Should We Blame It On GM Strike? Retail Sales Snap 6-Month Win Streak.
米9月小売売上高と、米10月NAHB住宅市場指数をおさらいします。
米9月小売売上高は前月比0.3%減と、市場予想の0.3%増を下回った。前月の0.6%増(0.4%増から上方修正)に反し、7ヵ月ぶりに減少。自動車を除いた場合は0.1%減と、市場予想の0.2%増に反しマイナスに転じた。前月の0.2%増(横ばいから上方修正)を下回り、9ヵ月ぶりの減少となる。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は横ばいとなり、前月の0.3%増に反し、増加トレンドを6ヵ月で止めた。
前年比は、8月と変わらず4.1%増。
内訳をみると、主要13カテゴリー中6カテゴリーで増加し、前月と変わらず。今回は前月に大幅増となった建築材・庭園の落ち込みが激しかったほか、米9月新車販売台数が底堅かった割に自動車・部品も減少。ガソリン価格の下落を反映し、ガソリン・スタンドも弱い。アマゾンのプライムデーもあって足元で小売売上高を牽引してきた無店舗も、9ヵ月ぶりに減少に反転した。一方で、服飾や家具、ヘルスケアなどが増加した。項目別の詳細は、以下の通り。
(プラス項目)
・服飾→1.3%増>前月は0.7%減、6ヵ月平均は0.3%増
・家具→0.6%増>前月は横ばい、6ヵ月平均は0.2%増
・ヘルスケア→0.6%増<前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.2%増
・雑貨→0.5%増<前月は2.6%増、6ヵ月平均は1.3%増
・外食→0.2%増、9ヵ月連続で増加>前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.6%増
・電気製品→横ばい>前月0.2%減、6ヵ月平均は横ばい
(マイナス項目)
・食品/飲料→0.1%減、7ヵ月ぶりに減少<前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.4%増
・一般小売→0.3%減、2ヵ月連続で減少<前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.1%増
(*百貨店は1.2%減<前月は1.0%増、6ヵ月平均は0.3%減)
・無店舗(主にネット通販)→0.3%減、9ヵ月ぶりに減少<前月は1.2%増、6ヵ月平均は1.2%増
・ガソリン・スタンド→0.7%減、過去5ヵ月間で4回目の減少<前月は1.3%減、6ヵ月平均は0.2%減
・スポーツ用品/書籍/趣味→0.7%減、3ヵ月連続で減少>前月は0.3%減、6ヵ月平均は0.4%増
・自動車/部品→0.9%減、5ヵ月ぶりに減少<前月は1.9%増、6ヵ月平均は0.3%増
・建築材/園芸→1.0%減、4ヵ月ぶりに減少<前月は2.3%増、6ヵ月平均は横ばい
――米9月新車販売台数と整合的でない結果となった背景としては、月ごとの新車販売台数を発表しないGMがストライキに入ったことが一因として挙げられます。ミシガン州やオハイオ州など中西部の販売店が閉鎖となり、販売台数を押し下げたもよう。自動車以外も幅広く減少していましたが、ハリケーン“ドリアン”対策で8月に急増した反動で減少した可能性がある建築材・庭園は、一時的に弱含みとなった可能性も。無店舗の減少も、8ヵ月連続で増加した後の減速と捉えられ、この流れが続くかは不透明です。もちろん、ISM製造業景況指数が2ヵ月連続で景気判断の分岐点を割り込んでおり、製造業の悪化が個人消費に及んだとも考えられますが、年末商戦の開始に伴い消費が改善する余地を残します。
小売売上高は市場予想に反し減少したものの、アトランタ地区連銀は企業在庫など16日までの経済指標を受け、米7~9月期実質GDP成長率見通しを従来の1.7%増から1.8%増へ上方修正しました。米経済は2018年をピークに頭打ちしたに違いありませんが、潜在成長率程度の鈍化にとどまるか、真価が問われます。
▽米10月NAHB住宅市場指数、金利低下を支えに2018年2月以来の高水準
米10月NAHB住宅市場指数は71となり、市場予想並びに前月の68(66から上方修正)を上回った。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げと金利低下により、建設業界のセンチメントに楽観度が増し、2018年2月以来の高水準。トランプ政権が9月1日から追加関税第4弾を発動(スマートフォンや衣類など555品目は12月15日)したものの、10月に開催された米中閣僚通商協議では、対中追加関税第1~3弾、合計2,500億ドル相当の税率は25%で据え置かれた。仮に部分合意の目途が立てば、センチメントが一段と改善する余地を残す。内訳をみると、一戸建て現況指数は78と前月の75を超え、2018年1月以来の水準へ上昇した。一戸建て見通し指数は8~9月の70から76へ急伸、2018年5月以来のレベルに。見込み客指数は3ヵ月連続で50の分岐点を超え、2018年2月以来の高水準だった。
NAHB住宅市場指数、金利低下の恩恵を受けて上振れ。
――対中追加関税措置が発動された2018年7月から1年以上が経過し、建設コストは前年比で5ヵ月連続にて下落しました。
トランプ政権の移民政策厳格化を受けて人手不足解消への道のりは遠いながら、建設業者のセンチメントが上振れしたということは、子供をもつ年ごろになったミレニアル世代の需要を反映した可能性があります。米9月小売売上高は個人消費の鈍化を示唆していましたが、NAHB市場指数が家計の懐具合を正しく示唆しているか、見極めが必要ですね。
(カバー写真:Chris Devers/Flickr)
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