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米新規失業保険申請は200万件割れ接近、継続受給者数も遂に減少

by • May 28, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off2309

Jobless Claims Fall By 323K, And Continuing Claims Plunged By Nearly 4 Million.

5月23日週までの米新規失業保険申請件数は212.3万件と、前週の244.6万件(243.8万件から修正)を下回りました。ただし過去10週間では約4,077万件となり、新型コロナウイルス感染拡大前にあたる2月の労働人口の約4分の1に相当します。

新規失業保険申請件数は9週連続で減少するなか、5月20日までに全米50州が経済活動の段階的な再開に動いた結果、減少幅が前週比32.3万人と前週の24.3万人より拡大した点は、間違いなく好材料です。

さらに、5月16日週までの継続受給者数の過去最高記録更新を7週で止めました。おかげで、失業者に占める受給者比率も改善しています。関連指標の果は、以下の通り。。

・新規失業保険申請件数(5/23週)→32.3万人減の212.3万人、8週連続で減少
・継続受給者数(5/16週)→前週比386万人減の2,105万人、過去最高更新記録は7週で打ち止め
・失業者に占める被保険者の割合(同)→14.5%、前週の17.1から2.6%ポイント低下、過去最高記録更新は6週で打ち止め

チャート:米新規失業保険申請件数だけでなく、継続受給者数も2月29日週以来、11週ぶりに減少へ反転

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(作成:My Big Apple NY)

なお、約2.2兆ドルの景気刺激策に盛り込まれた緊急連邦失業保険申請件数は5月23日週に前週比5.4万件減少の119.3万件でした。現状、2021年1月までの緊急連邦失業保険の受給延長が盛り込まれた民主党による景気刺激策が米上院で可決する見込みは小さく、緊急連邦失業保険受給は7月末で終了となる予定です。

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新規失業保険申請件数のグッドニュースと裏腹に、27日に大型のリストラ計画が2件飛び出しました。航空機メーカーのボーイングが墜落事故を抱えていた737MAXの生産再開と同時に、1.3万人の人員削減計画を発表。さらに、石油メジャーのがシェブロンが世界全体で従業員の10~15%(4,500~6,500人)をリストラするといいます。

その他、4月以降に発表された主要企業の人員削減計画は前述のボーイングとシェブロンに加えて以下の通り。

〇オフィス・デポ 5月15日
→店舗閉鎖に伴い2023年までに約13,100人を削減へ

〇ハイアット・ホテルズ 5月12日
→世界全体で1,300人を削減へ

〇ウーバー 5月7日
→全従業員の14%相当、約3,700人を削減へ

〇GE 5月4日
→ボーイング737MAX生産停止を受けて、ジェットエンジン部門で約13,000人を削減へ

〇ハーツ 4月21日
→全従業員の3分の1に相当する1万人を削減へ、レンタカー大手は5月22日に連邦破産法11条(チャプター11)を申請

〇ハリバートン 4月6日
→オクラホマ在住の従業員、約350人を削減へ

人材派遣会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが外出禁止措置が全米で進行中だった3月20~26日に実施した調査では、対象となった254社のうち49%が人員削減を行う方針と回答していました。また、採用を凍結したとの回答も、既に37%。これが既に過去の話となればいいのですが・・。

新型コロナウイルス感染が拡大する直前の2月時点で労働市場の約8%を占めていた食品サービス、すなわちレストランなど飲食業の雇用も、引き続き気掛かりです。全米レストラン業協会による3月時点の予測では、向こう3ヵ月間で500万~700万人の雇用が削減される見通しのところ、3月と4月の雇用統計をみると2ヵ月間で合わせて既に同セクターの就労者数は約591万人減少しており、予想レンジ上限となること必至。コロナ禍による雇用喪失のマグニチュードの大きさを物語ります。

それでも上昇する米株相場。人員削減を合理化と判断しているのか、あるいはレストランに通わずデリバリーや自炊に走るなど支出先が変化すると見込んでいるのか。いずれにしても、極めて楽観的であることに変わりはありません。

(カバー写真:just1snap/Flickr)

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