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米7月鉱工業生産、製造業の軟調ぶりを確認

by • August 16, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1877

Industrial Production Is Still In The Woods Amid Trade Concerns.

米7月鉱工業生産と、米8月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米7月鉱工業生産指数は前月比0.2%の低下となり、市場予想の0.1%を下回った。前月の0.2%(横ばいから上方修正)以下となり3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。7月は新車販売台数が年率で3ヵ月ぶりに1,700万台を割り込んだように自動車関連が軟調で、製造業は0.4%低下と市場予想の0.3%の低下より下げ幅を広げた。年初来で、4回目の低下となる。鉱工業生産指数の前年比では0.5%上昇、原油底打ちを経てプラス基調に転じた2016年12月以降のプラス基調で最小の伸びにとどまった。

稼働率は77.5%と、市場予想の77.8%を下回った。2017年10月以来の低水準となる。た法人税減税やレパトリなどの効果は実施2年目を迎え剥落する上、米中間の貿易摩擦が激化するなか、過去平均の80%台を回復できないままだ。

鉱工業生産の前年比は、プラス基調を維持しつつ2016年12月以降で最小。稼働率も

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(出所:My Big Apple NY)

内訳をみると、製造業(全体の75.1%)が前述したように自動車に引きずられマイナスに転じた。5月にトランプ政権が2,000憶ドル相当の中国製品への追加関税措置を10%から25%への引き上げを決定、残り約3,000億ドルにも追加関税を課す第4弾を打ち出した後、米中首脳会談で延期を発表したものの、不確実性が嫌気されたもようだ。しかも8月1日には一転して9月1日から第4弾を発動する運びとなり、13日には携帯電話やPC関連、衣類などが12月15日に先送りを決定したが、製造業を一段と下押しするか注目される。自動車以外では、第4弾の追加関税措置に含まれる電子機器のほか、木材、機械が弱かった。非耐久財は、そろって軟調。一方で、公益(全体の10.4%)は熱波を受けて大幅に上昇した。原油価格が50ドル台で推移するなか、鉱業(全体の14.2%)は3カ月ぶりに低下した。

■製造業 0.4%の低下<前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の低下

▽耐久財 0.2%の低下<前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は横ばい

・航空機/輸送機 1.4%の上昇、2ヵ月連続で上昇>前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は横ばい
・家具関連 0.7%の上昇>前月は0.2%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・一次金属 0.1%の上昇>前月は1.6%の低下、6ヵ月平均は0.6%の低下
・コンピュータ/電子部品 横ばい、増加トレンドにブレーキ<前月は1.1%の上昇、6ヵ月平均 0.5%の上昇

・自動車関連 0.2%の低下、3ヵ月ぶりに低下<前月は2.5%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の上昇
・電子機器 0.6%の低下<前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・組立金属 0.9%の低下<前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の低下
・木材 1.1%の低下、4ヵ月ぶりに低下<前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
・機械 1.1%の低下<前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0.7%の低下

▽非耐久財 0.5%の低下<前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の低下

・服飾 横ばい<前月は0.7%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
・石油製品 0.2%の低下、3ヵ月ぶりに低下<前月は2.2%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の低下
・化学品 0.4%の低下=前月は0.4%の低下、6ヵ月平均は0.5%の低下
・食品/飲料/タバコ 0.6%の低下<前月は1.7%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・繊維 1.4%の低下<前月は1.1%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
・プラスチック/ゴム 1.6%の低下、3ヵ月ぶりに低下<前月は1.1%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の低下

■公益 3.1%の上昇>前月は3.3%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・電力 3.7%の上昇>前月は3.2%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・天然ガス 0.1%の低下>前月は3.8%の低下、6ヵ月平均は横ばい

■鉱業 1.8%の低下<前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の低下

――米7月鉱工業生産指数は、ヘッドライン通り製造業が弱く市場予想以下でした。7月ベージュブックで追加関税措置の影響が色濃く表れたように、弱い数字が続きます。世界の製造業PMIも下振れするなか、ISM製造業景況指数が景気判断の分岐点である50を割り込むのか、米景気を読み解く上で重要になってくるでしょう。

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(作成:My Big Apple NY)

▽米8月NAHB住宅市場指数、金利低下を支えに年初来で最高に並ぶ

米8月NAHB住宅市場指数は66となり、市場予想と前月の65を上回った。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げと金利低下により、建設業界のセンチメントに楽観度が増し、5月につけた年初来最高に並んだ。トランプ政権が追加関税第4弾として残り約3,000億ドルの中国製品に追加関税を発動する方針を表明(8月14日に衣類やスマートフォンなど年末商戦の軸となる品目を除くと発表)したものの、建設資材が一部で下落している事情もあり、建設業者への影響は現時点で限定的となっている。内訳をみると、一戸建て現況指数は73と前月の72を超え2018年10月以来の水準へ上昇。ただ、一戸建て見通し指数は70と前月の71から低下した。客足の動向を表す見込み客指数は50と前月の48を超え、10ヵ月ぶりに分岐点の50を上回った。

NAHB住宅市場指数、金利低下も建設労働者と用地の不足を背景に伸び悩み。

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(作成:My Big Apple NYが作成)

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグレッグ・ウガルデ会長は、結果を受け「建設業者は堅調な需要を指摘するが、過剰な規制による建設資材コストの上昇のほか、人手不足、用地不足が問題となっている」と振り返った。ロバート・ディエス首席エコノミストは「米30年物住宅ローン固定金利が足元4ヵ月で4.1%から3.6%へ低下したものの、建設業者の活動は同様のペースで拡大していない」とコメント。背景として「通商政策への懸念」を挙げた。

――NAHB住宅市場指数は上昇した上、ウガルデ会長の見解に反し建設資材コストは引き続き前年比で落ち着いています。

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(作成:My Big Apple NY)

ただし人手不足は、トランプ政権の移民流入抑制強化策もあって簡単に解消されそうにありません。住宅市場は低金利の恩恵を受けたとしても、加速は想定し難い。NAHB住宅市場指数も、かつての70以下で推移している通り下振れを回避しつつ上振れ余地も限定的でしょう。

(カバー写真:Long Zheng/Flickr)

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