‘The Wolf Of Wall Street’ And ‘Wall Street’ Another Way Of Comparing 1987 & 2013.
全米で12月25日から、話題作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」が公開されます。甘言を散りばめた話術と相手に考える隙を与えないマシンガン・トークで、「貯金ゼロから年収49億円」への階段を一気に上り詰めたジョーダン・ベルフォート。破天荒で享楽と虚飾に満ち溢れた栄華から一転、真っ逆さまに破滅していく半生を描いています。日本では、1月31日から全国ロードショーですね。
この作品、あの名作と共通点があるんです。
ハリウッドの金字塔、「ウォール街」。出世を夢見る株式ブローカーの青年と投資銀行家で「強欲は善(Greed is good)」がモットーのゴードン・ゲッコーを軸に、ウォールストリートによる冷酷かつ非情な利益追求を断罪する作品です。
両作品の共通項といえば、1)タイトルに「ウォールストリート」を含む、2)監督がアカデミー「監督賞」受賞者、3)オスカーを意識してか12月の全米公開—−といった分かりやすい点だけではありません。公開時期にあたる1987年と2013年において、金融業界と切っても切れない現実的な3つのポイントを含んでいます。
1)選挙戦前の公開(1987年は大統領選前、2013年は中間選挙前)
2)株式上昇期(1987年は金融工学・コンピューター取引の勃興期、2013年はアルゴリズム取引の隆盛期)
3)FRB議長の交代期(1987年はグリーンスパン議長、2013年は新議長にイエレン副議長を指名)
幸いなことに以上の共通点を持ちながら、大きなひとつの違いがあります。それこそ、「株価急落」。1987年は「ウォール街」公開前、グリーンスパン新FRB議長就任から約2ヵ月後の10月19日にブラック・マンデーを迎えダウ平均が22.6%の大暴落を経験しました。俗にいう「新FRB議長への呪われた洗礼(curse of the new Fed chair」に則り、1979年には同年に就任したボルカー議長自らの政策を通じボルカーショックから株価が約10%下落、バーナンキ議長には着任から1年7ヵ月後に金融危機が襲いかかりました。
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」公開後の2014年2月に新FRB議長の座に就くイエレン氏の眼前には、暗い影が見当たりません。CNBCの調査で明らかなように景気後退を危惧する声が17.3%と低水準にあり、バロンズ誌でも2014年S&P500予想で2100pを超える数値が飛び出すなど、あくまで楽観的。債務上限引き上げ交渉と低インフレという不安要因も低金利継続というクッションに支えられ、脱アノマリーに成功する——少なくとも現状、市場関係者はそう賭けているようです。
(カバー写真 : showbizcafe)
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