加(メディケア=高所得者向け医療保険は0.7%増と増加基調を維持、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.8%増と6ヵ月連続で増加、失業保険は1.3%増と3ヵ月ぶりに増加、退役軍人向けは1.2%増と増加に反転、その他は0.3%減と減少に反転)

人消費支出(PCE)デフレーターは原油価格が主に60ドル台で推移するなか、前月比0.2%上昇し市場予想と一致した。前月の0.3%には及ばず。前年比は1.5%上昇、市場予想と前月値と変わらず、年初来から続く1%半ばのレンジにとどまった。2012年3月以来の高い伸びを示した2018年7月の2.4%から遠のいたままだ。コアPCEデフレーターは前月比0.2%上昇し、市場予想と前月通りだった。コアPCEの前年比は4月と同じく1.6%上昇し、市場予想の1.5%を上回ったが、年初来から続くFOMCのインフレ目標値(2%)以下を維持した。

PCEコアは5ヵ月連続でFOMCの目標値以下に。

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(作成:My Big Apple NY)

――5月は個人消費の伸びが個人所得を小幅に上回る程度にとどまり、貯蓄率の一段の低下を回避しました。金融危機後の景気拡大が根付いた2013年4月以降、貯蓄率は6%を割り込まずにいます。足元で家計のバランスシートも比較的改善ですから、個人消費は景気減速局面での耐性がある半面、同時に貯蓄率の上昇を狙い、個人消費の伸びが鈍化する余地を残します。

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(作成:My Big Apple NY)

一方で、NY地区連銀が発表するインフレ期待は6月に小幅ながら上向きを示しました。さらに、ダラス地区連銀によれば、5月のトリム平均PCEも上昇しています。コアPCEやPCE自体は伸び悩みますが、平均時給が11ヵ月連続で3%台の伸びを維持するなかで、賃金やインフレの見方が明るくなってきたようです。

(カバー写真:Lee Martin/Flickr)

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