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【追記】西海岸の港湾スト、米経済への損害額は1日21億ドルも?

by • February 9, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off21653

West Coast Ports Labor Contract Dispute Could Cause $2.1 Billion Dollars Per Day.

マーケットの売り材料としてギリシャと債権者の支援プログラムをめぐる交渉こう着が挙げられていますが、もうひとつの協議も難航を極め不安を煽っています。

米国内では、あらためて西海岸の港湾労働者によるストライキが懸念材料として浮かび上がってきました。労使交渉で折り合いがつかず、前週末には太平洋海事協会(PMA)が港湾施設29ヵ所の一時的閉鎖を決定。自動車をはじめ、資本財、電化製品、建築材、服飾などの輸入が滞っただけでなく、米国からの輸出もストップする事態に陥ってしまいました。

労使交渉のこう着は、米経済にダメージを与えかねません。米国の輸入のうち約半分を西海岸の港湾施設が請け負っているため、全米小売業協会(NRF)と全米製造業協会(NAM)は10日間にわたり港湾施設が閉鎖した場合、米経済への損失額は1日当たり21億ドルと試算しています。カート・サロモンの分析では、小売セクターの損害額は2015年に70億ドルにのぼる見通し。9日の米株相場で世界1月既存店売上高が不振に終わったマクドナルド以外にウォルマートがダウ平均を押し下げたのは、港湾ストによる業績への圧迫が意識されたためです。

ウォルマート、中国からの輸入品が7割を占めるとされるだけに打撃は必至。
Walmart-superJumbo
(出所:John Gress/Reuters)

決算を発表した服飾ブランドからも、懸念する声が聞かれています。マイケル・コースのジョン・アイドル最高経営責任者(CEO)は、決算後のカンファレンス・コールにて「港湾施設の混乱は、商品の受け取り支障をきたす」と指摘。現時点で経済的な被害は具体化していないものの「すでに多くの遅延を確認しており、航空費用やその他輸送の負担が拡大しつつある。1−3月期見通しに港湾ストライキの問題を反映したとはいえ、一段の遅れが生じれば従来予想より売上が抑えられコストがかさむ場合もある」と警鐘を鳴らしていました。

ラルフ・ローレンのクリストファー・パターソン最高財務責任者(CFO)も、「10−12月期は海運より航空便を多用せねばならず、船便を使用する場合は東海岸ルートへ迂回させた」と説明しています。

2014年6月に開始した労使交渉がもつれにもつれ港湾労働者がわざと作業を遅らせるなど強硬手段に訴えるなか、29の港湾施設を操業団体であるPMA側は「3ヵ月に及ぶ怠業の後で、賃上げする理由はない」と対立姿勢を崩していません。ちなみに港湾労働者の賃金はUSAトゥデーによると14万7000ドル(約1730万円)で、ブルーカラー職としては高給取りで知られているんだとか。今回の交渉では賃上げ3%、および健康保険と最大で年間8万8800ドル(約1050万円)の年金支払いを求めているといいます。

西海岸の港湾施設が扱う割合が約半分に及ぶだけに、国内総生産(GDP)の12.5%を占めます。2002年には西海岸の港湾が封鎖され当時のブッシュ米大統領が介入に踏み切ったものですが、今回もオバマ米大統領が仲裁せざるを得ない状況となってきました。

【追記】
PMAは、プレジデンツ・デーを含む4連休も閉鎖を決定しました。小売業界をはじめ経済界の150以上の団体がオバマ米大統領に介入を求めるなか、Xデーが近づきつつあります。

(カバー写真:Iowa Pork)

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