August Job Openings Hit Highest In 13 Years, While Q3 LMCI Edges Down.
米労働省が発表した米8月雇用動態調査(JOLT)の件数ベースでは、求人数が前月比5.0%増の483.5万人と、市場予想の470万人より強い結果となった。前月の460.5万人(467万人から下方修正)を超えただけでなく、2001年1月以来の高水準を達成している。新規採用人数は6.0%減の464.0万人となり、2ヵ月連続で減少。ボトムをつけた2009年6月の水準を上回りつつ、2007年12月時点の500万人は依然遠い。離職者数は4.1%減の440.0万人と、こちらも2ヵ月連続で減少した。定年や自己都合による退職者は247万人と、前月の255万人から減少。4ヵ月ぶり低水準となる。
JOLTの求人率をみると、前月の3.2%から3.4%へ上昇した。民間が前月の3.4%から3.6%へ上向いている。民間のうち建設、小売、教育、娯楽・宿泊などが前月を上回っていた。反対に製造業は低下に転じ、政府も2.0%と前月を0.1%ポイント下回った。
ホリデー商戦を控え、小売の求人率は9月も力強さを示すでしょう。
(出所:Career Cast)
就業者に対する新規採用率は、前月の3.6%から3.3%へ低下。7ヵ月ぶりの低水準となる。民間が4.0%から3.7%となり、低下が目立つ。政府機関は、前月の1.3%で横ばいだった。自発的および非自発的、あるいは引退などを含めた離職率は前月の3.3%を下回る3.2%。民間が前月の3.7%から3.5%へ下向いたためで、政府は逆に前月の1.2%から1.3%へ上昇した。自発的離職率は1.8%と、過去5年間で最高の水準に並ぶ。ただし、2007年12月の2.1%を下回る水準を保った。
8月までの過去1年間で、求人件数は91万8000件増加した。2000年12月以来で最高となる。しかし求人1件当たりの競争倍率は2倍で、引き続き景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を上回ったままだ。
なお米8月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比14.2万人増と、市場予想の23.0万人増より弱い結果となった。前月の21.2万人増を下回り、年初来で最も小幅にとどまる。ただし、改定値は18.0万人増へ上方修正された。
以上、雇用動態調査ではイエレン・ダッシュボードに含まれる構成要素のひとつは金融危機以前どころか13年半ぶりの高水準でした。一方で、採用件数と離職者数は減少。企業と応募者との間で能力や賃金などで折り合いがつかず、採用に結びついていない状況が浮かび上がってきます。
6日にも、大事な労働指標がリリースされていました。米連邦準備制度理事会(FRB)が公表するLabor Market Conditions Index(LMCI)、すなわち労働市場情勢指数はロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)によると、以下の19項目で算出されています。
1)失業率
2)労働参加率
3)経済情勢のためにパートタイムで就業している者の割合
4)民間就業者の割合
5)政府雇用者の割合
6)人材派遣の就業者の割合
7)週平均労働時間
8)週平均勤務時間
9)平均時給
10)求人指数
11)入職率
12)失業者から雇用者への異動率
13)失業保険、被保険者における失業率
14)5週未満の失職者の割合
15)離職率
16)5週以下の離職者の割合
17)消費者信頼感の雇用が「十分」と「困難」の差
18)全米独立事業者協会(NFIB)の雇用計画指数
19)NFIBの求人指数
以上から算出した9月のLMCIは、2.5ポイント上昇していました。8月の2.0ポイントを超えたものの7−9月期はは2.4ポイントの上昇となり、1−3月期の3.6ポイント、4−6月期の6.2ポイント以下にとどまっています。
RBSは今回の結果と別に、全米経済研究所(NBER)の定義に基づいた景気後退・拡大局面のLMCIの累積的な変化幅と平均的な月次変化幅を元に労働市場の改善動向を分析しています。それによると、2008年1月から2009年6月の景気後退局面でLMCIは累積的に366.4ポイント低下しました。その後、2009年2月から今年の9月までに300.7ポイント上昇しており、このままいけば「2015年11月頃には落ち込みを取り戻す見通し」なんですね。ただITバブル崩壊後初めて利上げに踏み切った2004年6月を踏まえ「景気後退局面のLMCIの落ち込みを取り戻すまで、Fedは利上げを延期しない可能性に注意が必要」と指摘していました。
つまり、現状の雇用動勢は2015年半ばの利上げを予想するマーケットと整合的と言えるでしょう。Fedによる量的緩和(QE)終了宣言後は、いつ「相当な期間(considerable time)」の低金利、「大いなる労働力の活用不足(significant underutilization)」を削除するのか、注目されます。
(カバー写真:AP)
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