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米6月CPIコアが上昇、アメリカ人の胃袋を直撃

by • July 16, 2019 • Latest News, NY TipsComments Off3817

Not Only Auto, But This Category Pushes Up Core CPI.

パウエルFRB議長率いる米連邦公開市場委員会(FOMC)は低インフレを一因に利下げへ舵を切ろうとしていますが、こちらのインフレ率は上昇傾向をたどります。

消費者物価指数(CPI)に含まれる、外食です。

まずは、米6月CPIをおさらいしていきましょう。

米6月消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%上昇し、市場予想の横ばいを上回った。前月の0.1%と変わらず。原油先物が6月に51.68ドルと1月以来の安値をつけたためエネルギーが2.3%低下し、全体を押し下げた。ガソリンも3.6%低下し、エネルギーと合わせて2ヵ月連続でマイナスとなる。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は6月に一時2.654ドルと約3ヵ月ぶりの水準へ下落していた。その他のエネルギーでは電力など公益が前月の0.7%の低下し、3ヵ月連続で落ち込んだ。エネルギー以外では食品・飲料が0.1%上昇し、前月の0.3%と合わせ2ヵ月連続でプラスだった。

CPIコアは0.3%上昇し、市場予想の0.2%を上回った。3カ月連続での横ばいを経て、2018年1月以来の高い伸びを遂げている。項目別では、帰属家賃が少なくとも6ヵ月連続で0.3%上昇し、全体を支えた。家賃は3~4月の水準へ戻し0.4%、前月の0.2%を上回った。ただし、ホテルなど宿泊も前月の0.6%低下し、2ヵ月連続でマイナスとなった。結果、住宅全般では0.3%上昇し、前月の0.2%を上回った。

そのほか、服飾は1.1%上昇、5ヵ月ぶりに1%台に乗せた。トランプ政権が検討開始を始めた約3,000憶ドル相当の第4弾追加関税措置に服飾・靴類が含まれたためか、男性・女性の衣類だけでなく、靴類も2%台の伸びが目立った。医療費は0.3%上昇し4ヵ月連続でプラス。教育も0.1%上昇し、8ヵ月連続で上昇した。一方で、輸送は0.7%低下し、2ヵ月連続でマイナス。ただし、輸送のうち自動車が0.6%上昇し、新車が3ヵ月連続で0.1%だったほか、中古車に至っては1.6%上昇、5ヵ月ぶりにプラスとなり自動車を押し上げた。米6月新車販売台数が底堅かった理由は、下取りに出す中古車の価格改善が一因だった可能性がある。娯楽は0.2%の低下、2ヵ月連続でマイナスとなる。航空運賃はボーイング737MAXの運航停止問題が一服するなか、0.9%低下し過去4ヵ月間で3回目のマイナスを迎えた。

CPIは前年比で1.6%上昇、市場予想と一致した。ただし、前月の1.8%以下となる。2012年2月以来の高い伸びを遂げた2018年7月に2.9%から一段と遠ざかった。コアCPIは市場予想と前月の2.0%を超え、2.1%の上昇に。リーマン・ショック直後の水準へ加速した2018年7月の2.4%以下の推移を続けたが、小幅ながら上向いた。

CPIは伸び悩みも、サービスを中心にコアは安定的。

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(作成:My Big Apple NY)

――というわけで、本題に戻りましょう。外食のCPIはどうなっているのでしょうか?こちらをご覧下さい。

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(作成:My Big Apple NY)

外食の物価は6月に前年比3.1%上昇し、コアCPIはもちろん自宅での食費の同0.9%を大きく上回っていました。米中追加関税措置の影響で大豆やコーンなどの食料品価格が下落している一方で、外食産業に従事する方々の賃金が上昇しているためです。主因は、最低賃金の引き上げにあります。例えば2018年にはアラスカ州やフロリダ州でなど8州で生活費の上昇を背景として、その他カリフォルニア州やニューヨーク州、ワシントン州やコロラド州など比較的リベラル色が強い11州で州政府の法案可決を理由に引き上げました。2019年も、19州が最低賃金を引き上げたといいます。もちろん、6月ベージュブックで指摘される通り、人手不足による賃金引き上げも外食の物価を押し上げたに違いありません。NY市で有名店の店仕舞いが相次いでいるからといっても、雨後の筍のように毎日新たなレストランが誕生するので、働き手には事欠きませんから。

景気回復期、外食産業の就業者数は製造業に迫る勢いで増加し非農業部門就労者数の8%を占めるまでに。ちなみに、製造業は1990年の13%から8.5%へ低下。

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(作成:My Big Apple NY)

外食にはレストラン以外に社員食堂、学校の給食・食堂、自動販売機などを対象に含み、CPI全体の6.0%を占めます。エネルギーが7.9%だと踏まえれば、意外に高いですよね?例えば、今回値上がりが顕著だった服飾は3.0%、燃料を除く輸送(新車・中古車含む)ですら、6.5%なのですから。

侮りがたし、外食。しかも、ミレニアル世代のライフスタイルが影響し日本人より外食の頻度が高いとあって、CPIでの外食の物価上昇は庶民の財布を直撃しかねません。というわけで次回は、外食の売上動向とアメリカ人の傾向を掘り下げてみることといたしましょう。

(カバー写真:nvainio/Flickr)

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