Don’t Worry About Personal Spending Setback : Wage Gains Post 6 Year-High.
米9月個人消費支出は前月比0.2％減となり、市場予想0.1％増のところサプライズの減少となった。前月の0.5％増を下回り、8ヵ月ぶりに減少に転じている。消費の内訳は、以下の通り。
・耐久財 1.98％減、前月の2.11％増を下回り5ヵ月ぶりに減少
・非耐久財 0.30％減、前月の0.38％減に続き2ヵ月連続で減少
・サービス 0.19％増、前月の0.52％増を含み増加基調を維持
耐久財は米9月新車販売台数が8月から鈍化したため減少しており、非耐久財は引き続きガソリン価格の下落が痛手となったとみられる。
米9月個人所得は前月比0.2％増となり、こちらも市場予想および前月の0.3％増を下回った。ただし、9ヵ月連続での増加となる。可処分所得は0.1％増と、前月の0.3％増を上回った。貯蓄率は支出が減少したため5.6％と、2012年12月以来の高水準を示した7月の水準に並んだ。
所得の内訳は、以下の通り。
・賃金・所得 0.2％増、前月の0.5％増を下回り9ヵ月連続で増加
（民間が0.2％増と5ヵ月ぶり高水準だった前月の0.6％増以下に、サービスは0.2％増、財生産業も±0％、政府は0.1％増）
・不動産収入 0.1％減、前月も0.1％減で2ヵ月連続でマイナス
（農場が14.5％減と3ヵ月連続で2桁マイナス、非農場は0.6％と前月から上昇に反転）
・家賃収入 0.2％増、前月の0.8％増を下回り19ヵ月連続で増加
・資産収入 0.1％減、3ヵ月連続で減少
（配当は0.5％増と8ヵ月連続で増加も、金利収入が0.4％減と3ヵ月連続で減少）
・社会福祉 0.1％増、前月の0.5％増を下回りつつ増加基調を維持
（メディケイド＝低所得者層向け医療保険が0.4％増と9ヵ月連続で増加、メディケア＝高所得者向け医療保険は0.4％増と、6ヵ月連続で増加）
・社会補助 0.2％増、前月の0.3％増を下回るも少なくとも10ヵ月連続で増加
米9月個人消費支出（PCE）デフレーターは、前月比0.1％の上昇と市場予想と一致した。前月の0.1％の低下（±0％から下方修正）から、小幅ながら上昇に転じている。前年比は2ヵ月連続で1.4％の上昇だった。コアPCEデフレーターは4ヵ月連続で前月比0.1％の上昇を示し、市場予想とも一致。前年比は、5ヵ月連続で1.5％と2013年2月以来の高水準を保つ。とはいえ、PCEデフレーターとコアPCEともに、米連邦公開市場委員会（FOMC）の目標値「2％」からかい離した水準を維持。「2％」割れは、そろって2012年5月以来となる。
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、今回の結果に受け「米インフレ調整済みの実質個人消費は前月比0.2％減と、8月の0.5％増にはほど遠く5ヵ月ぶりに減少した」と説明。ただし米7−9月期国内総生産（GDP）速報値に織り込み済みで、今後はガソリン価格の下落が消費を押し上げる期待が残る。所得が堅調な伸びを保つほか貯蓄率の上昇もあって伸びしろもあり、「米10−12月期の個人消費見通しを2.5％増で据え置く」とまとめた。
ガソリン価格の下落こそ、ホリデー商戦の救世主になる期待大。
（出所：Getty Image）
米7−9月期雇用コスト指数は前期比0.7％の上昇となり、特に賃金・給与は0.8％と2008年4−6月期以来で最高を遂げた。ガソリン価格の下落という追い風に賃上げ期待も重なり、ホリデー商戦への楽観度を煽っている。
——以上の結果をみると、米7−9月期GDP速報値やら米10月消費者信頼感指数に加え、米10月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値が7年ぶり高水準だったこともあって直近の米国景気にはバラ色の未来予想図が広がっているように見えます。ひとつ気になるのは、米9月雇用統計が示すように、雇用コスト指数の強含みが反映されていないこと。同指数の賃金・給与は4−6月期も2008年7−9月期以来の高水準だったにも関わらず賃金は相変わらず、伸び悩みが続きます。
足元の加速度を増したセンチメントがガソリン価格の下落一服で失速しないか、共和党が米両院で多数派を掌握する見通しの米中間選挙はサプライズが見込まれていないものの、死角はないのか。日銀の追加緩和もあってマーケットは完全に強気へ舵を切った今、あらためてバリュエーションを冷静に精査するのもひとつの手でしょう。
（カバー写真：Susan Sermoneta）
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