West Coast Dispute, Which Sector Is The Winner?
西海岸の港湾労働者ストライキをめぐりホワイトハウスが肝煎りで送り込んだペレス労働長官が介入し、事態はわずかながら希望の光が見えてきました。巨額な経済損失を回避する期待が徐々に高まっています。
商業ジャーナル(Journal Of Commerce)によると、打開策をめぐり交渉は進展中だとか。
19日の現地時間午後9時半に妥結した——とのニュースは誤報だっただけに、楽観的な続報に浮かれていられません。ストの悪影響をもろに被る日本車メーカーのほかアジア各国を中心とした米国への輸入業者、米国でも農産物や食肉関連をはじめ多くの輸出業者なども、固唾を呑んで見守っていることでしょう。
その陰で、29ヵ所の港湾施設を管理する太平洋海事教会(PMA)と国際港湾倉庫労働組合(ILWU)間の労使交渉がこう着し続けてほしい、と願うセクターも存在することでしょう。
太平洋側の船便利用が極めて困難となったおかげで、恩恵を受けた勝ち組セクターこそ航空輸送。フェデックスやUPSなどが代表格であり、株価をみるとフェデックス(ティッカー:FDX)の場合だと年初来から19日までのリターンは2.9%高でした。UPS(UPS)はホリデー商戦の臨時雇用を前年から倍増させた反動で利益率が絞られ四半期決算が不振だったほか、配当落ちもあって8.6%安の体たらくですが。
その他、倉庫・貯蔵セクターをはじめ迂回先となる東海岸やメキシコ湾岸沿いの港湾施設もポジティブ・サプライズが運び込まれていることでしょう。
どっちに転んでも問題のないセクターこそ陸路の輸送株。米国内の太平洋側から遠距離輸送に鉄道を用いたとみられ西部の鉄道経路を支えるユニオン・パシフィックは2.2%高、東部を網羅するノーフォーク・サザン(NSC)も1.8%高でした。ストが終了しても滞っていた輸送貨物の運搬に活躍する期待が高まるため、ネガティブな影響は限定的と考えられます。
トラック輸送業者も、鉄道株と同じ立ち位置にあると言えます。ワーナー・エンタープライズ(WERN)は1.3%高、ナイト・トランスポーテーションズ(KNX)は3.3%安と、まちまちですけどね。
西海岸の港湾労働者ストの勝ち組であるはずの株価のパフォーマンスは、全体を通じて芳しいとは言えません。原油安でコストダウンが予想される輸送株が軟調であるということは、大寒波と積雪に見舞われている1−3月期だけでなく4−6月期の景気にも慎重な投資家のスタンスを反映しているのでしょうか。
【追記】
JOCは20日夜、労使交渉が妥結に至ったと報じました。5年間の契約で暫定合意したといいます。今回こそ、フライングでありませんように。
(カバー写真:Jae C. Hong/AP)
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