Cheaper Oil Prices And Strong Dollar Affect Industrial Production And PPI.
米1月鉱工業生産指数は前月比0.2%上昇の106.2と、市場予想の0.3%に届かなかった。0.3%の低下(0.1%の低下から下方修正)を示した前月からは、上昇に反転している。設備稼働率は市場予想の79.9%以下の79.4%。前月と並ぶ水準で、2008年3月以来の高水準を遂げた2014年11月の80.1%で頭打ちをみせた。
鉱工業生産、稼働率そろって金融危機直前の水準で足踏み。
(出所:FRB)
内訳をみると、今回は原油安の余波を受け鋼業が1.0%減と前月の2.1%増から反転した。西海岸の港湾労働者ストライキが長引くなか、自動車も0.6%低下し2ヵ月連続でマイナスに。ただ製造業全体では、前月の横ばいから0.2%増へ上向いた。機械は0.7%増と前月の2.4%減から反発し、コンピューター・電子機器も1.2%増と2ヵ月連続で増加している。
前月に鉱工業生産を下押しした公益は、寒波と積雪を背景に2.3%増とプラスに転じた。電力が2.0%増、天然ガスも4.4%増とそれぞれ好転している。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「鋼業のうち、石油・天然ガスの採掘は10%沈んでおり、2014年10月以降の低下トレンドをたどる」と指摘。原油安で石油メジャーをはじめ油田サービス大手などが続々と今年の設備投資計画を削減するなか、鉱工業生産を押し下げるリスクを残す。
米1月生産者物価指数(PPI)は前月比0.8%低下し、市場予想の0.4%の低下より下げ幅を広げた。前月の0.2%の低下(0.3%の低下から上方修正)より一段と弱含み、現状の統計手法を採用した2009年11月以来で最大のマイナス幅となる 。特に、エネルギーが10.3%と同じく統計開始以来で最低を示現した。また食品も1.1%低下し、2ヵ月連続でマイナスに落ち込んでいる。PPIは前年比で±0%にとどまり、前月の1.1%上昇から急減速した。
コアPPIは 前月比0.3%の低下となり、市場予想の0.1%の上昇に反しマイナスへ沈んだ。前月の0.3%の上昇からも反落。特にサービスが0.2%低下と4ヵ月ぶりに落ち込みをみせている。エネルギーと食品を除くコアPPIは1.6%の上昇となり、前月の2.1%および市場予想の2.0%からも鈍化した。
発表元の米労働統計局(BLS)は、「外来患者向け医療サービス価格が0.7%低下した」と説明。エネルギーや食品に加え、医療サービスが全体を押し下げたとの見方を示した。ただし大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、低インフレが継続する可能性に触れている。ドル高の煽りから「輸出向け最終財が0.9%低下していた」点に注目。ドル高に値下げで対抗し、「輸出競争力を維持しようと努めている」との見解を寄せた。
——米1月鉱工業生産は原油安の煽りとドル高のダメージを反映し、米1月生産者物価指数はドル高に伴い輸出業者が値下げを余儀なくされている状態を浮き彫りにしました。世界的な金融緩和ラッシュで米国をはじめ株高を迎える半面、原油安でエネルギー関連が設備投資を削減させるだけでなく、ドル高で企業の利ざやが圧縮され始めております。今週の”北野誠のFXやったるで!”で北野さんがおっしゃっていたように、少なくとも米経済の実体は株高とかい離しつつあります。
(カバー写真:Kayla Sawyer/Flickr)
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