Cheaper Gasoline Prices Fail To Fuel Retail Sales In April.
米4月小売売上高は前月比±0%となり、市場予想の0.2%増を下回った。約1年ぶりの高水準だった3月の1.1%増(0.9%増から上方修正)にも遠く及ばず。ガソリン価格下落による購買力の高まりは期待外れに終わったと言えよう。スポーツ多目的車(SUV)などの販売が支えたとはいえ米4月新車販売台数もアナリスト予想以下にとどまり、小売売上高の伸びを抑えた。自動車を除いた場合も0.1%増と、市場予想の0.5%増以下に。前月の0.4%増にも届かず、春を迎え季節的な足かせが外れたとはいえ財布の紐は緩まらなかった。
内訳をみると、13カテゴリー中6項目で増加。前月の11項目から減少した。
(主なプラス項目)
・健康→0.8%増、前月の0.3%増に続き過去6ヵ月間で4回目の増加
・スポーツ衣料→0.8%増、前月の1.4%増に続き過去6ヵ月間で3回目の増加
・外食→0.7%増、前月の0.8%増を含め過去6ヵ月間で5回目の増加
・オンラインを含む非店舗→0.8%増、前月の0.1%増に続き過去6ヵ月間で4回目の増加
・建築材→0.3%増、前月の2.3%増に続き過去6ヵ月で3回目の増加
・服飾→0.2%増、前月0.9%増に続き過去6ヵ月間で4回目の増加
・雑貨類→±0%、前月の0.1%増から転じ過去6ヵ月間での増加は3回目
(主なマイナス項目)
・家具→0.9%減、前月の1.8%増から転じ過去6ヵ月で3回目の減少
・ガソリンスタンド→0.7%減、前月の0.4%増から転じ過去6ヵ月間で4回目の減少
・一般小売→0.5%減、前月の1.4%増から転じ過去6ヵ月で4回目の減少(*百貨店は2.2%減、過去6ヵ月で4回目の減少)
・自動車→0.4%減、前月の2.9%増から転じ過去6ヵ月間で3回目の減少
・電気製品→0.4%減、前月の0.9%減に続き5ヵ月連続で減少
・食品・飲料→0.1%減、前月の0.2%減に続き過去6ヵ月間で3回目の減少
小売売上高、3月は反発が今では幻のよう。
(出所:Census Bureau)
米4月小売売上高とは別に、米3月企業在庫は前月比0.1%増となり市場予想の0.2%増を下回った。前月の0.2%増(0.3%増から下方修正)にも届かず、GDPに占める1−3月期在庫投資の寄与度が低下する可能性を残す。一方で、売上高は0.4%増で前月の0.2%減を含む減少トレンドから反転。2014年7月以来の高い伸びを達成した。売上の増加を背景に、在庫相当は2009年7月以来で最大を示した前月の1.37ヵ月から1.36ヵ月へ短縮した。
JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、米4月小売売上高のコア小売売上高(ガソリン、建築材、自動車を除く)に注目し「4月は±0%、3ヵ月比年率では0.7%減に落ち込み景気回復サイクルで最悪」と振り返る。消費が伸び悩む上、原油関連が設備投資を押し下げると考えられるほか米3月企業在庫を踏まえると在庫投資がGDPのけん引役を担い続けるかは不透明。大寒波を経て第2四半期に2014年当時のような目覚ましい回復を遂げる公算は小さく、「米4−6月期GDP予想を従来の2.5%増から2.0%増」へ引き下げた。
そのほか、バークレイズも米3月小売売上高と米2月企業在庫を受けて米4−6月期GDP予想を従来の3.0%増から2.6%増へ下方修正。ゴールドマン・サックスは米4月小売売上高を経て米4−6月期GDP予想を2.9%増から2.5%増へ引き下げた。ムーディーズ・アナリティクスは、0.8%増と1%割れを見込む。
合わせて、米1−3月期GDP改定値の予想も下方修正された。JPモルガンはマイナス0.8%からマイナス1.0%へ、バークレイズもマイナス0.6%からマイナス0.8%へ引き下げている。
——米4月小売売上高だけでなく米3月企業在庫も市場予想に届かず、エコノミストの間で米4−6月期GDP予想が続々と下方修正されました。米株相場へのイエレンFRB議長の発言を踏まえるとFedは年内利上げを念頭に入れて政策の舵取りをしているようにみえますが、このまま消費が加速しなければ9月利上げ開始をめぐる雲行きは怪しい。アトランタ連銀とエコノミストの4−6月期GDP予想値のスプレッドは、着実に縮小しつつあります。
(カバー写真:Giuseppe Milo/Flickr)
Comments
MBA住宅ローン申請件数指数は3週連続で低下、輸入物価は下振れ Next Post:
13日の決算ラウンドアップ:ラルフ・ローレン、シスコ、JCペニー