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米3月CPI、外食禁止措置受け宿泊と服飾などが過去最低

by • April 13, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1777

U.S. Consumer Prices Decline, Dragged By Energy And Other Stay-At-Home Related Components.

米3月消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%低下し、市場予想の0.3%の低下よりマイナス幅を広げた。2017年5月以降で初めて低下した。

価格を押し下げたのはエネルギー(全体の7.8%)で5.8%低下し、2ヵ月連続でマイナスガソリンも10.5%低下し、エネルギーと合わせて2ヵ月連続でマイナスとなった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要減速に加え、OPECプラス会合でサウジアラビアとロシアが減産をめぐり交渉決裂、サウジが増産の意向を表明し油価が一時20ドル割れを迎え、弱含みを迎えた。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は3月に一時2.120ドルへ下落、2016年3月末以来の水準へ落ち込んだ。

その他のエネルギーでは、電力など公益が0.5%低下した。電力(0.2%の低下)をガス(1.4%の低下)共に押し下げた。エネルギー以外では食品・飲料が0.3%上昇し、7ヵ月連続でプラスとなった。

CPIコアは0.1%低下し、市場予想の0.1%の上昇に反する結果となった。前月の0.2%の上昇から転じ、2010年1月以来のマイナスを示した。

エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。

(低下項目)
・航空運賃 12.6%の低下と過去最大の下げ幅、前月の0.3%の低下に続き2ヵ月連続のマイナス
・宿泊 6.8%の低下と過去最大の下げ幅、前月の2.0%の上昇から転じ大幅のマイナス
・服飾 2.0%の低下と過去最大の下げ幅、前月の0.4%の上昇から転じ5ヵ月ぶりのマイナス
・新車 0.4%の低下、前月の0.1%の上昇から転じ3ヵ月ぶりのマイナス

(上昇項目)
・家庭用清掃製品 1.1%の上昇と過去最大下の上げ幅、前月の0.7%の低下を超え3ヵ月ぶりに上昇
・中古車 0.8%の上昇、前月の0.4%と合わせ2ヵ月連続で上昇
・医療費 0.5%の上昇、前月の0.3%の上昇を上回る
・家賃 0.3%の上昇、前月と変わらず2010年10月以降の上昇基調を維持

(横ばい)
・住居費 横ばい、前月の0.3%の上昇から転じ2010年5月から続く上昇基調にブレーキ
※家賃の上昇などを宿泊の下振れが相殺

CPIの前年比は1.5%上昇、市場予想の1.6%を下回った。前月の2.3%から大幅鈍化し、2019年2月以来の低い伸びとなった。コアCPIは2.1%上昇、約9ヵ月ぶりの低い伸びにとどまった。

チャート:CPIは原油安と外出禁止措置関連で下押し。

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(作成:My Big Apple NY)

――今回、エネルギー価格の下落を受け、外出禁止関連措置を受けながら電力やガスを含む公益も下振れしました。さらに外出禁止関連措置の余波を受け服飾、航空運賃、宿泊が前月比で過去最大の下げ幅を記録。今後も航空運賃に至っては同時多発テロ事件直後の2.5~2.7%の低下を大きく下回り、深刻さが浮き彫りとなっています。需要増が見込まれる医療サービスや通信サービスが上向いたとしても、需要低迷と外出禁止関連措置の物価押し下げが全体の足を引っ張るに違いありません。

生産者物価指標も下方向の傾向が顕著となっており、3月は前年比0.7%と2016年4月以降で最も低い伸び。

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(作成:My Big Apple NY)

NY連銀調査によるインフレ期待は前月と横ばいながら賃金見通しは鈍化、ダラス連銀のトリム平均PCEも2月までながら3ヵ月連続で前月以下に。

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(作成:My Big Apple NY)

外出禁止関連措置が緩和されたとしても、逆資産効果や所得減に直面した家計が支出に積極的になるとは想定しづらく、インフレ期待は下振れトレンドをたどりそうです。

(カバー写真:Delta News Hub/Flickr)

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