Medical Care Service Pushes Up Core CPI To September 2008.
米8月消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%上昇し、市場予想と一致した。前月の0.3%以下にとどまっている。原油先物は8月、トランプ大統領が対中追加関税第4弾を9月1日から発動すると表明したため58ドル付近から急落、一時は51ドル台まで下落するなか、エネルギー(全体の7.8%)は1.9%低下し、全体を押し下げた。ガソリンも3.5%低下し、エネルギーと合わせて過去4ヵ月間で3回目のマイナスとなる。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は8月に一時2.574ドルと約5ヵ月ぶりの水準へ下落した。その他のエネルギーでは電力など公益が前月まで3ヵ月連続でマイナスから前月に横ばいへ転じた後、0.2%の低下へ戻した。エネルギー以外では食品・飲料は2ヵ月連続での0.1%を経て、横ばいに転じた。
CPIコアは0.3%上昇し、市場予想の0.2%を上回った。3ヵ月連続で、2018年1月以来の高い伸びとなる。項目別では、帰属家賃が前月に続き0.2%となった。家賃は前月の0.3%から0.2%へ鈍化。ホテルなど宿泊は2.1%へ低下し、過去4ヵ月間で3回目のマイナスとなった。結果、住宅全般では6~7月の0.3%を経て、0.2%へゆるんだ。
逆に、住宅関連以外は上向いた。医療費が前月の0.5%を超え0.7%上昇、6ヵ月連続でプラスとなり、特に医療サービスが0.9%と牽引した。娯楽は0.5%上昇し、前月の横ばいから反転。服飾は前月の0.2%上昇し、3ヵ月連続でプラスに。トランプ政権が検討開始を始めた約3,000億ドル相当の第4弾追加関税措置に含まれた服飾・靴類は、発動時期が12月15日に先送りされながら、上昇を続けた。その他、燃料を除く輸送は0.3%上昇し、プラス基調を維持。輸送のうち、自動車が0.3%上昇し前月に続き輸送を支え、新車が前月の0.2%に続き0.1%低下したものの、中古車が1.1%と3ヵ月連続でプラスとなり自動車に寄与した。航空運賃はボーイング737MAXの運航停止問題が一服するなか、1.7%上昇し前月の2.3%に続き2ヵ月連続で上向いた。一方で、教育は10ヵ月連続で上昇を経て、横ばいに転じた。もっとも、教育のうちパソコンは1.2%と2ヵ月連続で強含んだ。
CPIは前年比で1.7%上昇、市場予想と一致した。前月の1.8%から鈍化し、2012年2月以来の高い伸びを遂げた2018年7月に2.9%以下が続く。コアCPIは市場予想の2.3%並びに前月の2.2%を超え、2.4%上昇。リーマン・ショックが発生時である2008年9月の水準へ加速した2018年7月のレベルに並んだ。
CPI、コアはリーマン・ショック時点の水準を回復。
――今回、エネルギー関連や食品・飲料が低下し帰属家賃が鈍化したものの、コアCPIが上向きました。今回は追加関税第4弾に含まれる衣類の伸びが鈍化した一方で、医療保険の高騰を一因に医療費が牽引したほか、低調だった娯楽が反動で上振れしました。当サイトで注目する外食も、引き続き0.2%と堅調です。なお医療費は前年比で4.3%、娯楽・宿泊は同1.3%、外食は同3.2%でした。
しかし、NY地区連銀のインフレ期待は8月に2.4%と前月の2.6%以下となり、賃金上昇見通しも2.6%から2.4%へ鈍化していました。ダラス地区連銀が公表するトリムPCEも、7月に2ヵ月連続で2.0%と引き続き安定的で、インフレ圧力の高まりはみられません。ISM製造業景況指数は仕入れ価格が50を割り込むなど、川上での物価上昇圧力は低迷する状況です。
平均時給に視点を落とすと13ヵ月連続で3%台にて推移しておりますが、全体の約4分の1%を占める帰属家賃の伸びが鈍化したほか、ガソリンを始めエネルギーの価格が下落したためか、インフレ期待は低下しています。米中追加関税措置第4弾の発動を懸念した景気後退入りへの不安感がインフレ期待を抑えたのであれば、9月は改善する余地がありますが、果たしてどうなるでしょうか。
(カバー写真:voodooangel/Flickr)
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