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米5月コアCPIは3ヵ月連続で低下、経済活動再開に着手も

by • June 14, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off2410

U.S. CPI Falls For Third Time In A Row Though Economic Activity Resumes.

米5月消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%低下し、市場予想の横ばいより下振れした。2008年12月以降で最も大きく低下した前月の0.8%に続き、3ヵ月連続でマイナスとなる。

価格を押し下げたのは引き続きエネルギー(全体の7.8%)で1.8%低下ガソリンも3.5%低下し、それぞれ5ヵ月連続でマイナスとなった。なおエネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は5月に一時1.960ドルをつけ、経済活動の再開と共に4月の1.773ドル(2016年2月以来の低水準)から徐々に上向きを示した。

その他のエネルギーでは、電力など公益が0.5%低下し前月の0.1%上昇から転じた。そのうち電力(0.8%の低下)が下振れした半面、ガス(0.8%の上昇)が上振れした。エネルギー以外では食品・飲料が1.4%上昇、前月の0.3%を超え8ヵ月連続でプラスとなった。

食品・飲料は0.7%上昇、1980年以来の高水準だった前月の1.5%を下回ったものの9ヵ月連続で上昇した。

CPIコアは0.1%低下し、1957年から統計が開始して以降で最大の落ち込みを記録した前月の(0.4%の低下)に続き3ヵ月連続でマイナスとなった。

エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。

(低下項目)
・自動車保険 8.9%の低下、2ヵ月連続でマイナス<前月は7.2%の低下
・航空運賃 4.9%の低下、4ヵ月連続でマイナス>前月は15.2%の低下と過去最大の落ち込み
・宿泊 3.6%の低下、3ヵ月連続でマイナス>前月は7.1%の低下と過去最大の落ち込み
・服飾 2.3%の低下、3ヵ月連続でマイナス>前月は4.7%と過去最大の落ち込み
・輸送サービス 3.6%の低下、3ヵ月連続で低下>前月は4.7%の低下と過去最大の落ち込み
・中古車 0.4%の低下、2ヵ月連続でマイナス=前月は0.4%の低下

チャート:自動車保険以外は、経済活動再開に合わせ下げ幅縮小

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(作成:My Big Apple NY)

(上昇項目)
・食費 1.0%の上昇、5ヵ月連続で上昇<前月は2.6%の上昇と1974年2月以来の高水準
・娯楽/宿泊 0.9%の上昇、データ取得可能な1993年以降で最大の伸び>前月は0.2%の低下
・医療費 0.5%の上昇、2018年9月以降の上昇トレンドを維持=前月は0.5%
・外食 0.4%の上昇、2017年6月以降の上昇トレンドを維持>前月は0.1%
・帰属家賃 0.3%の上昇>前月は0.2%の上昇
・家賃 0.3%の上昇、2010年11月以降の上昇トレンドを維持>前月は0.2%の上昇
・教育 0.1%の上昇=前月は0.1%の上昇
・新車 0.3%の上昇、2019年3月以来の強い伸び>前月は横ばい

CPIは前年比で0.1%上昇と、市場予想並びに前月の0.3%を下回った。2015年10月以来の水準へ鈍化している。

CPIコアは同1.2%上昇、市場予想の1.3%並びに前月の1.4%に届かず、2011年3月以来の水準へ減速した。

チャート:CPIは経済活動が再開後も低迷

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(作成:My Big Apple NY)

――経済活動が再開したとはいえ、引き続き社会的距離(ソーシャルディスタンシング)が州政府・地方政府レベルの指針で盛り込まれるなか、5月ベージュブックで指摘があったように自動車保険を始め外出関連の項目の航空運賃、宿泊、外出、輸送サービスなど外出関連の低迷ぶりを確認しています。アメリカン航空は12日に予約数がキャンセル数を上回ったと発表していましたが、乗客数が多いフライトの変更を無料とするなど、稼働率の改善暫く限定的でしょう。自動車保険や服飾、輸送サービスも第2波懸念から在宅勤務のトレンドが続くならば、下方圧力が根強くなりそうです。

逆に、在宅勤務の影響で食費は引き続き上昇中。所得の伸びが限定的となれば、エンゲル係数の上昇により最良消費の余地が狭まるリスクを残します。そのほかストランなど飲食業を含む娯楽・宿泊は経済活動の再開に合わせ、データ取得可能な1993年以来で最大の伸びを記録しました。ただ飲食店は競争が激しい分野で自炊など代替可能な事情もあり、この項目が上昇トレンドを維持できるかは微妙な情勢と言わざるを得ません。今後、経済活動の再開に合わせ一時的に上向いたとしても、物価の基調は全体的に下方向に振れやすくなりそうです。

チャート:食費の前年比は上振れ傾向継続

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(作成:My Big Apple NY)

(カバー写真:Andreas Komodromos/Flickr)

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