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米6月中古住宅販売、市場予想以下も新規購入の比率が上昇

by • July 28, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2042

Existing Home Sales Dip But Lower Rates Bring More First Buyers.

米6月中古住宅販売件数、米6月新築住宅販売件数、米5月住宅価格指数をおさらいしていきます。

全米リアルター協会(NAR)が発表した米6月中古住宅販売件数は年率527万件と、市場予想の532万件に届かなかった。前月の536万件(534万件から上方修正)を1.7%下回る。住宅市場の書入れ時を迎えつつ、引き続き手頃な価格帯の住宅不足が仇となり、減少に転じた。前年比では2.2%減と16ヵ月連続でマイナスだった。

内訳をみると、一戸建てが469万件と前月の476万件(修正値)を1.5%下回った。複合住宅は3.3%減の58万件と3ヵ月ぶりに減少した。

中古住宅販売件数、一戸建てと複合そろって減少。

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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では、2地域で増加し前月の全地域から減少した。複合住宅比率が高い北東部が1.5%増(2ヵ月連続で増加)の68万件だったほか、中西部も1.6%増(3ヵ月連続で増加)の125万件だった。一方で、住宅市場規模が最大の南部は3.4%減(3ヵ月ぶりに減少)の225万件、IT企業が集まり住宅価格の高騰が著しい西部も3.5%減(3ヵ月ぶりに減少)の109万件だった。

在庫件数は前月比0.5%増の193.0万件と6ヵ月連続で増加し、2018年6月以来の高水準となった。前年比では横ばいとなり、プラス基調を10ヵ月で止めた。なお、在庫件数は2016年12月に165万件と1999年以来での最低を更新していたが、以降は回復基調に入っている。販売が減少し在庫が増加した結果、在庫相当は前月の4.4ヵ月となった。

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(作成:My Big Apple NY)

中央価格は前月比2.7%上昇の28.57万ドルと、5ヵ月連続で上昇し過去最高を更新した。前年比では4.3%上昇、2012年3月以降続くプラス基調を保った。前年比で平均時給の上昇ペースを上回るペースを維持した。販売日数は27日と、前月と前年同月の26日を上回った。NARは、販売件数の56%が1ヵ月以内に買い手がついたと説明、前月の53%を上回った。

買い手の内訳は、以下の通り。

・新規購入者35%>前月は32%、前年同月は31%
・現金購入者16%<前月は19%、前年同月は22%
・住居用ではなく投資向け10%<前月は13%、前年同期は13%

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「過去最高の家計純資産や好調な労働市場を追い風に、販売件数は2015年の高水準に近いペース」と評価した。ただ、引き続き「中低所得層向けの価格帯物件は需要に届いておらず、現状で供給不足」と指摘。住宅価格を過去最高水準に押し上げていると説明した。

――販売件数こそ減少しましたが、NARが分析する通り値ごろな価格帯の供給不足が主因とされ、低金利を追い風に新規購入の比率は上昇していました。追加関税措置の影響も、現時点ではどこ吹く風。Fedが利下げを行ない中古住宅販売が堅調な水準を保てば、関連消費押し上げにも期待が募ります。

▽米6月新築住宅販売件数、西部と南部が支え3ヵ月ぶりに増加

米6月新築住宅販売件数は年率64.6万件と、市場予想の65.8万件を下回った。ただし、前月の60.4万件(62.6万件から上方修正)を7.0%上回り、3ヵ月ぶりに増加。力強い労働市場と低金利に支えられ、米中貿易摩擦が長期化するものの底堅さを示す。前年比では4.5%増と、過去6ヵ月間で5回目の増加となった。

4大地域別では、前月通り2地域で増加した。IT企業が集まる西部が50.0%増(3ヵ月ぶりに増加)の18.5万件と、過去2ヵ月間の減少を打ち消した。住宅規模が最大の南部も0.3%増(2ヵ月連続で増加)の38.2万件となった。一方で、北東部は4.2%減(2ヵ月連続で減少)の2.3万件、中西部は26.3%減(減少に反転)の5.6万件だったほか、

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(作成:My Big Apple NY)

在庫総数は、前月比0.6%増の33.8万件だった。販売件数の増加が在庫を上回ったため、在庫相当は6.3ヵ月と、前月の6.7ヵ月から短期化した。

中央価格は31.04万ドルと、前月の30.35万ドルから2.3%上昇した。なお、2018年3月に33.54万ドルと過去最高を更新した。前年比では横ばいとなり、2018年9月以降(2018年10月と2019年3月を除く)前月の下落から転じた。

▽米5月住宅価格指数、前年比は5%割れ迫る

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米5月宅価格指数は前月比0.1%上昇し、市場予想と前月の0.4%を下回った。前年比は5.0%上昇、2012年3月以降の上昇トレンドを維持。ただし、前月の5.2%を下回り2015年以来の5%台の伸びを下回る可能性が出てきた。国勢調査ベースの9地域別では、前月比にて6地域で上昇、4月の7地域を下回った。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

――中古住宅販売件数と新築住宅販売件数の地域別をみると、中古住宅販売で西部と南部が減少した一方で、北東部と中西部が減少していました。新築販売では逆の展開となり、西部と南部が増加を牽引しています。住宅市場の規模が大きく、また用地に比較的余裕のある地域で、新築住宅が増加し供給分を補った可能性を示唆しているのではないでしょうか。この仮説が正しければ、やはり住宅市場は供給不足が解消されれば改善する可能性を残します。

(カバー写真:Eric Allix Rogers/Flickr)

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